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蛍火①
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私は、久しぶりに昔の友達に助けを求めた。
緑が多く、親子連れがピクニックするような、そんな広い公園で待ち合わせをした。
茶髪で、ピアスをした男が肩を揺らしながら、ゆっ……たりと前から歩いてくる。相変わらず背が高いし、カッコいい。アイドルと言っても誰も疑わないだろう。
「天神君。久しぶり~」
「は、はい。リサさん。お久しぶりっす!」
「元気にしてた?」
「あぁ、はい。元気にしてました」
「私もさ、この通り元気だよ」
「右目を失い……。それでも元気。さすがっす!」
二人で公園を歩いていると、たくさんのアゲハ蝶が天神君に寄ってきた。
「相変わらず、人間、虫問わずモテまくりだね」
「ハハハ。まぁ、モテすぎるのも大変ですけどね~」
贅沢な悩み。
「今日、来てもらったのは天神君の力を借りたいからなんだけど……。今度の異世界の女性は、虫の姿になれるみたいでさ。人間と違って特殊な虫を確保するのは、私でもかなり難しいから……」
「俺の力で、その蟲を捕まえればいいんですね? で、異世界に連れてくる」
「うん。頼める?」
「分かりました。ただ一つだけ、俺からもあなたに頼みがありまして」
どこから来たのか、無数のスズメバチが私を取り囲んでいた。全方位から襲ってくる。
「俺達の魔女が、あの頃のままか確かめさせて下さい」
スズメバチに身体中を包まれ、中は蒸し風呂状態。それでも私は、蜂に一切攻撃をしなかった。
数分後、体から離れていく蜂たち。
「どうして、攻撃をしないんですか?」
「襲ってはきたけど、全く殺気がなかったから。だからあれは、フェイクだって分かった」
一匹の蜂が戻ってきて、私の左目を刺そうとする。その蜂を優しく落ち葉で包むと天神君に手渡した。
「はい。いけない子」
「……俺の命令を無視し、勝手に攻撃しやがって。このッ、糞虫が!!」
握り潰した包みを空高く投げると、飛んできたカラスに食わせた。
「どうやら、あの頃にだいぶ近付いてるみたいですね。はぁ~~~~~。良かったぁ。やっぱり、あなたは」
俺の、俺だけの獲物だーーーーー。
………………………………。
………………………。
………………。
夏。
祭り。
俺は、リサさんに教えてもらった神社に向かった。この神社は山の奥にあって、なかなか人も来ない。
「……………」
やっぱり、誰もいなかった。ちょうど良い。
夜空の星を数えるのに飽きた俺は、持っていたりんご飴の棒をゴミ箱に投げ捨てた。
「来ないな……………。帰るべ」
やけに大きな独り言。
今夜は、この地区の夏祭り。女性の甲高い笑い声を背中で聞きながら、俺は神社を後にした。
その時。
「遊ぼう……」
俺を呼ぶ声がした。やけに小さい声だった。振り返るが、誰もいない。ただ、蛍が一匹飛んでいるだけ。
「私と遊ばない?」
「君は、蛍………」
「この姿、驚いた? すごいでしょ~」
可愛い蛍は、俺の周りをグルッと一周すると肩にピタッと止まった。
「ふ~ん。分かった。じゃあさ、俺と一緒に花火を見に行こう。まだ始まったばかりだし」
「うんっ!」
これは、神のイタズラか………。
蛍の姿になった少女。俺は仕事を忘れ、この少女ともっと長く一緒にいたいと純粋に思っていた。
緑が多く、親子連れがピクニックするような、そんな広い公園で待ち合わせをした。
茶髪で、ピアスをした男が肩を揺らしながら、ゆっ……たりと前から歩いてくる。相変わらず背が高いし、カッコいい。アイドルと言っても誰も疑わないだろう。
「天神君。久しぶり~」
「は、はい。リサさん。お久しぶりっす!」
「元気にしてた?」
「あぁ、はい。元気にしてました」
「私もさ、この通り元気だよ」
「右目を失い……。それでも元気。さすがっす!」
二人で公園を歩いていると、たくさんのアゲハ蝶が天神君に寄ってきた。
「相変わらず、人間、虫問わずモテまくりだね」
「ハハハ。まぁ、モテすぎるのも大変ですけどね~」
贅沢な悩み。
「今日、来てもらったのは天神君の力を借りたいからなんだけど……。今度の異世界の女性は、虫の姿になれるみたいでさ。人間と違って特殊な虫を確保するのは、私でもかなり難しいから……」
「俺の力で、その蟲を捕まえればいいんですね? で、異世界に連れてくる」
「うん。頼める?」
「分かりました。ただ一つだけ、俺からもあなたに頼みがありまして」
どこから来たのか、無数のスズメバチが私を取り囲んでいた。全方位から襲ってくる。
「俺達の魔女が、あの頃のままか確かめさせて下さい」
スズメバチに身体中を包まれ、中は蒸し風呂状態。それでも私は、蜂に一切攻撃をしなかった。
数分後、体から離れていく蜂たち。
「どうして、攻撃をしないんですか?」
「襲ってはきたけど、全く殺気がなかったから。だからあれは、フェイクだって分かった」
一匹の蜂が戻ってきて、私の左目を刺そうとする。その蜂を優しく落ち葉で包むと天神君に手渡した。
「はい。いけない子」
「……俺の命令を無視し、勝手に攻撃しやがって。このッ、糞虫が!!」
握り潰した包みを空高く投げると、飛んできたカラスに食わせた。
「どうやら、あの頃にだいぶ近付いてるみたいですね。はぁ~~~~~。良かったぁ。やっぱり、あなたは」
俺の、俺だけの獲物だーーーーー。
………………………………。
………………………。
………………。
夏。
祭り。
俺は、リサさんに教えてもらった神社に向かった。この神社は山の奥にあって、なかなか人も来ない。
「……………」
やっぱり、誰もいなかった。ちょうど良い。
夜空の星を数えるのに飽きた俺は、持っていたりんご飴の棒をゴミ箱に投げ捨てた。
「来ないな……………。帰るべ」
やけに大きな独り言。
今夜は、この地区の夏祭り。女性の甲高い笑い声を背中で聞きながら、俺は神社を後にした。
その時。
「遊ぼう……」
俺を呼ぶ声がした。やけに小さい声だった。振り返るが、誰もいない。ただ、蛍が一匹飛んでいるだけ。
「私と遊ばない?」
「君は、蛍………」
「この姿、驚いた? すごいでしょ~」
可愛い蛍は、俺の周りをグルッと一周すると肩にピタッと止まった。
「ふ~ん。分かった。じゃあさ、俺と一緒に花火を見に行こう。まだ始まったばかりだし」
「うんっ!」
これは、神のイタズラか………。
蛍の姿になった少女。俺は仕事を忘れ、この少女ともっと長く一緒にいたいと純粋に思っていた。
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