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傷が疼く
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久しぶりの行為に夜天は1度すぐに果てた。けれど、体は全く満たされず底なし沼のように夕映を求めた。
夕映が初めてだということを忘れそうになる。優しくしてやりたい気持ちも当然ある。しかし、身も心も夕映を求めて止まらない。
汗と体液に塗れた夕映の体。いつの間にか意識を手放した夕映の体を抱き抱えると、湯を張ったバスタブの中で丁寧にその体を洗った。
ぷかぷかと浮く体を優しく撫でながら、夕映の髪にキスを落とす。
「ごめんな……止まんなかったわ」
夢の中にいる夕映にそっと呟く。誰にも渡したくないと思った。数時間前までは旭の彼女だった。いつ、何があるかわからない。今はこんなにも素直で子供でも、年齢と経験を重ね、色んな男と出会ったら感情も変わるかもしれない。
9年という差は大きい。男女のいざこざ、裏切り、性格の不一致。それらを経験し、恋愛にうんざりすることもあった夜天。それに対し、恋愛は楽しいことばかりだと希望に満ち溢れている夕映。
いつか同世代の男の方がよかったと思う日がくるかもしれない。不意にそんなことを考えた。夕映の心を留めておきたいと切に願う。いつまでこんな可愛い夕映が見られるかな……と寂しくなったりもする。
「夕映……ずっと俺だけのものでいろよ」
滑らかな肌をした背中を撫でながら、夜天はまた1つポツリと呟いた。
身なりを整えた夜天は、夕映を一旦ソファーに寝かしてベッドのシーツを変えると、そこに夕映を移動させる。
ピッタリと寝室のドアを閉めてから旭に電話をかけた。長時間の戯れのおかげで空も明るくなっていた。
夏は日が昇るのが早ぇな。そう思いながら呼び出し音を聞く。
「……もしもし。今、何時だと思ってるの?」
旭はそう言ったが、寝起きの声ではなかった。夜天はリビングのソファーに腰掛け、軽く目を伏せた。
「眠れなかったろ。夕映が心配で」
「……別に。心配なんて……」
「付き合うことにした」
「……そう」
活気のない旭の声。寂しそうで、切なそうだった。
「夕映のこと、好きになったのか?」
「……まさか。違うよ」
「あっそ。やっぱり男しか無理だったか」
「知らない。試す前に逃げられちゃったから」
「お前が逃がしたんだろうが」
「あんなに泣かれたら、引き止められないし……別に、夕映ちゃんが幸せならいいって思ったし……」
「お前な、ちょっと好きになってんじゃねぇか」
夜天はそう言って顔をしかめた。前の旭なら夕映の幸せなんて考えなかった。ひっそりと片想いをしていたい旭にとって邪魔で鬱陶しい存在だったはず。それが、夕映の幸せを願うこと自体、見方が変わった証拠だ。
夕映が初めてだということを忘れそうになる。優しくしてやりたい気持ちも当然ある。しかし、身も心も夕映を求めて止まらない。
汗と体液に塗れた夕映の体。いつの間にか意識を手放した夕映の体を抱き抱えると、湯を張ったバスタブの中で丁寧にその体を洗った。
ぷかぷかと浮く体を優しく撫でながら、夕映の髪にキスを落とす。
「ごめんな……止まんなかったわ」
夢の中にいる夕映にそっと呟く。誰にも渡したくないと思った。数時間前までは旭の彼女だった。いつ、何があるかわからない。今はこんなにも素直で子供でも、年齢と経験を重ね、色んな男と出会ったら感情も変わるかもしれない。
9年という差は大きい。男女のいざこざ、裏切り、性格の不一致。それらを経験し、恋愛にうんざりすることもあった夜天。それに対し、恋愛は楽しいことばかりだと希望に満ち溢れている夕映。
いつか同世代の男の方がよかったと思う日がくるかもしれない。不意にそんなことを考えた。夕映の心を留めておきたいと切に願う。いつまでこんな可愛い夕映が見られるかな……と寂しくなったりもする。
「夕映……ずっと俺だけのものでいろよ」
滑らかな肌をした背中を撫でながら、夜天はまた1つポツリと呟いた。
身なりを整えた夜天は、夕映を一旦ソファーに寝かしてベッドのシーツを変えると、そこに夕映を移動させる。
ピッタリと寝室のドアを閉めてから旭に電話をかけた。長時間の戯れのおかげで空も明るくなっていた。
夏は日が昇るのが早ぇな。そう思いながら呼び出し音を聞く。
「……もしもし。今、何時だと思ってるの?」
旭はそう言ったが、寝起きの声ではなかった。夜天はリビングのソファーに腰掛け、軽く目を伏せた。
「眠れなかったろ。夕映が心配で」
「……別に。心配なんて……」
「付き合うことにした」
「……そう」
活気のない旭の声。寂しそうで、切なそうだった。
「夕映のこと、好きになったのか?」
「……まさか。違うよ」
「あっそ。やっぱり男しか無理だったか」
「知らない。試す前に逃げられちゃったから」
「お前が逃がしたんだろうが」
「あんなに泣かれたら、引き止められないし……別に、夕映ちゃんが幸せならいいって思ったし……」
「お前な、ちょっと好きになってんじゃねぇか」
夜天はそう言って顔をしかめた。前の旭なら夕映の幸せなんて考えなかった。ひっそりと片想いをしていたい旭にとって邪魔で鬱陶しい存在だったはず。それが、夕映の幸せを願うこと自体、見方が変わった証拠だ。
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