229 / 243
新しい風
22
しおりを挟む
真白が勤務を終えて外に出ると、綾菜がポツンと立って待っていた。話をする時間をもらったのだ。
真白は自宅へと綾菜を誘った。決して高収入とは言えない真白の家は、なんの変哲もないオシャレとはかけ離れたアパートだ。
けれど、カフェやファミレスで話す気にはなれなかった。ずっとずっと誰にも言わず、隠し通してきた過去だ。なんの接点もない誰かに聞かれたくはなかった。
「オシャレなマンションとかじゃなくてごめんね。適当に座って」
真白はそう言ったが、綾菜は心做しか嬉しそうだった。これからどんな話が待っているのか不安な中、それでも真白の自宅に来れて嬉しかったのだ。
「ううん……。可愛いものいっぱいで凄く好き」
キョロキョロと見渡す綾菜に、真白は思わず頬を緩めた。安いアパートだが、部屋の中は真白なりに綺麗に整えていた。
収納も少ないが可愛らしい小物入れを工夫して重ね、真白好みのレイアウトに仕上がっていた。
真白が飲み物を用意して綾菜と向かい合って座る。小さなテーブルを挟んでラグの上に2人膝をつき合わせた。
「綾ちゃん、返信できなくて本当にごめんね。嫌いになったとか、迷惑だったとかじゃないの。それだけはわかってほしくて……」
真白はとりあえず心から謝罪をした。本心を言えば、綾菜とはこれからもずっと仲良くしていたいと思っていた。
これでさよならは嫌だと綾菜が言ったように、真白もこのままでは終われないと覚悟を決めた。
「それが聞けただけで嬉しい……。嫌われてたらどうしようって思ったから」
「ううん。本当はね、一緒に出かけた日が楽しくて幸せだったの。でも、こんなに幸せでいいのかなって思ったら急に怖くなって……」
「なんで? 私も凄く楽しくて幸せだよ? 真白ちゃんは怖いことがあるの?」
綾菜は真白以上に不安気な表情を見せた。真白は一呼吸置いてから「あのね……」と少しずつ過去のことについて触れた。
真白は自宅へと綾菜を誘った。決して高収入とは言えない真白の家は、なんの変哲もないオシャレとはかけ離れたアパートだ。
けれど、カフェやファミレスで話す気にはなれなかった。ずっとずっと誰にも言わず、隠し通してきた過去だ。なんの接点もない誰かに聞かれたくはなかった。
「オシャレなマンションとかじゃなくてごめんね。適当に座って」
真白はそう言ったが、綾菜は心做しか嬉しそうだった。これからどんな話が待っているのか不安な中、それでも真白の自宅に来れて嬉しかったのだ。
「ううん……。可愛いものいっぱいで凄く好き」
キョロキョロと見渡す綾菜に、真白は思わず頬を緩めた。安いアパートだが、部屋の中は真白なりに綺麗に整えていた。
収納も少ないが可愛らしい小物入れを工夫して重ね、真白好みのレイアウトに仕上がっていた。
真白が飲み物を用意して綾菜と向かい合って座る。小さなテーブルを挟んでラグの上に2人膝をつき合わせた。
「綾ちゃん、返信できなくて本当にごめんね。嫌いになったとか、迷惑だったとかじゃないの。それだけはわかってほしくて……」
真白はとりあえず心から謝罪をした。本心を言えば、綾菜とはこれからもずっと仲良くしていたいと思っていた。
これでさよならは嫌だと綾菜が言ったように、真白もこのままでは終われないと覚悟を決めた。
「それが聞けただけで嬉しい……。嫌われてたらどうしようって思ったから」
「ううん。本当はね、一緒に出かけた日が楽しくて幸せだったの。でも、こんなに幸せでいいのかなって思ったら急に怖くなって……」
「なんで? 私も凄く楽しくて幸せだよ? 真白ちゃんは怖いことがあるの?」
綾菜は真白以上に不安気な表情を見せた。真白は一呼吸置いてから「あのね……」と少しずつ過去のことについて触れた。
12
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
連続寸止めで、イキたくて泣かされちゃう女の子のお話
まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
「一日中、イかされちゃうのと、イケないままと、どっちが良い?」
久しぶりの恋人とのお休みに、食事中も映画を見ている時も、ずっと気持ち良くされちゃう女の子のお話です。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる