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第四章
129『捜索隊』
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「どんな様子?」
アモンと御者が、テントで休んだのを確かめてから、テオドールが世話をしていた馬たちの元に行ったアンナリーナは、ようやく落ち着きを取り戻した様子に安堵していた。
それには解析をしてみて目立つ異常がなかったのが大きい。
「【回復】」
馬たちを宥めながら、特に脚を中心に治癒魔法をかけていく。
その快ちさがわかるのだろう、馬たちも大人しくしていた。
「よくもまあ、丸一日走りっぱなしで保ったよね。
……恐怖が、通常ではあり得ない力を与えたのかな」
そっと腹を撫でてやる。
アンナリーナの身長ではそこしか届かないため、馬たちが喜ぶ部位を撫でてやる事が出来ない。
「しかし、王都のそんな近くに魔獣が出没しているなんて、情報は上がってないぞ」
「うん、これが初回なんだろうね。
それと、逃げのびた馬車が他にもあるかもしれない。
セトを斥候に出そうと思うんだけど」
「いいんじゃないか?
あいつなら空から捜索出来る。
その気になれば魔獣を退治する事も出来るし、まあ、あの姿を見せたら驚くと思うが」
「それと、人間と接触しなきゃならなくなった時のためにアラーニェを同行させようと思うの」
テオドールは頷いた。
「それと熊さん、こうなったからには速攻でこの国も抜けるよ。
ギルドに接収されたらアホらしいからね」
アホらしいでは済まない。
基本、アンナリーナはタダ働きなど好まないのだ。
アンナリーナの命令で、夜闇に紛れて飛び立ったセトは、アモンたちのきた道を遡っていった。
「あそこに火が見える。
このまま、しばらく上空を旋回して様子を伺うぞ」
「了解です」
セトはぐんと高度を下げ、地上に広がる景色に注意を向けた。
そこには見るからに疲れ果てうなだれた人間が5人、焚き火を囲んで座り込んでいる。
他に3人が立ち上がり、あたりを監視しているが、その他にはもう居ないようだ。
「あの8人はどうやら一行の生き残りのようですね。どうします?」
「しばし待て。
『主人、ここに生き残りが8人いる。
どうやら冒険者のようだがどうすれば良いか?』」
念話で聞いた応えはすぐに返ってきた。
『そちらは私たちが対応するわ。
セトたちは先に進んでくれる?
それから、どんな細かいことでも報告してね』
『承りました』
「腐っても冒険者なのだ。
あとしばらく、しのぐことは可能だろう」
「左様ですね。
ではセト殿、参りましょうか」
再び飛び上がったセトたちは、人間よりはるかに優れた視力で、暗闇の中に隠されたものにも目を向けていた。
「魔獣はさほどおりませんね」
「ほとんどが集団と化し、王都を目指しているのだろう。
……あそこに壊れた馬車がある」
「一度降りてみて、生存者がいないか確かめますか?」
「そうだな」
セトの目には、見るからに生きているものが居そうにない状況に溜息する。
この箱馬車は、自身のスピードに耐えきれず、道の僅かな凹凸に車輪を取られて転覆した様相を示している。
今、主人と一緒にいる、あの2人も運が悪ければこうなっていたのだろう。
ちょっとした【運】が二組の運命を分けた……現実は残酷である。
「駄目だな」
降り立った2人は、その人間とは比べられない膂力を持ってして、ひっくり返り、ひしゃげた馬車を捜索して、いくつかの骸を発見した。
御者は激しく飛ばされ、森の木に激突している。
馬たちももつれ合うようにして木の枝にぶら下がっていた。
……この場に命あるものは居ない。
『主人、転覆した馬車を発見した。
生存者は無し。
この場を離れ、先に向かいます』
『わかったわ。ありがとう』
アモンと御者が、テントで休んだのを確かめてから、テオドールが世話をしていた馬たちの元に行ったアンナリーナは、ようやく落ち着きを取り戻した様子に安堵していた。
それには解析をしてみて目立つ異常がなかったのが大きい。
「【回復】」
馬たちを宥めながら、特に脚を中心に治癒魔法をかけていく。
その快ちさがわかるのだろう、馬たちも大人しくしていた。
「よくもまあ、丸一日走りっぱなしで保ったよね。
……恐怖が、通常ではあり得ない力を与えたのかな」
そっと腹を撫でてやる。
アンナリーナの身長ではそこしか届かないため、馬たちが喜ぶ部位を撫でてやる事が出来ない。
「しかし、王都のそんな近くに魔獣が出没しているなんて、情報は上がってないぞ」
「うん、これが初回なんだろうね。
それと、逃げのびた馬車が他にもあるかもしれない。
セトを斥候に出そうと思うんだけど」
「いいんじゃないか?
あいつなら空から捜索出来る。
その気になれば魔獣を退治する事も出来るし、まあ、あの姿を見せたら驚くと思うが」
「それと、人間と接触しなきゃならなくなった時のためにアラーニェを同行させようと思うの」
テオドールは頷いた。
「それと熊さん、こうなったからには速攻でこの国も抜けるよ。
ギルドに接収されたらアホらしいからね」
アホらしいでは済まない。
基本、アンナリーナはタダ働きなど好まないのだ。
アンナリーナの命令で、夜闇に紛れて飛び立ったセトは、アモンたちのきた道を遡っていった。
「あそこに火が見える。
このまま、しばらく上空を旋回して様子を伺うぞ」
「了解です」
セトはぐんと高度を下げ、地上に広がる景色に注意を向けた。
そこには見るからに疲れ果てうなだれた人間が5人、焚き火を囲んで座り込んでいる。
他に3人が立ち上がり、あたりを監視しているが、その他にはもう居ないようだ。
「あの8人はどうやら一行の生き残りのようですね。どうします?」
「しばし待て。
『主人、ここに生き残りが8人いる。
どうやら冒険者のようだがどうすれば良いか?』」
念話で聞いた応えはすぐに返ってきた。
『そちらは私たちが対応するわ。
セトたちは先に進んでくれる?
それから、どんな細かいことでも報告してね』
『承りました』
「腐っても冒険者なのだ。
あとしばらく、しのぐことは可能だろう」
「左様ですね。
ではセト殿、参りましょうか」
再び飛び上がったセトたちは、人間よりはるかに優れた視力で、暗闇の中に隠されたものにも目を向けていた。
「魔獣はさほどおりませんね」
「ほとんどが集団と化し、王都を目指しているのだろう。
……あそこに壊れた馬車がある」
「一度降りてみて、生存者がいないか確かめますか?」
「そうだな」
セトの目には、見るからに生きているものが居そうにない状況に溜息する。
この箱馬車は、自身のスピードに耐えきれず、道の僅かな凹凸に車輪を取られて転覆した様相を示している。
今、主人と一緒にいる、あの2人も運が悪ければこうなっていたのだろう。
ちょっとした【運】が二組の運命を分けた……現実は残酷である。
「駄目だな」
降り立った2人は、その人間とは比べられない膂力を持ってして、ひっくり返り、ひしゃげた馬車を捜索して、いくつかの骸を発見した。
御者は激しく飛ばされ、森の木に激突している。
馬たちももつれ合うようにして木の枝にぶら下がっていた。
……この場に命あるものは居ない。
『主人、転覆した馬車を発見した。
生存者は無し。
この場を離れ、先に向かいます』
『わかったわ。ありがとう』
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