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「シャンパン頂きましたぁ!」
ここは現実を忘れさせ、普通の女の子をシンデレラのようにお姫様に変えることのできる場所。
その名もホストクラブ。
「ねぇ、杏樹。私もシャンパン貰っちゃおうかなぁ?」
「ほんとに? ありがとう! プリンセス!」
僕が笑顔を向けると今日のプリンセスは顔をリンゴのように真っ赤にして「いいのよ」と大袈裟に手を振った。
僕はここのNo.1ホスト。
杏樹というのは僕の名前。
フルネームは如月(きさらぎ)杏樹(あんじゅ)。
元々は大学生だったんだけど、お金が困ってくるようになってここの世界に足を踏み入れたんだ。
それから、運が良かったのかこの店のNo.1に上り詰め、昼は学生、夜はホストと両立してやっている。
「ーーお疲れ様でーす」
接客が終わり、僕の勤務時間も終わると着替えて家へと帰る。
ここから家まではだいぶ近いが、帰りは暗くて少しだけ怖い。
ホストの仕事は楽しいけど、この帰り道が怖いんだよね。お化けとかが出そうで。
僕お化け苦手なんだよ。マジで。
もう1年以上ここ通ってるけど、こればかりはなかなか慣れそうにない。
とにかく、はやく帰ってゲームの続きやらないと。あとラストのルートのエンディング回収してないんだよね。
僕は怖さをぶっ飛ばすためにゲームの事だけを考えて早足で家に向かった。
ちなみに、ゲームというのは「BONHEUR(ボヌール) AMOUR(アムール)」というBLゲームの事。
面白そうなゲームを探してたら出てきて、興味本位でやったんだけど、これがまたハマっちゃって。今ではもうぞっこんで、気づいたらオタクになって、腐の道へと現在進行形で猛ダッシュしてるところ。
恋愛に性別なんて関係ない! みんなが幸せならそれでいいんだ! キャラ達全員幸せになってくれ! あと、アニメ化希望!
てな、感じでいつもやらせてもらってます。ありがとうございます。製作者様。ちなみに、最推しはウィル様です。
「ーー杏樹は私のモノ……!」
「ん?」
脳内でゲームの事を語っていると、背後から女の子らしき声がした。だけど、その声は恨みがましい声で一瞬男かと思ってしまうくらい低かった。
僕が振り向こうとしたその瞬間、腹部に異常な痛みを感じ、その場に倒れ込んだ。
恐る恐る手を腹部に触れると赤黒い液体がついている。
さ、刺された? 僕が? 刺さ……
「あ、あ……う……っ! はっ……! あ……」
混乱と恐怖と痛みに声にならない叫びを上げるが、人っ子ひとりいないため誰にも伝わらない。
いや、人っ子ひとりいないわけじゃない。
目の前にはひとり。僕を見下ろした女が口端を上げ見下ろしていた。
「た、たす……け……て」
無駄だと思いつつも僕が手を伸ばすとその女は僕の手を握った。
た、助けてくれる……?
「やっと、私のモノになったね。杏樹」
その期待も虚しく、月の光で赤黒いものが付着した銀色に光る包丁が上に振り上げられた。
……あ、この子は今日の僕のプリンセスだったっけ……
今度は背中に激痛が走り、しばらくすると僕の意識がシャットダウンされた。
ここは現実を忘れさせ、普通の女の子をシンデレラのようにお姫様に変えることのできる場所。
その名もホストクラブ。
「ねぇ、杏樹。私もシャンパン貰っちゃおうかなぁ?」
「ほんとに? ありがとう! プリンセス!」
僕が笑顔を向けると今日のプリンセスは顔をリンゴのように真っ赤にして「いいのよ」と大袈裟に手を振った。
僕はここのNo.1ホスト。
杏樹というのは僕の名前。
フルネームは如月(きさらぎ)杏樹(あんじゅ)。
元々は大学生だったんだけど、お金が困ってくるようになってここの世界に足を踏み入れたんだ。
それから、運が良かったのかこの店のNo.1に上り詰め、昼は学生、夜はホストと両立してやっている。
「ーーお疲れ様でーす」
接客が終わり、僕の勤務時間も終わると着替えて家へと帰る。
ここから家まではだいぶ近いが、帰りは暗くて少しだけ怖い。
ホストの仕事は楽しいけど、この帰り道が怖いんだよね。お化けとかが出そうで。
僕お化け苦手なんだよ。マジで。
もう1年以上ここ通ってるけど、こればかりはなかなか慣れそうにない。
とにかく、はやく帰ってゲームの続きやらないと。あとラストのルートのエンディング回収してないんだよね。
僕は怖さをぶっ飛ばすためにゲームの事だけを考えて早足で家に向かった。
ちなみに、ゲームというのは「BONHEUR(ボヌール) AMOUR(アムール)」というBLゲームの事。
面白そうなゲームを探してたら出てきて、興味本位でやったんだけど、これがまたハマっちゃって。今ではもうぞっこんで、気づいたらオタクになって、腐の道へと現在進行形で猛ダッシュしてるところ。
恋愛に性別なんて関係ない! みんなが幸せならそれでいいんだ! キャラ達全員幸せになってくれ! あと、アニメ化希望!
てな、感じでいつもやらせてもらってます。ありがとうございます。製作者様。ちなみに、最推しはウィル様です。
「ーー杏樹は私のモノ……!」
「ん?」
脳内でゲームの事を語っていると、背後から女の子らしき声がした。だけど、その声は恨みがましい声で一瞬男かと思ってしまうくらい低かった。
僕が振り向こうとしたその瞬間、腹部に異常な痛みを感じ、その場に倒れ込んだ。
恐る恐る手を腹部に触れると赤黒い液体がついている。
さ、刺された? 僕が? 刺さ……
「あ、あ……う……っ! はっ……! あ……」
混乱と恐怖と痛みに声にならない叫びを上げるが、人っ子ひとりいないため誰にも伝わらない。
いや、人っ子ひとりいないわけじゃない。
目の前にはひとり。僕を見下ろした女が口端を上げ見下ろしていた。
「た、たす……け……て」
無駄だと思いつつも僕が手を伸ばすとその女は僕の手を握った。
た、助けてくれる……?
「やっと、私のモノになったね。杏樹」
その期待も虚しく、月の光で赤黒いものが付着した銀色に光る包丁が上に振り上げられた。
……あ、この子は今日の僕のプリンセスだったっけ……
今度は背中に激痛が走り、しばらくすると僕の意識がシャットダウンされた。
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