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お付き合いすることになりまして
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「じゃぁ、どうしたんですか?」
「……寝付けなかったから」
「そうでしたか。疲れすぎてるんですかね? いつもはちゃんと眠れてますか?」
「うん……」
声が聞きたくなってかけたなんて言えるかよ、ばーか。
そう思いながらもなんとなく嬉しくなって、体を起こすと夕映の声に耳を傾けた。
「まだ平日ど真ん中ですから、お休みまでありますね……」
「だな……。なぁ、再来週の日曜日だけ休みだったろ?」
「え? あ、はい。そうですね」
「……用事あんのか」
「その日は荻乃先生とご飯に行きます」
ふふっと嬉しそうな声が聞こえた。夜天はピタッとその場で硬直する。瞬きをするのも忘れて口を開いた。
「……え? 旭とか?」
「はい! お食事に誘ってくれたんですよー」
「再来週……」
「それ以外はお休み合わないので、平日は先生も忙しいじゃないですか」
「……だな」
夜天は激しく動揺した。まだまだ大丈夫だと思っていた。旭と会話をしたのは10日前で、その間にも夕映と連絡だけは取っていた。先週の土日は午前、午後のどちらかに用事があって来週誘えばいいやなんて悠長なことを考えていた。
こんなことになるなら、半日だけでも……いや、数時間だけでも会っておけばよかったと後悔した。
でも何でだ? 旭は武内のことが好きで、そっちを諦められないなら夕映には近付くなと警告したはずだ。旭の性格だから、ずるいと言われたことを強行突破するなんてことはないだろう。だとすれば……本当に精算したのか? 嘘だろ……。
信じられないといったように、動揺して目を泳がせる。精算とはどうしたのか、自己解決なのか、保に伝えたのかと頭の中でグルグルと思考が渦巻く。
夕映はそのことを知っているのだろうか。だとしてもどうやって聞く? 直接聞くのはおかしいよな……。
「なんか、武内のことで旭から相談でもあったか?」
「え?」
「いや、ほら……今回飯に誘われた時、武内のこと何か言ってた? 俺のところには、そういう話があったから……」
またかまかけてみれば……
「あぁ、武内先生に告白したことですか? もう夜天さんも知ってたんですね。詳しい話は会った時にするねって言われてるんで、多分私は夜天さんほどは知らないです」
頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。
武内に告白? ……旭が? しかもその内容を詳しく伝えるために夕映と会うのか?
動揺するなという方が無理だった。旭に釘を刺すつもりが、反対に火をつけてしまったようだと気付く。6年も行動に移せなかった旭がこうもあっさりと保に想いを告げるだなんて思ってもみなかった。
ドッドッドッと激しく脈打つ胸を押さえながら「……そっか。ところでお前、今週か来週いつなら空いてんの?」と尋ねた。
「……寝付けなかったから」
「そうでしたか。疲れすぎてるんですかね? いつもはちゃんと眠れてますか?」
「うん……」
声が聞きたくなってかけたなんて言えるかよ、ばーか。
そう思いながらもなんとなく嬉しくなって、体を起こすと夕映の声に耳を傾けた。
「まだ平日ど真ん中ですから、お休みまでありますね……」
「だな……。なぁ、再来週の日曜日だけ休みだったろ?」
「え? あ、はい。そうですね」
「……用事あんのか」
「その日は荻乃先生とご飯に行きます」
ふふっと嬉しそうな声が聞こえた。夜天はピタッとその場で硬直する。瞬きをするのも忘れて口を開いた。
「……え? 旭とか?」
「はい! お食事に誘ってくれたんですよー」
「再来週……」
「それ以外はお休み合わないので、平日は先生も忙しいじゃないですか」
「……だな」
夜天は激しく動揺した。まだまだ大丈夫だと思っていた。旭と会話をしたのは10日前で、その間にも夕映と連絡だけは取っていた。先週の土日は午前、午後のどちらかに用事があって来週誘えばいいやなんて悠長なことを考えていた。
こんなことになるなら、半日だけでも……いや、数時間だけでも会っておけばよかったと後悔した。
でも何でだ? 旭は武内のことが好きで、そっちを諦められないなら夕映には近付くなと警告したはずだ。旭の性格だから、ずるいと言われたことを強行突破するなんてことはないだろう。だとすれば……本当に精算したのか? 嘘だろ……。
信じられないといったように、動揺して目を泳がせる。精算とはどうしたのか、自己解決なのか、保に伝えたのかと頭の中でグルグルと思考が渦巻く。
夕映はそのことを知っているのだろうか。だとしてもどうやって聞く? 直接聞くのはおかしいよな……。
「なんか、武内のことで旭から相談でもあったか?」
「え?」
「いや、ほら……今回飯に誘われた時、武内のこと何か言ってた? 俺のところには、そういう話があったから……」
またかまかけてみれば……
「あぁ、武内先生に告白したことですか? もう夜天さんも知ってたんですね。詳しい話は会った時にするねって言われてるんで、多分私は夜天さんほどは知らないです」
頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。
武内に告白? ……旭が? しかもその内容を詳しく伝えるために夕映と会うのか?
動揺するなという方が無理だった。旭に釘を刺すつもりが、反対に火をつけてしまったようだと気付く。6年も行動に移せなかった旭がこうもあっさりと保に想いを告げるだなんて思ってもみなかった。
ドッドッドッと激しく脈打つ胸を押さえながら「……そっか。ところでお前、今週か来週いつなら空いてんの?」と尋ねた。
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