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短話・番外
男前なのはどっち?(ヘイデン視点)
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「そーいえば、チカちゃん。
最初、私を誰かと間違えてたわよね?」
千佳が目覚めて生活が落ち着いた頃、いつものティータイム中にヘイデンがふと思い出した事を口にする。
「え・・・あー、それは・・・」
「確か、ひさし、とか何とかって言ってた気がするんだけど・・・?
もしかして、いい人?」
女子トークをするかの様なノリと笑みを浮かべながら聞いて来るヘイデンに、千佳は少し困りながら、異世界から来たとは伝えずに、あの時見間違えた理由を説明した。
初めのうちは、「へー」とか「そうなの」と相槌を打っていたヘイデンだったが、千佳の「奥さんが・・・」の辺りから、いつもの口調は何処かに消え素なのか怒っているのか分からないトーンで相槌を打っている。
「で?
俺が、そのクソ野郎似ていると・・・」
「!!」
ヘイデンの低い声に驚いたのか、千佳の足元でくつろいで居たミーは突然何処かに走り去ってしまった。
「い、いえ!!
私が、間違えただけでヘイデンさんは、
少しも、一ミリも、全く、全然似ていませんっ!!!」
千佳はミーの後ろ姿を目で追いながら、ヘイデンの後ろに何か黒い物を感じ全力で否定する。
「一つ言っとくが、
俺は、誰かを好きになったとしてもその人一筋だ。」
大真面目な顔で身を乗り出しそう言ったヘイデンは、いつにもなく真剣な眼差しを千佳に向けていた。
「は、はい。」
“近い!顔、近い!”
いつもと違うトーンの彼に戸惑ったのか、顔をほんのり赤くした千佳はそう返事をするのが精一杯だったようだ。
千佳の表情に満足したのか、ヘイデンは笑みを浮かべて椅子に座り直している。
「で、今も似ているのかしら?」
口調が戻ったかと思えば満面の笑みを浮かべて、千佳を見つめている。
「い、いえ!全く」
全否定する千佳のリアクションが面白かったのか、ヘイデンは笑みを深くして更に尋ねた。
「じゃぁ、その男と俺、どっちが男前だ?」
「・・・ヘ、ヘイデンさんです」
“な、なに、このやりとり!!!!”
恥ずかしさの様な何かを感じた千佳は、慌てて立ち上がり「掃除してきます」とだけ言って逃げる様にその場を去っていく。
「チカちゃんは、からかい甲斐があるねーー」
紅茶を飲みながら1人でティータイムを楽しむ彼は、その日1日いつも以上に上機嫌だった。
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「で?
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ヘイデンの低い声に驚いたのか、千佳の足元でくつろいで居たミーは突然何処かに走り去ってしまった。
「い、いえ!!
私が、間違えただけでヘイデンさんは、
少しも、一ミリも、全く、全然似ていませんっ!!!」
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「一つ言っとくが、
俺は、誰かを好きになったとしてもその人一筋だ。」
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「は、はい。」
“近い!顔、近い!”
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「で、今も似ているのかしら?」
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「い、いえ!全く」
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「・・・ヘ、ヘイデンさんです」
“な、なに、このやりとり!!!!”
恥ずかしさの様な何かを感じた千佳は、慌てて立ち上がり「掃除してきます」とだけ言って逃げる様にその場を去っていく。
「チカちゃんは、からかい甲斐があるねーー」
紅茶を飲みながら1人でティータイムを楽しむ彼は、その日1日いつも以上に上機嫌だった。
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