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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その84 顧問を探せ!②
しおりを挟む「結局職員室にいる先生たちはダメだったのか……」
しみじみと路世先輩がため息を吐きながら、そう呟いた。
職員室にいる先生たちに片っ端から聞いていった望子先輩だったが、結局どの先生も他の部で手一杯で誰も顧問になるような先生はいなかった。
「やっぱりムリなんでしょうか……? 他の先生方も他の部活で忙しそうですし……」
「いや、だれか一人くらいは手の空いている先生だっているハズだ。それに別に手が空いてなくともいいんだ。ただ、太鼓部の顧問になってくれれば、別に練習を見なくとも、試合に来なくともいいんだからよ」
半ば諦めかけているちぃに、路世先輩が喝を入れる。
そうだ。別に練習や試合を見に来いなんてのは望んではいない。僕らは今のこの太鼓部を存続できればいいだけなんだ。そうすれば、顧問の先生がなにをしようが僕らにとって問題ではない。
ただ、太鼓部の顧問の先生になってくれるだけでいいんだから。僕らはそれ以上になにも求めていないのだ。
「でも、職員室にいた先生でムリならば、他に誰がなってくれるんですかね……」
「うーん……」と部員全員で唸る。体育教官室の先生たちは運動部の顧問になっており、流石に文化部の僕らまで手は回らないハズだからムリだとして……。
「新任の先生とかは……」
「すでに他の部に配属されているハズだ」
「ですよね……」
もしかすれば、新任の先生たちならばと思ったが……どうやらすでに他の部活動の顧問を務めているようだ。
こうなってしまった以上、顧問になってくれる先生がいるかどうかすら怪しくなってきたぞ。
「……これじゃ、本当に太鼓部の顧問の先生なんて見つかりませんよ」
「いや、待って」
と、そこで望子先輩が初めて口を開いた。なんだか気難しそうな表情で、顎に手を当てているではないか。
「どうしたんですか、望子先輩」
「……一人だけ。一人だけなってくれる可能性のある先生がいた」
物凄い難しそうな顔をしながら望子先輩はそう告げる。
これはかなり喜ばしいことだった。まさか心当たりがあるとは思ってもなく、一刻も早くその先生に頼み込みたいと居ても立ってもいられなくなった。
「じ、じゃあ! その先生に今すぐ会いに行きましょうよ!」
「そうだぞ、望子! そんな先生がいるんだったら早く言えっての!」
「ごめんごめん……。すっかり忘れてて……」
えへへ……、とニヤけながら望子先輩は頬を掻いた。なんだ、そんな先生がいるのならば早く言って欲しかったものだ。……まぁ、忘れていたのであれば仕方ないが。
「それで、その先生はなんて先生なんですか?」
「えっと…………蒼川 碧先生」
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