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おまけ
イタズラも程々に【クレア】
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「ーーリアム。今日もいい天気だね」
「ーーそうだね~」
ボク、クレア・エバンスは今お城の庭で優雅にお茶をしている。
青い空。白い雲。暖かな空気に大好きな婚約者。
そして、こんな穏やかな気持ちをぶち壊すような騒々しい声。
「ーードロシー様は僕の婚約者です!」
「ーーはっ。何言ってんだよ! 形だけじゃねぇか!」
どこかに出かけていたのかウィル様とルイ様が言い争いながら城の門を通って帰ってきた。
……何言ってんだ。この人達。
ボクが紅茶をひと口啜って落ち着こうとするが、なんせリアムの後ろでギャーギャー騒いでるから目につく。
「ーー今すぐ婚約破棄しろよ! お前ばっかりずりぃぞ!」
「ーーいーやーでーすー! 例え、この国に魔王が襲ってきて絶体絶命のピンチでドロシー様が『婚約破棄してください』って言ってきても嫌です!」
どうやら。このおふたりはドロシーの事で言い争っているようだが……
ウィル様の例えがいまいちよくわからん。
なに? 魔王が襲ってきてドロシーから婚約破棄するってどんな状況? ドロシーが魔王と婚約でもすんの?
「クーレア。どうした? 私の後ろになにかいるの~?」
「リアム、弟達の存在を消すのはやめようか。さすがに可哀想だよ」
リアムは「んー?」と言いながら後ろを見ると「あー」と存在に気づいたような声を上げた。
ま、まじか。本当に気づいてなかったのか。
リアムはもう一度こっちを見て紅茶を啜りニッコリと微笑む。
「あの子達いたんだね~」
「今までの喧噪聞こえなかったの!?」
「動物が鳴いてるのかと思ってた~」
「このお兄ちゃん酷い!」
ボクが軽く2人に同情しているとバタバタとリアムの言う動物の2人が近寄ってくる。
「クレア様! ドロシー様の好きな人知ってますか!?」
「ドロシーって誰好きなのか教えてくれよ!」
怒涛の勢いで同時に聞かれたがなんとなく聞き取れた。
ドロシーの好きな人ね?
婚約してるっていうのを考えるとウィル様なんだろうけど……本来はどうなんだろ……?
あの子自身人間タラシな部分あるから誰彼構わず好き好き言ってるからなぁ。
2人の方を見ると捨てられた子犬のような縋り付く視線でボクを見ている。
そのせいで、ちょっとしたイタズラ心がくすぐられる。
ちょーっとだけ、ちょっとだけ、意地悪してみようかな……っ。
「んー、たぶんボクじゃないですかね? あの子よくくっついてくるので」
頬を掻きながら言うと自分で言ってて恥ずかしくなってきて顔に熱が集まった。そのおかげでいい感じに顔が紅潮していく。
……なんで、自ら黒歴史を作るような事をしたんだろ。
少しの間時が止まったかのように王子3人が動かなくなった。
と思ったら、リアムが持っていたコップの取ってをバキッと鈍い音をたてて外し、その合図でルイ様とウィル様がこちらに近寄ってくる。
「クレア様……その事、詳しくお聞かせください」
「大丈夫。オレ様達は優しいから怒んねぇよ」
背後に闇のオーラが見える2人がジリジリとボクに近づきボクは半笑いで椅子の端に下がる。
何この人たち! こわ! 人間100人くらい殺してる目してるよ!
「私も、詳しく聞きたいなぁ~。クレアの口から直接」
2人の肩を押しのけ間からブラックホールでも背負ってるかのようなオーラのリアムがボクの身体をひょいと肩に担いだ。
これ、死ぬやつだ……
「ごめんなさい! 嘘です! 嘘ですから!! おろして! ごめんってばあああ!」
こうして、3人になんとか説得して冗談だとわかってもらえたがもう二度とドロシーの事で冗談を言ってはいけないと反省したのであった。
この3人を起こらせたら魔王ぐらい簡単に倒せちゃいそうだよ……
「ーーそうだね~」
ボク、クレア・エバンスは今お城の庭で優雅にお茶をしている。
青い空。白い雲。暖かな空気に大好きな婚約者。
そして、こんな穏やかな気持ちをぶち壊すような騒々しい声。
「ーードロシー様は僕の婚約者です!」
「ーーはっ。何言ってんだよ! 形だけじゃねぇか!」
どこかに出かけていたのかウィル様とルイ様が言い争いながら城の門を通って帰ってきた。
……何言ってんだ。この人達。
ボクが紅茶をひと口啜って落ち着こうとするが、なんせリアムの後ろでギャーギャー騒いでるから目につく。
「ーー今すぐ婚約破棄しろよ! お前ばっかりずりぃぞ!」
「ーーいーやーでーすー! 例え、この国に魔王が襲ってきて絶体絶命のピンチでドロシー様が『婚約破棄してください』って言ってきても嫌です!」
どうやら。このおふたりはドロシーの事で言い争っているようだが……
ウィル様の例えがいまいちよくわからん。
なに? 魔王が襲ってきてドロシーから婚約破棄するってどんな状況? ドロシーが魔王と婚約でもすんの?
「クーレア。どうした? 私の後ろになにかいるの~?」
「リアム、弟達の存在を消すのはやめようか。さすがに可哀想だよ」
リアムは「んー?」と言いながら後ろを見ると「あー」と存在に気づいたような声を上げた。
ま、まじか。本当に気づいてなかったのか。
リアムはもう一度こっちを見て紅茶を啜りニッコリと微笑む。
「あの子達いたんだね~」
「今までの喧噪聞こえなかったの!?」
「動物が鳴いてるのかと思ってた~」
「このお兄ちゃん酷い!」
ボクが軽く2人に同情しているとバタバタとリアムの言う動物の2人が近寄ってくる。
「クレア様! ドロシー様の好きな人知ってますか!?」
「ドロシーって誰好きなのか教えてくれよ!」
怒涛の勢いで同時に聞かれたがなんとなく聞き取れた。
ドロシーの好きな人ね?
婚約してるっていうのを考えるとウィル様なんだろうけど……本来はどうなんだろ……?
あの子自身人間タラシな部分あるから誰彼構わず好き好き言ってるからなぁ。
2人の方を見ると捨てられた子犬のような縋り付く視線でボクを見ている。
そのせいで、ちょっとしたイタズラ心がくすぐられる。
ちょーっとだけ、ちょっとだけ、意地悪してみようかな……っ。
「んー、たぶんボクじゃないですかね? あの子よくくっついてくるので」
頬を掻きながら言うと自分で言ってて恥ずかしくなってきて顔に熱が集まった。そのおかげでいい感じに顔が紅潮していく。
……なんで、自ら黒歴史を作るような事をしたんだろ。
少しの間時が止まったかのように王子3人が動かなくなった。
と思ったら、リアムが持っていたコップの取ってをバキッと鈍い音をたてて外し、その合図でルイ様とウィル様がこちらに近寄ってくる。
「クレア様……その事、詳しくお聞かせください」
「大丈夫。オレ様達は優しいから怒んねぇよ」
背後に闇のオーラが見える2人がジリジリとボクに近づきボクは半笑いで椅子の端に下がる。
何この人たち! こわ! 人間100人くらい殺してる目してるよ!
「私も、詳しく聞きたいなぁ~。クレアの口から直接」
2人の肩を押しのけ間からブラックホールでも背負ってるかのようなオーラのリアムがボクの身体をひょいと肩に担いだ。
これ、死ぬやつだ……
「ごめんなさい! 嘘です! 嘘ですから!! おろして! ごめんってばあああ!」
こうして、3人になんとか説得して冗談だとわかってもらえたがもう二度とドロシーの事で冗談を言ってはいけないと反省したのであった。
この3人を起こらせたら魔王ぐらい簡単に倒せちゃいそうだよ……
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