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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その90 練習再開!
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「鍵くん、ここの譜面どうやってクリアした?」
「えーと、そこはですね……」
望子先輩とともに、次の予選での課題曲のミスしやすい部分を攻略していく。
先日まで部活動停止を食らい、僕らはまともに練習もしていなかったので、今日から再開し、残り少ない練習時間を有意義に使いながら練習をしていた。
昨日までは顧問の先生となる人物を探しながら奮闘していたが、こうして無事に顧問の先生も見つかり、僕らはなんとか部を存続できたのだ。
「望子先輩、そこの譜面は曲のリズムに合わせながら叩くと多分大丈夫です」
「あっ、そうなの。分かった。ちょっと頑張ってみるよ」
なんとか望子先輩に譜面の攻略法を教えると、先輩は練習に戻っていった。
僕ははあ、とため息を吐きながら、カラッカラに渇いた喉にキンキンに冷えた麦茶を通す。
疲れた体に麦茶がしみ込んできて、とてもおいしかった。
「お疲れ、ケン後輩」
「路世先輩」
と、休憩している僕へと路世先輩は声をかけてきてくれた。
路世先輩もこれから少し休憩するようで、額の汗をタオルで拭っていた。
「……正直、今の状況で勝てるかどうか分からないな」
と、路世先輩はいつになく真面目な顔つきでそう、独り言のように告げた。
確かに。昨日まで時間をムダにしてきたのだ。そのせいか、この前最後に練習した時よりも確実に腕は落ちている様子だった。
やはり数日練習しないだけでも、格段に腕は落ちるものだと僕は理解した。
ならば、その分の埋め合わせをしつつ、予選を突破するためのスキルアップもしなくてはならない。僕らはいつになく焦っていた。
「そう……ですね。でも、ここで勝てなきゃ意味がないですよね」
「そうだな。折角予選二回戦まで来たんだから、最低でも予選を突破するまではいかないとな」
路世先輩はスポーツドリンクを飲みながら、そう答えた。
そうだ。僕らは前回の戦いで強豪校を倒したんだ。彼らに恥のないような結果を残さなくては、後を託してくれた彼らに申し訳ない。
いや、それよりも僕らと相手をしてくれたチームに失礼だ。だからこそ、僕らは彼らに失礼のないような結果を残さなくては意味がない。
「ですね。この数日間、練習できなかった分の穴を埋め合わせないと……」
「でも、焦ることも大事だが、決して無理だけはするなよ? 頑張りすぎて、逆に試合当日に熱でも出されてしまえば溜まったもんじゃないからな」
「あはは……。解ってますよ」
苦笑しながら、僕は答えた。
ただでさえ、まだ人数の少ない部活なのだから一人でも抜けてしまえば確実に僕らが不利になるのは明白だった。
だからこそ、ムリはせずに、しっかりと、この数日間の埋め合わせをしながら練習に励まないといけなかった。
「……それじゃ、俺は再開するから。ケン後輩も、しっかり休んだらちゃんと練習するんだぞ」
「はい」
「えーと、そこはですね……」
望子先輩とともに、次の予選での課題曲のミスしやすい部分を攻略していく。
先日まで部活動停止を食らい、僕らはまともに練習もしていなかったので、今日から再開し、残り少ない練習時間を有意義に使いながら練習をしていた。
昨日までは顧問の先生となる人物を探しながら奮闘していたが、こうして無事に顧問の先生も見つかり、僕らはなんとか部を存続できたのだ。
「望子先輩、そこの譜面は曲のリズムに合わせながら叩くと多分大丈夫です」
「あっ、そうなの。分かった。ちょっと頑張ってみるよ」
なんとか望子先輩に譜面の攻略法を教えると、先輩は練習に戻っていった。
僕ははあ、とため息を吐きながら、カラッカラに渇いた喉にキンキンに冷えた麦茶を通す。
疲れた体に麦茶がしみ込んできて、とてもおいしかった。
「お疲れ、ケン後輩」
「路世先輩」
と、休憩している僕へと路世先輩は声をかけてきてくれた。
路世先輩もこれから少し休憩するようで、額の汗をタオルで拭っていた。
「……正直、今の状況で勝てるかどうか分からないな」
と、路世先輩はいつになく真面目な顔つきでそう、独り言のように告げた。
確かに。昨日まで時間をムダにしてきたのだ。そのせいか、この前最後に練習した時よりも確実に腕は落ちている様子だった。
やはり数日練習しないだけでも、格段に腕は落ちるものだと僕は理解した。
ならば、その分の埋め合わせをしつつ、予選を突破するためのスキルアップもしなくてはならない。僕らはいつになく焦っていた。
「そう……ですね。でも、ここで勝てなきゃ意味がないですよね」
「そうだな。折角予選二回戦まで来たんだから、最低でも予選を突破するまではいかないとな」
路世先輩はスポーツドリンクを飲みながら、そう答えた。
そうだ。僕らは前回の戦いで強豪校を倒したんだ。彼らに恥のないような結果を残さなくては、後を託してくれた彼らに申し訳ない。
いや、それよりも僕らと相手をしてくれたチームに失礼だ。だからこそ、僕らは彼らに失礼のないような結果を残さなくては意味がない。
「ですね。この数日間、練習できなかった分の穴を埋め合わせないと……」
「でも、焦ることも大事だが、決して無理だけはするなよ? 頑張りすぎて、逆に試合当日に熱でも出されてしまえば溜まったもんじゃないからな」
「あはは……。解ってますよ」
苦笑しながら、僕は答えた。
ただでさえ、まだ人数の少ない部活なのだから一人でも抜けてしまえば確実に僕らが不利になるのは明白だった。
だからこそ、ムリはせずに、しっかりと、この数日間の埋め合わせをしながら練習に励まないといけなかった。
「……それじゃ、俺は再開するから。ケン後輩も、しっかり休んだらちゃんと練習するんだぞ」
「はい」
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