上 下
203 / 325
諦めること

19

しおりを挟む
 凪が寝室に入ってくると、考え事をしていた千紘はその姿を見て歓喜の声を上げそうになった。自分の服を着ている凪がとても可愛く見えたのだ。

 世の女性に彼氏の服を着せる彼シャツなんてものが好まれているが、ゲイの千紘には女性がダボダボの服を着ていて何が可愛いのかよくわからなかった。
 体型にそこまで差がない凪が千紘の服を着ているのはとても自然でむしろ似合っていた。ただ、反対にそれが千紘に親近感を覚えさせた。

 まるで凪が家にいることが当たり前で、いつも千紘の服を身にまとっているように錯覚しそうになった。

「何見てんだよ……」

 凪は半乾きの髪をかきあげながら、怪訝な顔をした。いつもなら凪が気持ち悪がるような言葉をつい言ってしまうのだが、千紘は心の中で我慢、我慢と呟いて言葉を飲み込んだ。

「なんでもない。俺もシャワー浴びてくる。シーツは新しいのに変えてあるから、眠かったら先に寝ててもいいよ」

 それだけ言ってシャワーに向かった千紘だったが、しっかりと髪を乾かして戻ると、凪はベッドの上で仰向けに寝転んでいるだけだった。

「眠れないの?」

 千紘が近付いてそう尋ねると、「いや、眠い」とだけ呟いた。凪は、湿気を纏った千紘の体温を感じると、普段は白い肌が赤みを帯びているのに気付いて無意識に頬をじっと見つめた。

「なに?」

「肌白いよな」

「まあ、外に出ないからね。元々色白なんだよ」

「ふーん」

「凪も白いじゃん」

「お前ほどじゃないし」

 言いながら凪は千紘の首筋に目を移した。キメ細やかで色素の薄い肌は、何度見ても綺麗だった。しかし、男性特有の筋っぽさと血管の太さが際立っていた。
 特に血管においては色白だからか青く浮き出て見えて、それもなんだか独特な雰囲気を醸し出しているようだった。

 時々あの肌に騙されたんだ。そう思い出すこともあった。初めて会った時、女性だと勘違いするほどに綺麗だった。
 凪はその肌を眺めながら、何度会っても変わらず綺麗だと感じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

首輪 〜性奴隷 律の調教〜

M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。 R18です。 ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。 孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。 幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。 それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。 新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。

ショタ18禁読み切り詰め合わせ

ichiko
BL
今まで書きためたショタ物の小説です。フェチ全開で欲望のままに書いているので閲覧注意です。スポーツユニフォーム姿の少年にあんな事やこんな事をみたいな内容が多いです。

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

嫌がる繊細くんを連続絶頂させる話

てけてとん
BL
同じクラスの人気者な繊細くんの弱みにつけこんで何度も絶頂させる話です。結構鬼畜です。長すぎたので2話に分割しています。

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

僕は肉便器 ~皮をめくってなかをさわって~ 【童貞新入社員はこうして開発されました】

ヤミイ
BL
新入社員として、とある企業に就職した僕。希望に胸を膨らませる僕だったが、あろうことか、教育係として目の前に現れたのは、1年前、野外で僕を襲い、官能の淵に引きずり込んだあの男だった。そして始まる、毎日のように夜のオフィスで淫獣に弄ばれる、僕の爛れた日々…。

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

処理中です...