66 / 99
後編
ルザンヌ侯爵視点①
しおりを挟む
深々と頭を下げる男を見つめ、安堵のため息をそっとつく。
――これで、ティアナとレオンは大丈夫だろう。
すでに、ルザンヌ侯爵領を離れ例の教会へと向かった娘を思い、エールを送る。ティアナが、レオンの気持ちを聞き、どのような選択をするかは分からない。ただ、願わくば、レオンの気持ちを受け入れ、もう一度やり直して欲しいと思う。
あの二人は似たもの同士なのだ。
お互いを想うが故に、すれ違いを繰り返して来たのだろう。レオンは、ティアナの想いに甘え、ティアナは、レオンへの想いに縛られ、臆病になってしまった。夫婦とは、一番近しい存在でもあり、一番遠い存在でもある。性格も違えば、考え方も違う。ましてや、生きてきた環境や立場も大きく異なれば、お互いに歩み寄らねば、距離が縮まることすらない。赤の他人が家族になるには、お互いがお互いを想い、歩み寄る努力をせねばならない。それなのに、会話すらしていなかったとは、本当に何をやっていたのだか、あの夫婦は。
ただ、まだ間に合うと信じたい。そんな気持ちにさせられる何かが、二人にはあった。
「あぁぁ、本当にお前らは世話が焼ける。レオン、お前の顔に免じて一つ良いことを教えてやる」
「えっ……と、良いことですか?」
「あぁ。今、一番お前が欲しがっている情報だ。ティアナは、ノーリントン教会にいる」
「ノーリントン教会ですか?」
「そうだ。ノーリントン伯爵領にある教会だが、我が領との境に建っている。あの派手好きな伯爵は、認知すらしていない教会だ」
宝飾品をたくさん身につけ、椅子にふんぞり返った卑しい目をした小太りの男を思い出し、嫌な気分になる。あの男には散々馬鹿にされた。そう言えば、理不尽な言いがかりも、両手では足りないほど吹っ掛けられたな。
「あぁ。あの伯爵が、王都から離れた自領の管理をきちんと出来ているとは思えませんね。つまりは、そう言うことですか。その教会では、領主の目を盗み、やりたい放題だと。それで、その教会の裏では何が行われているのですか? それと、ティアナが失踪したこととは何の関係が?」
「ティアナが、なぜあの教会に潜入しているかは知らん」
「えっ? ティアナが、その曰く付きの教会に潜入している?」
「そうらしいな。その関係で、こちらに協力を求めに来た。ある人物を、引き受けて欲しいと」
「ある人物? それは、いったい誰ですか?」
「さぁな。詳しくは知らんが、どうやらアイツが直面している問題の重要人物らしい」
何か思い当たる節があるのか、レオンが考え込んでいる。少なからず、レオンはティアナの抱える問題について、何か知っているのだろう。
ノーリントン教会から連れてくる男の病気を治して欲しいと頭を下げた時のティアナの様子を思い出し苦笑いが込み上げる。しかも、その男は平民だという。アイツもお人好しと言うか、なんと言うか。しかも、その男の病気が完治すれば、アイツが抱える問題が全て解決するとも言っていたが、そう上手く事が運ぶとも思えない。しかし、レオンも知る所であるなら、一先ずは安心か。
昔から、変なところで行動力を発揮する娘であった。しかもこうと決めたら他人の意見を聞かない頑なな面もあり、頭を抱えたくもなる。レオンとの結婚も、そうであった。
しかも、次から次へと気掛かりな情報が入って来る今の現状も、到底看過出来ない。数日前まで、滞在していた隣国の要人の言葉を思い出し、深いため息が漏れる。
『オルレアン王国の反乱分子が、ミルガン商会を通し、アルザス王国に密輸品を横流ししている』
その言葉通り、怪し気な物品が国境の検問を通過せず、ノーリントン教会へと運ばれているのを確認している。この事が明るみに出れば、我が国とオルレアン王国との国交樹立にも水を差す事態となる。
それだけではない。下手をすれば、我が国が、反乱分子を使いオルレアン王国の内乱を画策しているのではと、疑われ兼ねない。さすれば、停戦協定は破棄され、戦争が始まる可能性すらあるのだ。
その事を伝えに、ルザンヌ侯爵領へ来たとあの男は言った。ただ、昔を知るだけに、あの男の言葉を鵜呑みにして良いものか判断に迷う。
『エミリオ・カーマ伯爵』
若くして、隣国の外務大臣を務め、医薬庁のトップをも兼務する人物。そして、隣国の諜報部員だった過去をもつティアナの幼馴染。当時、奴の足に、ティアナの護衛が何度も煙に巻かれた。その手腕に、舌を巻くことも多かったが、そんな男が良心のみで、反乱分子の企みをリークするとは到底思えない。しかも、滞在中、人目を忍び、ノーリントン教会へ向かったことは確認済みだ。果たして、奴は敵なのか、味方なのか?
「レオン、あまりオルレアン王国を信用するなよ。あの国とは停戦協定を結んではいるが、好戦国家である事に変わりはない。虎視眈々と我が国を蹂躙する機会を狙っている獣だと言うことを忘れるな。情報の出どころは言えないが、ノーリントン教会に、オルレアン王国からの密輸品が隠されている。しかも横流しをしているのは、隣国の反乱分子との情報だ。言いたい事はわかるな?」
「えぇ。その情報の真偽はわかりませんが、我が国と隣国との関係を悪化させたい者達がいることは理解しました。早急に、ノーリントン教会を調べる必要がありますね。情報、感謝します」
すくっと立ち上がり、礼をし、歩き出したレオンに一言告げる。
「今夜、ノーリントン教会で何かが起こるぞ」
一瞬、動きを止めたレオンが急ぎ足で、その場を後にするのを見送り、深々と椅子へ腰かけた。数分後、入れ違いに部屋へと入ってきた人物が、安堵のため息を溢した私を見て笑みを浮かべてくれる。
どうやら、妻との約束は果たせたようだ。
――これで、ティアナとレオンは大丈夫だろう。
すでに、ルザンヌ侯爵領を離れ例の教会へと向かった娘を思い、エールを送る。ティアナが、レオンの気持ちを聞き、どのような選択をするかは分からない。ただ、願わくば、レオンの気持ちを受け入れ、もう一度やり直して欲しいと思う。
あの二人は似たもの同士なのだ。
お互いを想うが故に、すれ違いを繰り返して来たのだろう。レオンは、ティアナの想いに甘え、ティアナは、レオンへの想いに縛られ、臆病になってしまった。夫婦とは、一番近しい存在でもあり、一番遠い存在でもある。性格も違えば、考え方も違う。ましてや、生きてきた環境や立場も大きく異なれば、お互いに歩み寄らねば、距離が縮まることすらない。赤の他人が家族になるには、お互いがお互いを想い、歩み寄る努力をせねばならない。それなのに、会話すらしていなかったとは、本当に何をやっていたのだか、あの夫婦は。
ただ、まだ間に合うと信じたい。そんな気持ちにさせられる何かが、二人にはあった。
「あぁぁ、本当にお前らは世話が焼ける。レオン、お前の顔に免じて一つ良いことを教えてやる」
「えっ……と、良いことですか?」
「あぁ。今、一番お前が欲しがっている情報だ。ティアナは、ノーリントン教会にいる」
「ノーリントン教会ですか?」
「そうだ。ノーリントン伯爵領にある教会だが、我が領との境に建っている。あの派手好きな伯爵は、認知すらしていない教会だ」
宝飾品をたくさん身につけ、椅子にふんぞり返った卑しい目をした小太りの男を思い出し、嫌な気分になる。あの男には散々馬鹿にされた。そう言えば、理不尽な言いがかりも、両手では足りないほど吹っ掛けられたな。
「あぁ。あの伯爵が、王都から離れた自領の管理をきちんと出来ているとは思えませんね。つまりは、そう言うことですか。その教会では、領主の目を盗み、やりたい放題だと。それで、その教会の裏では何が行われているのですか? それと、ティアナが失踪したこととは何の関係が?」
「ティアナが、なぜあの教会に潜入しているかは知らん」
「えっ? ティアナが、その曰く付きの教会に潜入している?」
「そうらしいな。その関係で、こちらに協力を求めに来た。ある人物を、引き受けて欲しいと」
「ある人物? それは、いったい誰ですか?」
「さぁな。詳しくは知らんが、どうやらアイツが直面している問題の重要人物らしい」
何か思い当たる節があるのか、レオンが考え込んでいる。少なからず、レオンはティアナの抱える問題について、何か知っているのだろう。
ノーリントン教会から連れてくる男の病気を治して欲しいと頭を下げた時のティアナの様子を思い出し苦笑いが込み上げる。しかも、その男は平民だという。アイツもお人好しと言うか、なんと言うか。しかも、その男の病気が完治すれば、アイツが抱える問題が全て解決するとも言っていたが、そう上手く事が運ぶとも思えない。しかし、レオンも知る所であるなら、一先ずは安心か。
昔から、変なところで行動力を発揮する娘であった。しかもこうと決めたら他人の意見を聞かない頑なな面もあり、頭を抱えたくもなる。レオンとの結婚も、そうであった。
しかも、次から次へと気掛かりな情報が入って来る今の現状も、到底看過出来ない。数日前まで、滞在していた隣国の要人の言葉を思い出し、深いため息が漏れる。
『オルレアン王国の反乱分子が、ミルガン商会を通し、アルザス王国に密輸品を横流ししている』
その言葉通り、怪し気な物品が国境の検問を通過せず、ノーリントン教会へと運ばれているのを確認している。この事が明るみに出れば、我が国とオルレアン王国との国交樹立にも水を差す事態となる。
それだけではない。下手をすれば、我が国が、反乱分子を使いオルレアン王国の内乱を画策しているのではと、疑われ兼ねない。さすれば、停戦協定は破棄され、戦争が始まる可能性すらあるのだ。
その事を伝えに、ルザンヌ侯爵領へ来たとあの男は言った。ただ、昔を知るだけに、あの男の言葉を鵜呑みにして良いものか判断に迷う。
『エミリオ・カーマ伯爵』
若くして、隣国の外務大臣を務め、医薬庁のトップをも兼務する人物。そして、隣国の諜報部員だった過去をもつティアナの幼馴染。当時、奴の足に、ティアナの護衛が何度も煙に巻かれた。その手腕に、舌を巻くことも多かったが、そんな男が良心のみで、反乱分子の企みをリークするとは到底思えない。しかも、滞在中、人目を忍び、ノーリントン教会へ向かったことは確認済みだ。果たして、奴は敵なのか、味方なのか?
「レオン、あまりオルレアン王国を信用するなよ。あの国とは停戦協定を結んではいるが、好戦国家である事に変わりはない。虎視眈々と我が国を蹂躙する機会を狙っている獣だと言うことを忘れるな。情報の出どころは言えないが、ノーリントン教会に、オルレアン王国からの密輸品が隠されている。しかも横流しをしているのは、隣国の反乱分子との情報だ。言いたい事はわかるな?」
「えぇ。その情報の真偽はわかりませんが、我が国と隣国との関係を悪化させたい者達がいることは理解しました。早急に、ノーリントン教会を調べる必要がありますね。情報、感謝します」
すくっと立ち上がり、礼をし、歩き出したレオンに一言告げる。
「今夜、ノーリントン教会で何かが起こるぞ」
一瞬、動きを止めたレオンが急ぎ足で、その場を後にするのを見送り、深々と椅子へ腰かけた。数分後、入れ違いに部屋へと入ってきた人物が、安堵のため息を溢した私を見て笑みを浮かべてくれる。
どうやら、妻との約束は果たせたようだ。
5
お気に入りに追加
2,887
あなたにおすすめの小説
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
追放された薬師は騎士と王子に溺愛される 薬を作るしか能がないのに、騎士団の皆さんが離してくれません!
沙寺絃
ファンタジー
唯一の肉親の母と死に別れ、田舎から王都にやってきて2年半。これまで薬師としてパーティーに尽くしてきた16歳の少女リゼットは、ある日突然追放を言い渡される。
「リゼット、お前はクビだ。お前がいるせいで俺たちはSランクパーティーになれないんだ。明日から俺たちに近付くんじゃないぞ、このお荷物が!」
Sランクパーティーを目指す仲間から、薬作りしかできないリゼットは疫病神扱いされ追放されてしまう。
さらにタイミングの悪いことに、下宿先の宿代が値上がりする。節約の為ダンジョンへ採取に出ると、魔物討伐任務中の王国騎士団と出くわした。
毒を受けた騎士団はリゼットの作る解毒薬に助けられる。そして最新の解析装置によると、リゼットは冒険者としてはFランクだが【調合師】としてはSSSランクだったと判明。騎士団はリゼットに感謝して、専属薬師として雇うことに決める。
騎士団で認められ、才能を開花させていくリゼット。一方でリゼットを追放したパーティーでは、クエストが失敗続き。連携も取りにくくなり、雲行きが怪しくなり始めていた――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる