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新しい風

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「真白は亜純には最後に連絡したんだね。少しは悪いと思ってたってことだよね」

「うん……多分。言い訳してたら千景にも同じようにしたと思うの。でも、誰とも連絡を取りたがらないってことは私からも離れるつもりだったんだと思うから」

 亜純が言うと、千景はそっとその場を離れた。

「俺、先にシャワー浴びてくるからその間ゆっくりしてたらいいよ」

 亜純は千景の言葉に頷いた。その場にいてほしい気もしたが、きっと真白は亜純にだけ伝えたいことがあって、千景には知られたくないのだろうと思った。

 亜純は意を決してメッセージを開いた。あれからもう1年だ。そこに追加して真白からのメッセージはない。
 何度も着信があったようで、電話に出てくれないかという文章が続いたあと、最後に長文が残っていた。

 出だしは謝罪だった。やっぱり謝る気はあったのだと少しだけ安堵した。自分を陥れるために依をあてがったのだとしたら……なんてことも考えなかったわけではない。
 少なくともちゃんと友達だったのだと、一方的に亜純だけが友達だと思っていただけでないことがわかればそれでよかった。

 しかし、亜純は文章を読み進めて途中で手を震わせた。そこには想像を絶する事実が書かれていた。
 初めて出会った時、生きる気力もなく孤独だったこと。それが亜純のおかげで救われたこと、初めて好きになったのが亜純だったこと。報われない想いだとわかっているから、自分の代わりに亜純を幸せにしてくれる男性と一緒にいてほしいこと。本当は千景の方が亜純とお似合いだと思ったこと。そんなことがつらつらと綴られていた。

 違和感が全くなかったわけではない。真白から好意は感じていた。嫉妬する素振りを見せたり、変に執着されたり。けれどそれは親友だからだと思っていた。

 亜純は急にぶわっと涙がこぼれた。真白と依に傷付けられたことは紛れもない事実だ。けれど、真白の想いを知ろうともせず無意識に真白を傷付けていたのは自分だったのだと気付かされた。
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