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友達、あげようか?
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夕映は手の甲で涙を拭きながら「ほとんど私の片想いなんです……先生は優しいから、私がしつこくしたから仕方なく付き合ってくれただけで……」と切り出した。
肯定も否定もせず、旭とは普通の恋人同士とは違うのだと仄めかすにはこう言うのがやっとだった。
「……なるほどね。わけありなのね……」
希星は旭が本気で夕映を好きなわけではないと察したのか、眉を下げて口元を手で覆った。それから、何か気分転換になりそうなことはないかと思考を巡らす。
「お友達と遠くに出かけてみたら? 現実逃避もたまには必要よ」
「……友達いないんです、私……」
「え!?」
「高校の時に仲良かった子達は、私が病気になってからあまりいい顔をしなくなって……今では疎遠です」
夕映は肩を震わせて、自分の膝を見つめていた。ズボンが涙で濡れて、水玉模様を作った。小さな体が更に小さく見え、希星も狼狽する。
「じゃ、じゃあ……看護学校の時のお友達は?」
「私がいた学校は、こことは提携してなくて……皆、奨学金を借りてたりしたから提携先の病院に就職したんです。私だけここにしたから、同期は今の子達だけだし、あの子達は皆学校が同じだったから最初から仲良しで……」
夕映は思い出したら悲しくなった。看護学校にだって仲良くなった子達はいるが、今は苦戦しながらも皆で仲良く奮闘しているらしかった。その話を電話口で聞けば、自分が置かれている状況が虚しくて現状を語り合うだなんてとてもできそうになかった。
肯定も否定もせず、旭とは普通の恋人同士とは違うのだと仄めかすにはこう言うのがやっとだった。
「……なるほどね。わけありなのね……」
希星は旭が本気で夕映を好きなわけではないと察したのか、眉を下げて口元を手で覆った。それから、何か気分転換になりそうなことはないかと思考を巡らす。
「お友達と遠くに出かけてみたら? 現実逃避もたまには必要よ」
「……友達いないんです、私……」
「え!?」
「高校の時に仲良かった子達は、私が病気になってからあまりいい顔をしなくなって……今では疎遠です」
夕映は肩を震わせて、自分の膝を見つめていた。ズボンが涙で濡れて、水玉模様を作った。小さな体が更に小さく見え、希星も狼狽する。
「じゃ、じゃあ……看護学校の時のお友達は?」
「私がいた学校は、こことは提携してなくて……皆、奨学金を借りてたりしたから提携先の病院に就職したんです。私だけここにしたから、同期は今の子達だけだし、あの子達は皆学校が同じだったから最初から仲良しで……」
夕映は思い出したら悲しくなった。看護学校にだって仲良くなった子達はいるが、今は苦戦しながらも皆で仲良く奮闘しているらしかった。その話を電話口で聞けば、自分が置かれている状況が虚しくて現状を語り合うだなんてとてもできそうになかった。
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