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第四章
138『オッケル村の商店』
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ギルドの依頼を受ける時点でギルドカードの提出を求められたので、アンナリーナが薬師だと言うことがバレた。
出来れば、と言うことで回復薬の卸しを懇願され、時間停止のアイテムボックスの有無を確かめた上で、100本を譲り渡した。
アンナリーナが思ったよりも高く引き取られたのは辺境だからか、それとももうここでも異変を感じているせいなのか。
その他には剥がしてきた依頼票の甲虫の外殻とか、角兎の亜種ユニコーン兎の角とか、バイパーのなめした皮だとか、少々特殊で塩漬け物件になりかけていた依頼を片付けていったのだ。
「すごく助かったよ。
……王都から移ってきた細工師の依頼だったんだけど、もう随分経っていてね」
見れば、一番古い依頼は3年前のものだ。
「きっと喜ぶよ。注文は受けたけど、素材が揃わなくて難儀していたんだ」
なるほど、バイパーのなめし皮以外はちょっとお目にかからないものだ。
「早速、連絡して取りに来てもらうよ。本当にありがとうね」
「いえいえ、こちらも手持ちの素材が売れて、win-winです。
ちょっと、出掛けて来ますね」
外に出てみると陽は陰り、夕刻が近づいている。
村の中は涼しい風が吹いていて、近くの低木の葉がざわざわと揺れていた。
田舎独特の朴訥とした雰囲気と、美味しい空気、何よりも人が住む集落の中と言う、魔獣を警戒しなくてもよいということが長寛さを醸し出していた。
「やっぱり、乗り合い馬車が必ず一泊するって言うのが大きいみたいね」
村だというのに、駅舎の近くには宿屋と、数件の店がコンパクトにまとめられている。
アンナリーナとテオドールは今、そのうちの一軒に足を踏み入れていた。
「ふわぁ、雑貨屋さんなのです」
土産物屋的なその店は生活雑貨も置いていて、そこで目に付いたのはまたもや【鍋】だった。
「おぉっ! このフライパンは従来のものより少し深くて、使い勝手が良さそうです!
持ち手まで一体化していて、このままオーブンに入れてもいいですね!
すみません! このフライパンの他のサイズはありますか?」
普通の女子なら目を止めそうなファンシーな雑貨の前を素通りして、フライパンに突進したアンナリーナを見て、その異様さに目を白黒させているテオドールは立ち直るのにしばしの時間を要したのだった。
「うふふ、こんなに嬉しい事はないのです」
鍋やらフライパンやら色々買い込んだ品は、代金と引き換えにインベントリにしまい込んだ。
この村の職人はいい仕事をする。
アンナリーナは他にもオーブン用の天板や、薬缶などを買った。
次に行った店は鍛冶屋である。
乗り合い馬車の乗客には、テオドールのような冒険者も多く、それよりも護衛としてついている彼らをターゲットとして鍛冶屋はある。
中でも研ぎの需要は多く、他にも砥石も扱っていて、テオドールはそれを買うようだ。
何種類か購入し、携帯用の、水を使わずに刃に滑らせるだけの砥石も買って、ここでの用は終わった。
アンナリーナは物珍しそうに見て回っていたが、買う事はなかった。
最後にやって来たのは食料品店だ。
ここは肉屋とその他に分かれており、アンナリーナはまず、穀物や豆類のコーナーに向かった。
「いらっしゃい」
白い髪をきっちりと結い上げた老婆がアンナリーナに気づいてやって来た。
「こんな時間にお客さんとは珍しいね。お嬢さんは、明朝の馬車の乗客かね?」
「はい、さっきこの村に着いて宿屋に落ち着いたところです」
「じゃあ、ぜひ明日の朝は、うちの弁当を買っていっておくれ。
味は保証するよ」
どうやらこの店は乗り合い馬車の乗客を相手に弁当や保存食を販売しているようだ。
「そうだ、よかったら味見をしてみるかい?」
老婆はそう言って奥に引っ込んでいった。
出来れば、と言うことで回復薬の卸しを懇願され、時間停止のアイテムボックスの有無を確かめた上で、100本を譲り渡した。
アンナリーナが思ったよりも高く引き取られたのは辺境だからか、それとももうここでも異変を感じているせいなのか。
その他には剥がしてきた依頼票の甲虫の外殻とか、角兎の亜種ユニコーン兎の角とか、バイパーのなめした皮だとか、少々特殊で塩漬け物件になりかけていた依頼を片付けていったのだ。
「すごく助かったよ。
……王都から移ってきた細工師の依頼だったんだけど、もう随分経っていてね」
見れば、一番古い依頼は3年前のものだ。
「きっと喜ぶよ。注文は受けたけど、素材が揃わなくて難儀していたんだ」
なるほど、バイパーのなめし皮以外はちょっとお目にかからないものだ。
「早速、連絡して取りに来てもらうよ。本当にありがとうね」
「いえいえ、こちらも手持ちの素材が売れて、win-winです。
ちょっと、出掛けて来ますね」
外に出てみると陽は陰り、夕刻が近づいている。
村の中は涼しい風が吹いていて、近くの低木の葉がざわざわと揺れていた。
田舎独特の朴訥とした雰囲気と、美味しい空気、何よりも人が住む集落の中と言う、魔獣を警戒しなくてもよいということが長寛さを醸し出していた。
「やっぱり、乗り合い馬車が必ず一泊するって言うのが大きいみたいね」
村だというのに、駅舎の近くには宿屋と、数件の店がコンパクトにまとめられている。
アンナリーナとテオドールは今、そのうちの一軒に足を踏み入れていた。
「ふわぁ、雑貨屋さんなのです」
土産物屋的なその店は生活雑貨も置いていて、そこで目に付いたのはまたもや【鍋】だった。
「おぉっ! このフライパンは従来のものより少し深くて、使い勝手が良さそうです!
持ち手まで一体化していて、このままオーブンに入れてもいいですね!
すみません! このフライパンの他のサイズはありますか?」
普通の女子なら目を止めそうなファンシーな雑貨の前を素通りして、フライパンに突進したアンナリーナを見て、その異様さに目を白黒させているテオドールは立ち直るのにしばしの時間を要したのだった。
「うふふ、こんなに嬉しい事はないのです」
鍋やらフライパンやら色々買い込んだ品は、代金と引き換えにインベントリにしまい込んだ。
この村の職人はいい仕事をする。
アンナリーナは他にもオーブン用の天板や、薬缶などを買った。
次に行った店は鍛冶屋である。
乗り合い馬車の乗客には、テオドールのような冒険者も多く、それよりも護衛としてついている彼らをターゲットとして鍛冶屋はある。
中でも研ぎの需要は多く、他にも砥石も扱っていて、テオドールはそれを買うようだ。
何種類か購入し、携帯用の、水を使わずに刃に滑らせるだけの砥石も買って、ここでの用は終わった。
アンナリーナは物珍しそうに見て回っていたが、買う事はなかった。
最後にやって来たのは食料品店だ。
ここは肉屋とその他に分かれており、アンナリーナはまず、穀物や豆類のコーナーに向かった。
「いらっしゃい」
白い髪をきっちりと結い上げた老婆がアンナリーナに気づいてやって来た。
「こんな時間にお客さんとは珍しいね。お嬢さんは、明朝の馬車の乗客かね?」
「はい、さっきこの村に着いて宿屋に落ち着いたところです」
「じゃあ、ぜひ明日の朝は、うちの弁当を買っていっておくれ。
味は保証するよ」
どうやらこの店は乗り合い馬車の乗客を相手に弁当や保存食を販売しているようだ。
「そうだ、よかったら味見をしてみるかい?」
老婆はそう言って奥に引っ込んでいった。
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