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友人の恋人
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「わかんない……」
亜純は唇が震えるのを感じていた。真白には離婚する気はないとキッパリ伝えたものの、この状況のまま生涯依と2人きりで生活するのかと思ったら急に恐ろしくなった。
亜純の知る依は、自分との子供の存在を楽しみにしていたはず。それも結婚した後にその話もした。
決して自分と結婚したいがために嘘をついたわけじゃない。はずだった。だとしたらいつから答えが変わったのか。6年間の結婚生活の中で、いつどのタイミングで子供がいらないと思ったのか。そう思った時になぜ言ってくれなかったのか。
いろんな疑問がうわっと押し寄せて、依への不信感が募った。
「わかんないってなんだよ。じゃあ、俺以外の男の子供でも産むつもり?」
依の舌打ちが大きく聞こえる。今まで亜純以外の人間に対してはこんなふうにあからさまな不機嫌を表出することは多々あったが、それを亜純に向けたことはなかった。
それなのに、初めて自分へ向けての強い口調はよりにもよって亜純の夢を否定された時だった。
「そんなこと言ってるんじゃない。依は、いつから子供はいらないって思ってたの? 依だって最初は子供が欲しいって思ってたって言ったじゃん」
「いつからって……結婚して1年くらい。だって俺は亜純と一緒に住みたいってずっと思ってたし、一緒に住んだら想像してたより楽しかったから」
亜純はくらっと目眩がした。おそらくセックスレスとなった1年くらい前だろうという想像くらいはついた。それまでは付き合った当初から変わらない関係を築いてきたのだから。けれど、亜純の予想を簡単に裏切っていく依は随分と前から子供を作る気などなかったのだ。
それも、子供がいらないからセックスはしないと言ったここ1年とは違い、心の中では子供を望んでいないにもかかわらず毎日のように亜純を求めた。
セックスしないことが誠実だと依は言ったが、だとしたら子供はいらないと思いながら亜純を抱いていた4年間は一体なんだったのかと依の言動が理解できそうになかった。
亜純は唇が震えるのを感じていた。真白には離婚する気はないとキッパリ伝えたものの、この状況のまま生涯依と2人きりで生活するのかと思ったら急に恐ろしくなった。
亜純の知る依は、自分との子供の存在を楽しみにしていたはず。それも結婚した後にその話もした。
決して自分と結婚したいがために嘘をついたわけじゃない。はずだった。だとしたらいつから答えが変わったのか。6年間の結婚生活の中で、いつどのタイミングで子供がいらないと思ったのか。そう思った時になぜ言ってくれなかったのか。
いろんな疑問がうわっと押し寄せて、依への不信感が募った。
「わかんないってなんだよ。じゃあ、俺以外の男の子供でも産むつもり?」
依の舌打ちが大きく聞こえる。今まで亜純以外の人間に対してはこんなふうにあからさまな不機嫌を表出することは多々あったが、それを亜純に向けたことはなかった。
それなのに、初めて自分へ向けての強い口調はよりにもよって亜純の夢を否定された時だった。
「そんなこと言ってるんじゃない。依は、いつから子供はいらないって思ってたの? 依だって最初は子供が欲しいって思ってたって言ったじゃん」
「いつからって……結婚して1年くらい。だって俺は亜純と一緒に住みたいってずっと思ってたし、一緒に住んだら想像してたより楽しかったから」
亜純はくらっと目眩がした。おそらくセックスレスとなった1年くらい前だろうという想像くらいはついた。それまでは付き合った当初から変わらない関係を築いてきたのだから。けれど、亜純の予想を簡単に裏切っていく依は随分と前から子供を作る気などなかったのだ。
それも、子供がいらないからセックスはしないと言ったここ1年とは違い、心の中では子供を望んでいないにもかかわらず毎日のように亜純を求めた。
セックスしないことが誠実だと依は言ったが、だとしたら子供はいらないと思いながら亜純を抱いていた4年間は一体なんだったのかと依の言動が理解できそうになかった。
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