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後編
闇夜に眠る愛しき君 ※別視点
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簡素な木製のドアノブを回し室内へと入いる。静寂の中わずかに響く安らかな寝息を聞き、自然と口角が上がる。
やっとだ。やっと逢える……
後ろ手に扉を閉め、ゆっくりとベッドへと近づけば、柔らかな月の光に照らされた彼女の寝顔を見ることが出来た。
あの時と変わらない幼さを残した寝顔に、昔の記憶が蘇り胸を締め付ける。
ティナ……
どれ程の長い時を、彼女を思い過ごしただろうか?
草原を駆け回り、木登りをし、川で遊び、泥だらけになり、いつも一緒にいた。笑い、怒り、泣き、コロコロと変わる表情が印象的で、色んな表情を見たくて、わざと怒らせるような事もした。ティナと過ごす日々は、死と隣り合わせの日常の中、唯一の安らぎだったのだ。たとえ、それが許されない行為でも、自分の気持ちを止めることなど出来なかった。
彼女にとって自分は、敵でしかない。肩に頭を寄せ眠るティナは、最も警戒すべき相手の子供。
何度も何度も考えた。このまま連れ去るだけで、ミッションは果たされると。上層部に、敵の将軍の子供を渡すだけの簡単な仕事だった。私情を挟むなど言語道断、幼い頃から叩き込まれた教訓を忘れた事はなかった。
ただ、連れ去った後の彼女の運命は死のみであることも分かっていた。
ティナを引き渡してしまえば、屈託なく笑う姿も、頬を赤らめて怒る姿も、甘い声で自分の名を呼ぶ姿も失われる。絶望を滲ませた瞳で、自分を見つめるティナを思い浮かべるだけで、手が止まる。そんな事を繰り返していれば、自身の気持ちにも自ずと気づく。引き返せないところまで深みにハマっている事を自覚し、今の状況をどうする事も出来ない弱い自分に絶望するしかなかった。
愛しい人を守ることも出来ない弱い自分。いつか、この幸せな日々も失われる。
緊迫していた国境での諍いがそれを物語っていた。
そんな時に現れた隣国の王太子。木から落ちるティナを助ける事も出来ず、木の上で身を潜めるしか出来ない自分は闇の存在でしかなかった。自分とは違う光の存在である王太子が、愛しい彼女の手を取り口付けをする。光の世界へと落ちていったティナを見つめ、嫉妬の炎が荒れ狂う。
絶対的な立場の違い。大して年の変わらない男に、ティナを奪われる現実を指を咥えて見ていることしか出来ない自分の立場に吐き気がする。あの時、口内に感じた鉄錆の味は忘れられない。
銀色の髪を一房手にとり、キスを落とす。
「相変わらず、無防備だ……」
ヨダレを垂らしそうな勢いで寝こけているティナを見つめ昔の淡い想いが次から次へと甦る。
あのいつ敵が現れるかわからない森の中でも、熟睡していたかぁ……
ただ、変装して潜入しているくせに、カツラを外して寝ているなど、少々無防備すぎないか?まぁ、そこが可愛いところでもある。
「主人様、お時間でございます」
「わかっている」
音もなく背後に現れた部下が一言告げ、去るのを確認し、もう一度眠るティナへと近づく。
彼女と再び出逢う夢だけが、崩れかけそうになる自分を支える糧だった。あの時は、愛しいティナを奪われたが、今度こそ奪い返す。そのための布石は打ってきた。
「ティナ、あと少しです。あと少しで全てを取り戻せる」
眠るティナの頬を撫で、指先で唇をなぞる。暖かな唇の感触が、手の届くところに彼女が居るという現実が夢ではないと知らせていた。
ここまでか……
扉を後ろ手に閉め、真っ暗な廊下を歩き出せば、音もなく背後に現れた二人の男が付き従う。
「ルドルフ、ルザンヌ侯爵に動きはないか?」
「はい、今のところ動きはありません。ただ、勘の良い男ですので、こちらが城を抜け出した事は気づいているかもしれませんな。ただ、追尾者を放った様子はありません」
「そうか」
昔から厄介な男ではあったな。ティナは気づきもしなかったが、随時複数の影がついていた。あの時、彼女に危害を加えていたら間違いなく消されていただろう。あえて見逃されていたと見て間違いない。泳がされていたとも言えるが、どちらにしろ今回、ティナへ接触したことは、感づかれているだろう。
そろそろ潮時か。
「リドル、そろそろだ。わかっているな」
「へいへい、わかっておりますよ。本当、主人様は人使いが荒い。ミルガン商会とオルレアン王国との密輸の証拠を残しつつ、姿を消すのですね」
「あぁ、あの荷を爆破するだけの簡単な仕事だ。あれでオルレアン王国に反乱分子がいるように見せかけられる」
「簡単な仕事って、よく言いますよ。あれを爆破すればノーリントン教会は、多大な被害ですよ」
「それを最小限にするために、リドルお前をメイシン公爵子息に接触させたのだろうが」
「そんな事言われましても、王妃様まで登場するとは聞いていませんよ。彼女が少しでも傷つけば、私は主人様に殺されますからね。本当、例の薬いつもの倍は要求しますのでそのつもりで」
「わかっている。上手くやれば数ヶ月は、エルサの治療薬にも困らんだろう。呼び出すつもりはないから、例の隠れ家で二人でゆっくり過ごすが良い」
「言われなくとも、そのつもりです」
音もなく消えた部下の態度に、苦笑をもらす。
「申し訳ありません。主人様に対する躾がなっておりませんで」
「まぁ、良い。弱みを持つ者は滅多なことがない限り、裏切らんからな」
エルサの病状は深刻だ。あの薬がなければ一年と持たないだろう。だからこそ、リドルは裏切らない。
愛は人を狂わせるな……
ティナへの恋慕だけで生きて来た私も同じ穴のムジナか。
「あと、もう一つ。どうやら、レオン陛下がこちらへ向かっているようです。早急に、王国へ戻られた方が良いかと」
「そうか……」
レオン陛下……
今さら、ティナを取り戻すため動いたところで遅いのですよ。ティナをお飾り王妃の立場に追い落とした自身の過ちを、手の届かない所へ行ってしまった彼女を思い、悔いれば良い。過去の私のようにね。
最後に彼女を手に入れるのは、この私です。
やっとだ。やっと逢える……
後ろ手に扉を閉め、ゆっくりとベッドへと近づけば、柔らかな月の光に照らされた彼女の寝顔を見ることが出来た。
あの時と変わらない幼さを残した寝顔に、昔の記憶が蘇り胸を締め付ける。
ティナ……
どれ程の長い時を、彼女を思い過ごしただろうか?
草原を駆け回り、木登りをし、川で遊び、泥だらけになり、いつも一緒にいた。笑い、怒り、泣き、コロコロと変わる表情が印象的で、色んな表情を見たくて、わざと怒らせるような事もした。ティナと過ごす日々は、死と隣り合わせの日常の中、唯一の安らぎだったのだ。たとえ、それが許されない行為でも、自分の気持ちを止めることなど出来なかった。
彼女にとって自分は、敵でしかない。肩に頭を寄せ眠るティナは、最も警戒すべき相手の子供。
何度も何度も考えた。このまま連れ去るだけで、ミッションは果たされると。上層部に、敵の将軍の子供を渡すだけの簡単な仕事だった。私情を挟むなど言語道断、幼い頃から叩き込まれた教訓を忘れた事はなかった。
ただ、連れ去った後の彼女の運命は死のみであることも分かっていた。
ティナを引き渡してしまえば、屈託なく笑う姿も、頬を赤らめて怒る姿も、甘い声で自分の名を呼ぶ姿も失われる。絶望を滲ませた瞳で、自分を見つめるティナを思い浮かべるだけで、手が止まる。そんな事を繰り返していれば、自身の気持ちにも自ずと気づく。引き返せないところまで深みにハマっている事を自覚し、今の状況をどうする事も出来ない弱い自分に絶望するしかなかった。
愛しい人を守ることも出来ない弱い自分。いつか、この幸せな日々も失われる。
緊迫していた国境での諍いがそれを物語っていた。
そんな時に現れた隣国の王太子。木から落ちるティナを助ける事も出来ず、木の上で身を潜めるしか出来ない自分は闇の存在でしかなかった。自分とは違う光の存在である王太子が、愛しい彼女の手を取り口付けをする。光の世界へと落ちていったティナを見つめ、嫉妬の炎が荒れ狂う。
絶対的な立場の違い。大して年の変わらない男に、ティナを奪われる現実を指を咥えて見ていることしか出来ない自分の立場に吐き気がする。あの時、口内に感じた鉄錆の味は忘れられない。
銀色の髪を一房手にとり、キスを落とす。
「相変わらず、無防備だ……」
ヨダレを垂らしそうな勢いで寝こけているティナを見つめ昔の淡い想いが次から次へと甦る。
あのいつ敵が現れるかわからない森の中でも、熟睡していたかぁ……
ただ、変装して潜入しているくせに、カツラを外して寝ているなど、少々無防備すぎないか?まぁ、そこが可愛いところでもある。
「主人様、お時間でございます」
「わかっている」
音もなく背後に現れた部下が一言告げ、去るのを確認し、もう一度眠るティナへと近づく。
彼女と再び出逢う夢だけが、崩れかけそうになる自分を支える糧だった。あの時は、愛しいティナを奪われたが、今度こそ奪い返す。そのための布石は打ってきた。
「ティナ、あと少しです。あと少しで全てを取り戻せる」
眠るティナの頬を撫で、指先で唇をなぞる。暖かな唇の感触が、手の届くところに彼女が居るという現実が夢ではないと知らせていた。
ここまでか……
扉を後ろ手に閉め、真っ暗な廊下を歩き出せば、音もなく背後に現れた二人の男が付き従う。
「ルドルフ、ルザンヌ侯爵に動きはないか?」
「はい、今のところ動きはありません。ただ、勘の良い男ですので、こちらが城を抜け出した事は気づいているかもしれませんな。ただ、追尾者を放った様子はありません」
「そうか」
昔から厄介な男ではあったな。ティナは気づきもしなかったが、随時複数の影がついていた。あの時、彼女に危害を加えていたら間違いなく消されていただろう。あえて見逃されていたと見て間違いない。泳がされていたとも言えるが、どちらにしろ今回、ティナへ接触したことは、感づかれているだろう。
そろそろ潮時か。
「リドル、そろそろだ。わかっているな」
「へいへい、わかっておりますよ。本当、主人様は人使いが荒い。ミルガン商会とオルレアン王国との密輸の証拠を残しつつ、姿を消すのですね」
「あぁ、あの荷を爆破するだけの簡単な仕事だ。あれでオルレアン王国に反乱分子がいるように見せかけられる」
「簡単な仕事って、よく言いますよ。あれを爆破すればノーリントン教会は、多大な被害ですよ」
「それを最小限にするために、リドルお前をメイシン公爵子息に接触させたのだろうが」
「そんな事言われましても、王妃様まで登場するとは聞いていませんよ。彼女が少しでも傷つけば、私は主人様に殺されますからね。本当、例の薬いつもの倍は要求しますのでそのつもりで」
「わかっている。上手くやれば数ヶ月は、エルサの治療薬にも困らんだろう。呼び出すつもりはないから、例の隠れ家で二人でゆっくり過ごすが良い」
「言われなくとも、そのつもりです」
音もなく消えた部下の態度に、苦笑をもらす。
「申し訳ありません。主人様に対する躾がなっておりませんで」
「まぁ、良い。弱みを持つ者は滅多なことがない限り、裏切らんからな」
エルサの病状は深刻だ。あの薬がなければ一年と持たないだろう。だからこそ、リドルは裏切らない。
愛は人を狂わせるな……
ティナへの恋慕だけで生きて来た私も同じ穴のムジナか。
「あと、もう一つ。どうやら、レオン陛下がこちらへ向かっているようです。早急に、王国へ戻られた方が良いかと」
「そうか……」
レオン陛下……
今さら、ティナを取り戻すため動いたところで遅いのですよ。ティナをお飾り王妃の立場に追い落とした自身の過ちを、手の届かない所へ行ってしまった彼女を思い、悔いれば良い。過去の私のようにね。
最後に彼女を手に入れるのは、この私です。
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