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友達、あげようか?
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まだ定時で帰宅できていた頃、ロッカールームで詩に会った夕映が「河野さんは岩崎先生と付き合っていて、嫌がらせとかなかったんですか?」と聞いた事があった。
「嫌がらせ? そんなのしょっちゅうだよ。今もあるよー。子供みたいに虐めて楽しんでるんだよね。付き合ってもないのに噂だけで嫌がらせしたりするし」
詩はからっと笑ってそう言った。何も気にしていない。そんな様子が伺えた。
「河野さんは強いですね……。私なんて、もう心が折れそうです」
「まあ、1年生だしね。仕事覚えるまでしょうがないよ。でも、あの人達に文句言われないようになるためには、仕事ができるようになるしかないよ。あの人達より働いてるしって思えば、気にならなくなるよ」
「それ、何年かかりますか?」
「だから3年だって」
「そんなに我慢できそうにありません」
「荻乃先生に相談してみたら?」
「岩崎先生は助けてくれますか?」
「ぜーんぜん。守ってくれるように見える? 岩崎先生、オペにしか興味ないし、そもそも看護師のことは嫌いだから必要最低限関わりたくないんだよ」
そんなことさえ笑って言う詩。
つ、強い……。看護師ってそもそもここまで打たれ強くなきゃ無理なんだ……。
夕映は顔を引きつらせながら、詩とは実務経験も境遇も違い、心の強さも違うのだと自分の非力さを思い知らされただけだった。
本日も声を押し殺して泣くと、泣き顔を家に持ち帰るわけにはいかないと綺麗にハンカチで頬を拭った。看護師になりたいと言ったのは自分で、それを応援してくれた家族が家にはいる。先月、国家試験の合格を一緒に喜んでくれた母の顔を思い出すと、とても心配などかけられなかった。
旭に近付きたい一心で看護師になったのも事実。不純な動機で看護師となり、旭に契約を持ちかけたのも自分。
全ては自分の行いが今の現状に繋がっているのだと思うと、弱音を吐ける立場ではないこともわかっていた。
「嫌がらせ? そんなのしょっちゅうだよ。今もあるよー。子供みたいに虐めて楽しんでるんだよね。付き合ってもないのに噂だけで嫌がらせしたりするし」
詩はからっと笑ってそう言った。何も気にしていない。そんな様子が伺えた。
「河野さんは強いですね……。私なんて、もう心が折れそうです」
「まあ、1年生だしね。仕事覚えるまでしょうがないよ。でも、あの人達に文句言われないようになるためには、仕事ができるようになるしかないよ。あの人達より働いてるしって思えば、気にならなくなるよ」
「それ、何年かかりますか?」
「だから3年だって」
「そんなに我慢できそうにありません」
「荻乃先生に相談してみたら?」
「岩崎先生は助けてくれますか?」
「ぜーんぜん。守ってくれるように見える? 岩崎先生、オペにしか興味ないし、そもそも看護師のことは嫌いだから必要最低限関わりたくないんだよ」
そんなことさえ笑って言う詩。
つ、強い……。看護師ってそもそもここまで打たれ強くなきゃ無理なんだ……。
夕映は顔を引きつらせながら、詩とは実務経験も境遇も違い、心の強さも違うのだと自分の非力さを思い知らされただけだった。
本日も声を押し殺して泣くと、泣き顔を家に持ち帰るわけにはいかないと綺麗にハンカチで頬を拭った。看護師になりたいと言ったのは自分で、それを応援してくれた家族が家にはいる。先月、国家試験の合格を一緒に喜んでくれた母の顔を思い出すと、とても心配などかけられなかった。
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