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9【美玲(アンズ)目線】
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男の人達について行くと家、というか、お城に辿り着いた。
なにここ……? え、嘘。そんなおとぎ話みたいな事有り得るの……?
城の中に入ると、わかりにくいだろうけど、私のテンションはMAXになり、心の中で1人で盛り上がっていた。
「あの、貴方達はいったい何者なのですか?」
「あー、僕はこの国の第3王子で、名前はウィル・ヒューズと言います」
「オレ様は第2王子。ルイ・ヒューズだ」
まず、金髪の男の人が言い、続けて銀髪の男の人が自己紹介してくれた。
王子様なんだ……すご……
私も自己紹介しないと。この格好で本名言うのも違和感だし……なんか、いい名前ないかな……んーと、そうだ!
「私……いや、俺? は、アンズです」
「アンズ様ですか。珍しい名前ですね」
ウィルさんが愛嬌満点の笑顔を向けてくれて、心臓が大きく跳ねる。
か、かっこかわいい……! こういうのって、乙女ゲームとかだと私みたいな異世界から来た人とここの王子様が結ばれる的な展開が待ってるよね? あ、でも、私も男か。じゃあ、ボーイズラブ的な展開になんないかなぁ……
ちなみに、私は腐女子でもある。
私はウィルさんの顔から目を離さないでいると、奥の方からパタパタと走ってくる足音が聞こえた。
「ウィル様! おかえりなさい!」
今の私より背の低い男の子が綺麗な黒髪をひょこひょこさせながら満面の笑みで走ってくる。
お人形のように整った顔で理想が高い私から見ても文句なしのイケメン。
ここは、イケメンパラダイスですか……? 夢ですか……? 夢なら覚めないでください。
ウィルさんはさっきまでの優しい笑みから無邪気な笑顔に変わり、その男の子の方を見て、ルイさんは少しだけムスッとしてその子を見た。
私に集まってた2人からの視線は一気にその子に横取りされた気分。
「おいおい。ドロシー。オレ様にはおかえりなさいはねぇのかよ?」
ルイさんが不機嫌そうに腕を組み、その子の前に行くと、その男の子は表情が無になった。
「オカエリ」
「ロボット見てぇに言うなよ!? 感情込めろ!」
「感情ですか? んー……おかえりなさいませ! ご主人様っ♡」
「ぐはっ……」
なんの恥じらいもなくその子が手でハートマークを作りながら告げると、ルイさんは心臓を抑え込んでその場にしゃがみ込んだ。
「大丈夫ですか……!?」
思わず声を荒らげてルイさんに寄ると、ウィルさんが私の肩に手を当てて止めさせた。
「アンズ様。いいのですよ。この愚兄はほっといてください」
「でもーー!」
反論しようとウィルさんの方を向くと、そこには蔑んだような目をしたウィルさんがじっとルイさんを見下ろしている。
「僕の婚約者を誑かそうとするなんて万死に値する。許さない。僕もおかえりなさいませ。ご主人様♡ って言われたい。欲を言えば、ご飯にする? お風呂にする? それとも、ぼ・くって言われたいのに」
なんかめちゃくちゃ語ってる~……
表情を変えないままウィルさんは聞こえるか聞こえないかくらいの声量でブツブツ語っていて、男の子は苦笑を浮かべ「ごめんって~」と言いながらルイさんの頭を撫でてた。
それを見て、ウィルさんの表情はさらに険しくなっている。
男の子がある程度ルイさんの頭を撫でると、パッと顔を上げ、私の方に駆け寄ってきた。
「お騒がせしてしまい申し訳ありません。僕はドロシー・リベラです。貴方は……」
そこまで言うとその子は何かに気がついたのか、ハッとした表情をした。
どうしたんだろ?
「ま、まさか……あなた……」
「え……?」
額には汗を滲ませ、目が左右に泳ぎ、肩を小刻みに震わせている。
それはまるで、私に脅えているようにも見える。
「えっと……俺はアンズです。あの、大丈夫ですか……?」
私が近寄ると、ドロシーさんはガシッと強く手を握った。
……へ?
「ついに来た! 主人公ポジ!!」
「「「え?」」」
ドロシーさんの顔には怯えはなくなり、寧ろ眩しいくらいの笑顔を向けてくる。
何この子。可愛い。タイプ。惚れた。
「僕はずーっと貴方を待っていました! 前世の時からずっと貴方を求めていました。是非、仲良くしてください!」
怒涛の勢いで口説かれ「は、はい……」とたどたどしく返事をしてしまった。
だけど、ドロシーさんからしたらそれでじゅうぶんだったらしく満面の笑みで「ありがとう!」と告げてきた。
なんだろ……この子の雰囲気、誰かに似てる……
後ろから物凄い殺気を感じたが、怖かったため、触れないでおいた。
なにここ……? え、嘘。そんなおとぎ話みたいな事有り得るの……?
城の中に入ると、わかりにくいだろうけど、私のテンションはMAXになり、心の中で1人で盛り上がっていた。
「あの、貴方達はいったい何者なのですか?」
「あー、僕はこの国の第3王子で、名前はウィル・ヒューズと言います」
「オレ様は第2王子。ルイ・ヒューズだ」
まず、金髪の男の人が言い、続けて銀髪の男の人が自己紹介してくれた。
王子様なんだ……すご……
私も自己紹介しないと。この格好で本名言うのも違和感だし……なんか、いい名前ないかな……んーと、そうだ!
「私……いや、俺? は、アンズです」
「アンズ様ですか。珍しい名前ですね」
ウィルさんが愛嬌満点の笑顔を向けてくれて、心臓が大きく跳ねる。
か、かっこかわいい……! こういうのって、乙女ゲームとかだと私みたいな異世界から来た人とここの王子様が結ばれる的な展開が待ってるよね? あ、でも、私も男か。じゃあ、ボーイズラブ的な展開になんないかなぁ……
ちなみに、私は腐女子でもある。
私はウィルさんの顔から目を離さないでいると、奥の方からパタパタと走ってくる足音が聞こえた。
「ウィル様! おかえりなさい!」
今の私より背の低い男の子が綺麗な黒髪をひょこひょこさせながら満面の笑みで走ってくる。
お人形のように整った顔で理想が高い私から見ても文句なしのイケメン。
ここは、イケメンパラダイスですか……? 夢ですか……? 夢なら覚めないでください。
ウィルさんはさっきまでの優しい笑みから無邪気な笑顔に変わり、その男の子の方を見て、ルイさんは少しだけムスッとしてその子を見た。
私に集まってた2人からの視線は一気にその子に横取りされた気分。
「おいおい。ドロシー。オレ様にはおかえりなさいはねぇのかよ?」
ルイさんが不機嫌そうに腕を組み、その子の前に行くと、その男の子は表情が無になった。
「オカエリ」
「ロボット見てぇに言うなよ!? 感情込めろ!」
「感情ですか? んー……おかえりなさいませ! ご主人様っ♡」
「ぐはっ……」
なんの恥じらいもなくその子が手でハートマークを作りながら告げると、ルイさんは心臓を抑え込んでその場にしゃがみ込んだ。
「大丈夫ですか……!?」
思わず声を荒らげてルイさんに寄ると、ウィルさんが私の肩に手を当てて止めさせた。
「アンズ様。いいのですよ。この愚兄はほっといてください」
「でもーー!」
反論しようとウィルさんの方を向くと、そこには蔑んだような目をしたウィルさんがじっとルイさんを見下ろしている。
「僕の婚約者を誑かそうとするなんて万死に値する。許さない。僕もおかえりなさいませ。ご主人様♡ って言われたい。欲を言えば、ご飯にする? お風呂にする? それとも、ぼ・くって言われたいのに」
なんかめちゃくちゃ語ってる~……
表情を変えないままウィルさんは聞こえるか聞こえないかくらいの声量でブツブツ語っていて、男の子は苦笑を浮かべ「ごめんって~」と言いながらルイさんの頭を撫でてた。
それを見て、ウィルさんの表情はさらに険しくなっている。
男の子がある程度ルイさんの頭を撫でると、パッと顔を上げ、私の方に駆け寄ってきた。
「お騒がせしてしまい申し訳ありません。僕はドロシー・リベラです。貴方は……」
そこまで言うとその子は何かに気がついたのか、ハッとした表情をした。
どうしたんだろ?
「ま、まさか……あなた……」
「え……?」
額には汗を滲ませ、目が左右に泳ぎ、肩を小刻みに震わせている。
それはまるで、私に脅えているようにも見える。
「えっと……俺はアンズです。あの、大丈夫ですか……?」
私が近寄ると、ドロシーさんはガシッと強く手を握った。
……へ?
「ついに来た! 主人公ポジ!!」
「「「え?」」」
ドロシーさんの顔には怯えはなくなり、寧ろ眩しいくらいの笑顔を向けてくる。
何この子。可愛い。タイプ。惚れた。
「僕はずーっと貴方を待っていました! 前世の時からずっと貴方を求めていました。是非、仲良くしてください!」
怒涛の勢いで口説かれ「は、はい……」とたどたどしく返事をしてしまった。
だけど、ドロシーさんからしたらそれでじゅうぶんだったらしく満面の笑みで「ありがとう!」と告げてきた。
なんだろ……この子の雰囲気、誰かに似てる……
後ろから物凄い殺気を感じたが、怖かったため、触れないでおいた。
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※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
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