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気持ちは変わるもの
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空きっ腹にピザを放り込む。油をコーラで流し込むと口内でシュワシュワと炭酸が弾けた。会話もなく2人は夢中で食べ進め、平らげると満足気に息をついた。
「こんなに飯食ったの久しぶりかも」
凪はうーんと伸びをしながら言う。腕を戻すと油が付いた指を気にしてか、紙ナプキンで拭う。しかし、指先を擦り合わせて指の腹を眺めていた。
「あんまりご飯食べないって言ってたもんね。たまにはちゃんと食べなよ」
「誰かといれば食うんだけどな。客もそのままホテルとか多いし、タイミング逃すと食う暇ないし」
「手、洗う?」
「洗う」
ずっと指先を気にしている様子の凪にそう言うと、千紘は洗面所に案内をした。その間に空になった箱やら紙ナプキンをゴミ袋にまとめた。
綺麗にテーブルの上を拭くと、窓を開けて換気をする。空腹の時にはあんなにもいい香りに思えたが、満たされたらチーズの匂いが鼻についた。
リビングの空間に消臭剤のミストをスプレーし、香りを上書きさせる。普段テイクアウトやコンビニ弁当が多い千紘にとっては慣れた動作だった。
一方凪は丁寧に手を洗っていた。洗面所もピカピカに輝いていて、床には髪の毛1つ落ちていなかった。
女性の家に行けば脱衣所にはドライヤーで乾かした後の毛がいくつも落ちているものだ。千紘の髪も襟足が長く、髪が落ちていれば目立つだろう。
しかしそこは美容師だからか、一連の動作として片付けまでしている想像ができた。
俺の家だって髪の毛くらい落ちてるけどな……。そう思ってるところに千紘がやってきて、洗面所のミラーに手をかける。中は収納になっていて、未開封の歯ブラシを凪に渡した。
それを受け取った凪は、千紘と並んで歯磨きをする。
前回一緒にホテルに行った時と同じような光景で、不思議な気分だった。自宅なのにホテルよりもよっぽど綺麗で高級感がある。
誰が使ったかわからないようなホテルよりもよっぽど居心地が良く思えた。
一緒にピザなんか食べて全くいやらしい気分になどならなかったのに、なぜかこのまま寝室に向かう気がした。
流水を止めて、口元をタオルで拭う。いよいよかも……凪がそう息を飲んだところで、千紘は自然とリビングへと戻って行った。
「こんなに飯食ったの久しぶりかも」
凪はうーんと伸びをしながら言う。腕を戻すと油が付いた指を気にしてか、紙ナプキンで拭う。しかし、指先を擦り合わせて指の腹を眺めていた。
「あんまりご飯食べないって言ってたもんね。たまにはちゃんと食べなよ」
「誰かといれば食うんだけどな。客もそのままホテルとか多いし、タイミング逃すと食う暇ないし」
「手、洗う?」
「洗う」
ずっと指先を気にしている様子の凪にそう言うと、千紘は洗面所に案内をした。その間に空になった箱やら紙ナプキンをゴミ袋にまとめた。
綺麗にテーブルの上を拭くと、窓を開けて換気をする。空腹の時にはあんなにもいい香りに思えたが、満たされたらチーズの匂いが鼻についた。
リビングの空間に消臭剤のミストをスプレーし、香りを上書きさせる。普段テイクアウトやコンビニ弁当が多い千紘にとっては慣れた動作だった。
一方凪は丁寧に手を洗っていた。洗面所もピカピカに輝いていて、床には髪の毛1つ落ちていなかった。
女性の家に行けば脱衣所にはドライヤーで乾かした後の毛がいくつも落ちているものだ。千紘の髪も襟足が長く、髪が落ちていれば目立つだろう。
しかしそこは美容師だからか、一連の動作として片付けまでしている想像ができた。
俺の家だって髪の毛くらい落ちてるけどな……。そう思ってるところに千紘がやってきて、洗面所のミラーに手をかける。中は収納になっていて、未開封の歯ブラシを凪に渡した。
それを受け取った凪は、千紘と並んで歯磨きをする。
前回一緒にホテルに行った時と同じような光景で、不思議な気分だった。自宅なのにホテルよりもよっぽど綺麗で高級感がある。
誰が使ったかわからないようなホテルよりもよっぽど居心地が良く思えた。
一緒にピザなんか食べて全くいやらしい気分になどならなかったのに、なぜかこのまま寝室に向かう気がした。
流水を止めて、口元をタオルで拭う。いよいよかも……凪がそう息を飲んだところで、千紘は自然とリビングへと戻って行った。
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