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体だけでも
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千紘の頭に手を置いたまま動きを止めた凪。それからすぐにまた撫でてくれるのを期待したのだが、凪の手が動くことはなかった。
千紘は目を開けたままじっと待っていたのだが、遂に痺れを切らして「もう撫でてくんないの?」と尋ねた。
「……起きてたのかよ」
気怠そうな凪の声が響く。千紘はこくりと頷いて、「うん。気持ち良くて起きた」と凪の胸にピッタリとくっついた。
「あの爆音で起きなかったくせに」
「あれはね、起きないよね。あんな機械的な音じゃ」
「わけわかんねぇ。よくそれで仕事遅刻しないよな」
「たまにする」
「すんのかよ」
完璧に仕事をこなすカリスマ成田千紘が頭の中にいた凪は、あきれたように顔をひきつらせた。実態は、凪が知っている千紘のイメージそのものだったからだ。
「でもカットには間に合うよ」
「当たり前だろ。客待たせんなよ。ただでさえ予約取れねぇんだから」
「んー。気を付ける」
やけに素直な千紘を不審に思う凪だったが、素直な千紘ならまだ可愛気があるものだと鼻から息を吐く。
「夜遅いのか、帰るの」
「遅い時もあるよ。カットの練習したり」
「お前でも練習とかすんの?」
凪は驚いて、無意識に顔を歪めた。感覚だけでカットしているイメージだった。それなりに努力はしているだろうが、一定数の顧客がいれば仕事の後までカットの練習などしなくても毎日数をこなせるだろうと思ったのだ。
「するよ。流行りは変わるからね。新しい髪型が出てきたり、時々アニメのキャラクターの画像を見せられたりするからこっちも柔軟に対応できないと仕事にならないの」
ふわふわとした千紘らしい柔らかい言い方だったが、内容は至って真面目だった。そのギャップに凪はふふっと笑みが溢れた。
千紘は目を開けたままじっと待っていたのだが、遂に痺れを切らして「もう撫でてくんないの?」と尋ねた。
「……起きてたのかよ」
気怠そうな凪の声が響く。千紘はこくりと頷いて、「うん。気持ち良くて起きた」と凪の胸にピッタリとくっついた。
「あの爆音で起きなかったくせに」
「あれはね、起きないよね。あんな機械的な音じゃ」
「わけわかんねぇ。よくそれで仕事遅刻しないよな」
「たまにする」
「すんのかよ」
完璧に仕事をこなすカリスマ成田千紘が頭の中にいた凪は、あきれたように顔をひきつらせた。実態は、凪が知っている千紘のイメージそのものだったからだ。
「でもカットには間に合うよ」
「当たり前だろ。客待たせんなよ。ただでさえ予約取れねぇんだから」
「んー。気を付ける」
やけに素直な千紘を不審に思う凪だったが、素直な千紘ならまだ可愛気があるものだと鼻から息を吐く。
「夜遅いのか、帰るの」
「遅い時もあるよ。カットの練習したり」
「お前でも練習とかすんの?」
凪は驚いて、無意識に顔を歪めた。感覚だけでカットしているイメージだった。それなりに努力はしているだろうが、一定数の顧客がいれば仕事の後までカットの練習などしなくても毎日数をこなせるだろうと思ったのだ。
「するよ。流行りは変わるからね。新しい髪型が出てきたり、時々アニメのキャラクターの画像を見せられたりするからこっちも柔軟に対応できないと仕事にならないの」
ふわふわとした千紘らしい柔らかい言い方だったが、内容は至って真面目だった。そのギャップに凪はふふっと笑みが溢れた。
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