33 / 243
今夜は同窓会
02
しおりを挟む
真白は亜純の後姿を見つけた。7ヶ月ぶりに会ったって、真白にはそれが亜純だとすぐにわかった。
隣にはべったりと依の姿を見つけて真白は目を細くさせた。2人をくっつけたのは自分だが、公共の場でも亜純にひっついている依を見るのはあまり気持ちのいいものではなかった。
ただ、唯一依の存在を許せるのは浮気をしない点だけだ。他の女に目を向ける男も、体だけを求める男も吐き気がするほど醜いものだ。
亜純を手に入れるために真白を抱いた男だが、依はそのたった1回以降真白を求めることはなかった。それどころか亜純を手に入れたらさっさと真白を邪魔者扱いした。
利用し合った仲だといえるが、真白はそれでようやく依の亜純に対する本気の好意を感じた気がした。
「亜純」
真白が亜純に話しかければ、亜純は瞼を上げその刹那ニッコリと笑った。見慣れた笑顔を見て真白はふっと微笑んだ。
「ドレス可愛い」
「ありがとう。亜純も……黒にしたんだ」
亜純はゆったりとしたパンツドレスを綺麗に着こなしていた。焼けた肌にもよく似合っていた。普段は活発な雰囲気の亜純だが、髪をセットし珍しくメイクをしているからか気品を感じた。
「うん。もっと早くわかってれば真白に選んでもらいたかったのに」
苦笑する亜純を見て、真白の胸はツキンと痛んだ。同窓会のこと、先に亜純に言えばよかったかな……なんて思いながらもまだ通院している自分の体を思い軽く息をつく。
「ごめんね。私、事故してちょっと入院してたの」
「事故!?」
依から聞いていた亜純は、約束通り初めて聞いたかのように驚いてみせた。
「うん。保険屋さんに連絡取りたくて依には言ったんだけど……亜純には心配かけたくなくて」
「そっか……。でも、私もお見舞いくらい行きたかったよ」
「まあ、怪我しただけだから。同窓会には間に合うだろうと思ってたし。それも含めて今日話したいなって」
「うん……」
真白は複雑そうにしている亜純の顔を見て首を傾げた。
「どうかした?」
「……ううん」
亜純はチラリと依の横顔を見て目を伏せた。依との間に何かあったのだろうと察した真白は、依が男性陣と話している隙をついて亜純の手を握ってその場をそっと離れた。
隣にはべったりと依の姿を見つけて真白は目を細くさせた。2人をくっつけたのは自分だが、公共の場でも亜純にひっついている依を見るのはあまり気持ちのいいものではなかった。
ただ、唯一依の存在を許せるのは浮気をしない点だけだ。他の女に目を向ける男も、体だけを求める男も吐き気がするほど醜いものだ。
亜純を手に入れるために真白を抱いた男だが、依はそのたった1回以降真白を求めることはなかった。それどころか亜純を手に入れたらさっさと真白を邪魔者扱いした。
利用し合った仲だといえるが、真白はそれでようやく依の亜純に対する本気の好意を感じた気がした。
「亜純」
真白が亜純に話しかければ、亜純は瞼を上げその刹那ニッコリと笑った。見慣れた笑顔を見て真白はふっと微笑んだ。
「ドレス可愛い」
「ありがとう。亜純も……黒にしたんだ」
亜純はゆったりとしたパンツドレスを綺麗に着こなしていた。焼けた肌にもよく似合っていた。普段は活発な雰囲気の亜純だが、髪をセットし珍しくメイクをしているからか気品を感じた。
「うん。もっと早くわかってれば真白に選んでもらいたかったのに」
苦笑する亜純を見て、真白の胸はツキンと痛んだ。同窓会のこと、先に亜純に言えばよかったかな……なんて思いながらもまだ通院している自分の体を思い軽く息をつく。
「ごめんね。私、事故してちょっと入院してたの」
「事故!?」
依から聞いていた亜純は、約束通り初めて聞いたかのように驚いてみせた。
「うん。保険屋さんに連絡取りたくて依には言ったんだけど……亜純には心配かけたくなくて」
「そっか……。でも、私もお見舞いくらい行きたかったよ」
「まあ、怪我しただけだから。同窓会には間に合うだろうと思ってたし。それも含めて今日話したいなって」
「うん……」
真白は複雑そうにしている亜純の顔を見て首を傾げた。
「どうかした?」
「……ううん」
亜純はチラリと依の横顔を見て目を伏せた。依との間に何かあったのだろうと察した真白は、依が男性陣と話している隙をついて亜純の手を握ってその場をそっと離れた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
【R18百合】会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています
千鶴田ルト
恋愛
桜庭ハルナは、会社の先輩社員である月岡美波と付き合っている。
問題なく仲良く過ごしていたが、四月になり美波が異動して、色々と状況が変わってきた。
ハルナと美波の関係性はどうなっていくのか。
「会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました」https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/4808951
の続編です。
同じ二人の物語ではありますが、少し仕事の面が増えてきて毛色が変わるかもしれません。
前作よりも性的シーンは減るので、性的シーンありの話数には「※」をつけます。
※タイトル画像はAI生成です
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される
鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
未練でしょうか。君なんて好きじゃない
culala8751
恋愛
自分でふった元カレと決別したはず。良いお友達に戻ったはずだったのに
ある日私の前に現れたのは、成長してイケメンになった元カレ
胸が高鳴る日々に、結局顔さえ良ければよかったのかと自分のふがいなさを感じる。
読み切り。短編。恋愛。小説です
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる