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第四章
159『密やかな激励』
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バルトリたちの前にはボロボロになった荷物や武器の数々が並んでいる。
アンナリーナの従魔たちを見て、おっかなびっくりしていた彼らは、従魔たちが自分たちを瓦礫から掘り出したり、亡くなった仲間をきれいに安置してくれたと聞いて、ただただ感謝した。
今、目の前にある物品も彼らが回収してくれたという。
普通、このような場合、救助者に権利が移るので持ち主に戻ってくる事はあり得ない。
そのことにも感謝しながら、ジルたちは武器を選別していた。
「簡単な修理や、研ぎなら出来ますよ? 炉が無いので限られますが」
ジルたち冒険者は、亡くなった仲間たちの遺品を取り分け、自分たちの武器や荷物、そして最終的に持ち主がわからなかった武器を並べた。
「リーナさん、本当に俺たちが分けてしまっていいのか?」
「構いませんよ。
あなたたちには装備を調えるために必要でしょ?」
アンナリーナのその言葉で、吹っ切れたように冒険者たちは武器を選び始めた。
バルトリはバラバラになった荷物や積荷の前で茫然としていた。
「バルトリさん……」
かなり堪えているような様子のバルトリを心配して、アンナリーナはその横に立った。
「いや……こうして命が助かったんだ。リーナさん、本当にありがとう。
連れて行かれた仲間たちもどうなったのかわからない。
それにくらべると、わたしにはアイテムボックスが残っているのだから」
治療の為に衣服を脱がしたアンナリーナも気づかなかったアイテムボックスとは、豪商が代々受け継いできたアーティファクトで、バルトリのそれはベルトに付いた煙草入れのようなポーチだ。
アンナリーナは、師匠の遺品と自分が製作したもの以外は、エメラルダたちが持っていたものしか知らないので、興味深く見つめていた。
「本当に大事なものはここに入っています。このまま王都に行けば、予定していた取引は可能でしょう。
あとは彼らを……」
バルトリは遺体が安置されているテントを振り返った。
「彼らを連れて帰ってやらねば……」
今夜はバルトリたちをゆっくり眠らせる為に、アンナリーナは夕食にワインを出すことにした。
献立もそれに合わせて、肉を中心にしたものにした。
ミノタウロスの腿肉の赤ワイン煮は、肉がホロホロと崩れるほど柔らかく煮込まれている。
「なんだこれ! めちゃくちゃ美味い!」
イアンが涙目になって叫ぶ。
バルトリはゆっくりとワインを味わっている。
「このワインはどこの産地のもので?
こんな上等なものは飲んだ事がない」
それはそうだろう。
【異世界買物】で購入した高級ワインだ。
一本数万円のワインの味は、アンナリーナには理解できないが、突然の悲劇に意気消沈していた者たちの心を揺さぶることは出来たようだ。
「たくさん食べて、たくさん飲んで下さい。
この生ハムのサラダも美味しいですよ?川エビのカクテルも絶品です」
アンソニーがツリーハウスで作った料理が、アラーニェの手によって次々と運ばれてくる。
この後、絶品の料理に舌鼓をうちワインに溺れた面々は、朝目覚めるまで自身に起きた事が理解出来なかった。
翌日の昼過ぎ、テオドールに案内された憲兵隊が、現地に到着した。
アンナリーナたちの仕事はここで終わるはずだったのだが、アルファ・ケンタウリに同行を求められ、渋々従う事になった。
アンナリーナの従魔たちを見て、おっかなびっくりしていた彼らは、従魔たちが自分たちを瓦礫から掘り出したり、亡くなった仲間をきれいに安置してくれたと聞いて、ただただ感謝した。
今、目の前にある物品も彼らが回収してくれたという。
普通、このような場合、救助者に権利が移るので持ち主に戻ってくる事はあり得ない。
そのことにも感謝しながら、ジルたちは武器を選別していた。
「簡単な修理や、研ぎなら出来ますよ? 炉が無いので限られますが」
ジルたち冒険者は、亡くなった仲間たちの遺品を取り分け、自分たちの武器や荷物、そして最終的に持ち主がわからなかった武器を並べた。
「リーナさん、本当に俺たちが分けてしまっていいのか?」
「構いませんよ。
あなたたちには装備を調えるために必要でしょ?」
アンナリーナのその言葉で、吹っ切れたように冒険者たちは武器を選び始めた。
バルトリはバラバラになった荷物や積荷の前で茫然としていた。
「バルトリさん……」
かなり堪えているような様子のバルトリを心配して、アンナリーナはその横に立った。
「いや……こうして命が助かったんだ。リーナさん、本当にありがとう。
連れて行かれた仲間たちもどうなったのかわからない。
それにくらべると、わたしにはアイテムボックスが残っているのだから」
治療の為に衣服を脱がしたアンナリーナも気づかなかったアイテムボックスとは、豪商が代々受け継いできたアーティファクトで、バルトリのそれはベルトに付いた煙草入れのようなポーチだ。
アンナリーナは、師匠の遺品と自分が製作したもの以外は、エメラルダたちが持っていたものしか知らないので、興味深く見つめていた。
「本当に大事なものはここに入っています。このまま王都に行けば、予定していた取引は可能でしょう。
あとは彼らを……」
バルトリは遺体が安置されているテントを振り返った。
「彼らを連れて帰ってやらねば……」
今夜はバルトリたちをゆっくり眠らせる為に、アンナリーナは夕食にワインを出すことにした。
献立もそれに合わせて、肉を中心にしたものにした。
ミノタウロスの腿肉の赤ワイン煮は、肉がホロホロと崩れるほど柔らかく煮込まれている。
「なんだこれ! めちゃくちゃ美味い!」
イアンが涙目になって叫ぶ。
バルトリはゆっくりとワインを味わっている。
「このワインはどこの産地のもので?
こんな上等なものは飲んだ事がない」
それはそうだろう。
【異世界買物】で購入した高級ワインだ。
一本数万円のワインの味は、アンナリーナには理解できないが、突然の悲劇に意気消沈していた者たちの心を揺さぶることは出来たようだ。
「たくさん食べて、たくさん飲んで下さい。
この生ハムのサラダも美味しいですよ?川エビのカクテルも絶品です」
アンソニーがツリーハウスで作った料理が、アラーニェの手によって次々と運ばれてくる。
この後、絶品の料理に舌鼓をうちワインに溺れた面々は、朝目覚めるまで自身に起きた事が理解出来なかった。
翌日の昼過ぎ、テオドールに案内された憲兵隊が、現地に到着した。
アンナリーナたちの仕事はここで終わるはずだったのだが、アルファ・ケンタウリに同行を求められ、渋々従う事になった。
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