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効果覿面
【17】
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私達は指定された店に入り、驚愕する。高級そうなお店だ。伊織くんの名前を出すと、すぐに案内された。
「何か、凄いお店だね……」
私が恐縮してあまねくんに小声で話しかけると「ね。金持ちの道楽って感じ」と嫌味を言っている。
本当に本人に悪態ついたりしないだろうかと今から気が気じゃない。
個室に通され、中を覗くと暖色のライトで照らされた広い個室だった。高そうなシャンデリアが高い天井から下がっていて、その下でいくつものシャンパンが置かれている。
「こんばんは」
声をかけると伊織くんが私に気付き、顔を上げた。
「まどかさん! お久しぶりです。今日は遠くまでありがとうございます」
笑顔で私達の元に駆け寄る伊織くん。
「初めまして。いつも妻がお世話になっております。夫の守屋周と申します。本日は押し掛けてしまって申し訳ありません」
私が答えるよりも先に、あまねくんが私と伊織くんの間に入って言った。
高身長の周くんを見上げるようにして伊織くんが視線を上に向ける。
「……初めまして。間宮伊織と申します。こちらこそ、すみません。奥様をこんなところにまで呼び出してしまって。ご迷惑ではなかったですか?」
「とんでもない。妹がお世話になったそうで、一度お会いしてお礼をしたいと思っていたところです」
お互いによそ行きの顔をしている様子の2人。伊織くんの背後に能の面、あまねくんの背後に般若の面が見えるのは気のせいだろうか……。
初対面でこの空気。大丈夫かな……。
「奏ちゃんのお兄さんになるんですよね? まどかさんの話を聞いた時には驚きましたよ」
「ええ。妹も姉ができて嬉しいようで、妻にはすっかりなついてくれていますよ」
「仲が良さそうで羨ましいです。あ、遅くなりましたがよければどうぞ」
そう言って伊織くんはあまねくんに名刺を渡した。プライベートでも持ち歩いているのだから油断ならない。そう思っていたら「頂戴致します。よろしくお願いします」そう言ってあまねくんも名刺を渡していた。
プライベートでも名刺のやりとりって普通なの!?
職種柄、今まで名刺を持ったことなどない私は2人のやり取りに唖然する。
「何か、凄いお店だね……」
私が恐縮してあまねくんに小声で話しかけると「ね。金持ちの道楽って感じ」と嫌味を言っている。
本当に本人に悪態ついたりしないだろうかと今から気が気じゃない。
個室に通され、中を覗くと暖色のライトで照らされた広い個室だった。高そうなシャンデリアが高い天井から下がっていて、その下でいくつものシャンパンが置かれている。
「こんばんは」
声をかけると伊織くんが私に気付き、顔を上げた。
「まどかさん! お久しぶりです。今日は遠くまでありがとうございます」
笑顔で私達の元に駆け寄る伊織くん。
「初めまして。いつも妻がお世話になっております。夫の守屋周と申します。本日は押し掛けてしまって申し訳ありません」
私が答えるよりも先に、あまねくんが私と伊織くんの間に入って言った。
高身長の周くんを見上げるようにして伊織くんが視線を上に向ける。
「……初めまして。間宮伊織と申します。こちらこそ、すみません。奥様をこんなところにまで呼び出してしまって。ご迷惑ではなかったですか?」
「とんでもない。妹がお世話になったそうで、一度お会いしてお礼をしたいと思っていたところです」
お互いによそ行きの顔をしている様子の2人。伊織くんの背後に能の面、あまねくんの背後に般若の面が見えるのは気のせいだろうか……。
初対面でこの空気。大丈夫かな……。
「奏ちゃんのお兄さんになるんですよね? まどかさんの話を聞いた時には驚きましたよ」
「ええ。妹も姉ができて嬉しいようで、妻にはすっかりなついてくれていますよ」
「仲が良さそうで羨ましいです。あ、遅くなりましたがよければどうぞ」
そう言って伊織くんはあまねくんに名刺を渡した。プライベートでも持ち歩いているのだから油断ならない。そう思っていたら「頂戴致します。よろしくお願いします」そう言ってあまねくんも名刺を渡していた。
プライベートでも名刺のやりとりって普通なの!?
職種柄、今まで名刺を持ったことなどない私は2人のやり取りに唖然する。
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