したい夜はきみとじゃない

今夜は同窓会

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　ラフィネホテルロビーにはたくさんの人が集っていた。豪華なインテリアに囲まれ、着飾った男女が笑顔で会話をする。
　まるで結婚式の二次会のようにも見えたが、今夜は高校の同窓会。

　幹事が仕事のコネを使って安く会場を借りられたと鼻高々にしているのを、かつての同級生達はチラチラと横目に見ていた。

　そんな中、真白は濃いオレンジ色のワンピースに身を包み、Aラインのスカートを翻して亜純の姿を探していた。
　亜純とはもう半年会っていない。正確には7ヶ月だ。その時だって実に久しぶりに会ったのだ。

　というのも仕事の休みが合わず、せめてランチだけ……というのも難しくかといって朝早い亜純が、仕事終わりの遅い真白に合わせてディナーに行くのも大変だったからだ。

「休みが合ったら行こうね」そんなことを言っていたら、社会人の数ヶ月などあっという間に過ぎ去ってしまう。
　真白も亜純に会いたいのは山々だったが、亜純に合わせて休みを取ることはしなかった。依が自分のことをよく思っていないのをわかっているからだ。無理に亜純に干渉しなかったのも、亜純の幸せをそっと見守るためでもあった。

　ただそれとは別に、真白には見届けてみたい幸せというものがあった。男女の交際、結婚、家庭。どれも真白にとっては最悪な思い出でしかない。
　大人の事情、家庭の事情なんて子供にとっては悪夢でしかない。なぜ人々はパートナーを欲しがるのか、子供を欲しがるのか真白には理解のできないことだった。

　表向きでは幸せそうな家庭に見えてもそうでないこともある。いい人そうに見えてもそうではない裏の顔がある。
　真白はそれを見を持ってよく知っている。だからこそ、真の幸せを手に入れられる人間は本当に存在するのか興味があった。