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諦めること
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凪が寝室に入ってくると、考え事をしていた千紘はその姿を見て歓喜の声を上げそうになった。自分の服を着ている凪がとても可愛く見えたのだ。
世の女性に彼氏の服を着せる彼シャツなんてものが好まれているが、ゲイの千紘には女性がダボダボの服を着ていて何が可愛いのかよくわからなかった。
体型にそこまで差がない凪が千紘の服を着ているのはとても自然でむしろ似合っていた。ただ、反対にそれが千紘に親近感を覚えさせた。
まるで凪が家にいることが当たり前で、いつも千紘の服を身にまとっているように錯覚しそうになった。
「何見てんだよ……」
凪は半乾きの髪をかきあげながら、怪訝な顔をした。いつもなら凪が気持ち悪がるような言葉をつい言ってしまうのだが、千紘は心の中で我慢、我慢と呟いて言葉を飲み込んだ。
「なんでもない。俺もシャワー浴びてくる。シーツは新しいのに変えてあるから、眠かったら先に寝ててもいいよ」
それだけ言ってシャワーに向かった千紘だったが、しっかりと髪を乾かして戻ると、凪はベッドの上で仰向けに寝転んでいるだけだった。
「眠れないの?」
千紘が近付いてそう尋ねると、「いや、眠い」とだけ呟いた。凪は、湿気を纏った千紘の体温を感じると、普段は白い肌が赤みを帯びているのに気付いて無意識に頬をじっと見つめた。
「なに?」
「肌白いよな」
「まあ、外に出ないからね。元々色白なんだよ」
「ふーん」
「凪も白いじゃん」
「お前ほどじゃないし」
言いながら凪は千紘の首筋に目を移した。キメ細やかで色素の薄い肌は、何度見ても綺麗だった。しかし、男性特有の筋っぽさと血管の太さが際立っていた。
特に血管においては色白だからか青く浮き出て見えて、それもなんだか独特な雰囲気を醸し出しているようだった。
時々あの肌に騙されたんだ。そう思い出すこともあった。初めて会った時、女性だと勘違いするほどに綺麗だった。
凪はその肌を眺めながら、何度会っても変わらず綺麗だと感じた。
世の女性に彼氏の服を着せる彼シャツなんてものが好まれているが、ゲイの千紘には女性がダボダボの服を着ていて何が可愛いのかよくわからなかった。
体型にそこまで差がない凪が千紘の服を着ているのはとても自然でむしろ似合っていた。ただ、反対にそれが千紘に親近感を覚えさせた。
まるで凪が家にいることが当たり前で、いつも千紘の服を身にまとっているように錯覚しそうになった。
「何見てんだよ……」
凪は半乾きの髪をかきあげながら、怪訝な顔をした。いつもなら凪が気持ち悪がるような言葉をつい言ってしまうのだが、千紘は心の中で我慢、我慢と呟いて言葉を飲み込んだ。
「なんでもない。俺もシャワー浴びてくる。シーツは新しいのに変えてあるから、眠かったら先に寝ててもいいよ」
それだけ言ってシャワーに向かった千紘だったが、しっかりと髪を乾かして戻ると、凪はベッドの上で仰向けに寝転んでいるだけだった。
「眠れないの?」
千紘が近付いてそう尋ねると、「いや、眠い」とだけ呟いた。凪は、湿気を纏った千紘の体温を感じると、普段は白い肌が赤みを帯びているのに気付いて無意識に頬をじっと見つめた。
「なに?」
「肌白いよな」
「まあ、外に出ないからね。元々色白なんだよ」
「ふーん」
「凪も白いじゃん」
「お前ほどじゃないし」
言いながら凪は千紘の首筋に目を移した。キメ細やかで色素の薄い肌は、何度見ても綺麗だった。しかし、男性特有の筋っぽさと血管の太さが際立っていた。
特に血管においては色白だからか青く浮き出て見えて、それもなんだか独特な雰囲気を醸し出しているようだった。
時々あの肌に騙されたんだ。そう思い出すこともあった。初めて会った時、女性だと勘違いするほどに綺麗だった。
凪はその肌を眺めながら、何度会っても変わらず綺麗だと感じた。
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