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第四章
116『ヒュリポン討伐』
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アンナリーナたちは再び馬車に乗り、門をくぐって外に出た。
「ヒュリポンなんて珍しいヤツの依頼を受けたが……大丈夫か?」
「問題なし、だよ!」
「どこから来るんだよ、その自信」
くふふ、とアンナリーナが笑う。
「もう、すでに探索始めてるし。私とセトが空中で待ち構えて落とすから、熊さんとイジでトドメを刺してよ」
「そんな……簡単に言うけどな」
テオドールの、アンナリーナに対する心配は尽きない。
街道を3時間ほど馬車を走らせて、時折何事かナビと話し合っていたアンナリーナが突然、馬車を止めるように言った。
「……みんな、来るよ」
まだその姿を捉えられないテオドールを除いて、あとの3人は一点を見つめていた。
「来る!」
上空から強襲してこようとするヒュリポンを迎え撃つため、アンナリーナはセトに目配せした。
その瞬間。
セトの姿がドラゴンに変わり、見る見る巨大化していく。
その巨体がふわりと浮き上がるのと同時に、アンナリーナも【飛行】を使って飛び立った。
「セト……」
初めてセトの “ 本体 ”を見たテオドールは、しばし唖然とし2人の後ろ姿を見つめている。
そしてこちらに向かって飛んできていたヒュリポンたち……総勢12羽が、セトの威圧に恐れをなして急旋回して逃げようとしていた。
「甘~い!」
アンナリーナの嬉々とした声が聞こえてくる。
彼女にはもうすべてのヒュリポンがロックオンされていて……そして蹂躙が始まった。
アンナリーナの、とても初級魔法とは思えない【エアカッター】と、セトのレーザーが大型鳥型魔獣をボトボトと落としていく。
「トドメって……
そっちできっちり刺してるじゃないか」
テオドールの愚痴のような呟きを念話で聞き取って、アンナリーナが嬉しそうに笑う。
そして全滅させる予定だったのだが、一羽を取り逃がしかけていた。
「おい、リーナ! 右っ!!」
「わかってるよ~
何となくだけど……群の巣が近くにありそうなんで、ちょっと先導してもらおうと思って。
セトが一緒なんで心配しないで~」
ふたつの影が見る見る小さくなっていって、そして見えなくなった。
「……とりあえず俺らはヒュリポン11羽を回収するか」
頷いたイジと、まずは一羽目に向かって歩き出した。
【認識阻害】をかけたブラックドラゴン……セトの背に乗って、アンナリーナは一目散に逃げていくヒュリポンを追っていた。
あたりは段々と森が深くなり、樹木一本一本も大きくなってきた。
「ここは……いわゆる【魔獣の森】だね。それも魔素がかなり濃いよ」
前方には高山が迫ってきていて、岩肌を晒している場所もある。
「ヒュリポンの生態を考えると、あのあたりに巣があるんじゃないかな」
そのとき突然、ヒュリポンの姿がかき消すように見えなくなり、アンナリーナはびっくりする。
全速力で岩肌に迫った2人は、その状況に納得した。
平面に見えていた岩肌には大小さまざまな凹凸があり、アンナリーナはすぐにそこにまるで屏風のようにジグザグになった通路を発見した。
「セト、小型化してここに着地できる?」
「大丈夫だ。少し横に逸れてくれるか?」
バサバサと翼をはためかせながら、危なげなく着地したセトはドラゴニュートに変化し、アンナリーナに続いて先に向かった。
「ふわ~ これは凄いね」
そこはヒュリポンの一大繁殖地だった。
「ただいま~」
日が沈む直前、今日も綺麗な夕焼けの陽が眩しいとき、昼前に出て行った目新しい一行が本日2回目になるギルドに足を踏み入れた。
「リーナさん、何か忘れものですか?」
もうそろそろ業務終了の時間を迎えていたデンシャルが、思わずと言った様子で立ち上がった。
「いえ? 依頼終了の届けに参りました。獲物はこれです」
冒険者ギルドのホールの床に、特大のヒュリポンが転がった。
「ヒュリポンなんて珍しいヤツの依頼を受けたが……大丈夫か?」
「問題なし、だよ!」
「どこから来るんだよ、その自信」
くふふ、とアンナリーナが笑う。
「もう、すでに探索始めてるし。私とセトが空中で待ち構えて落とすから、熊さんとイジでトドメを刺してよ」
「そんな……簡単に言うけどな」
テオドールの、アンナリーナに対する心配は尽きない。
街道を3時間ほど馬車を走らせて、時折何事かナビと話し合っていたアンナリーナが突然、馬車を止めるように言った。
「……みんな、来るよ」
まだその姿を捉えられないテオドールを除いて、あとの3人は一点を見つめていた。
「来る!」
上空から強襲してこようとするヒュリポンを迎え撃つため、アンナリーナはセトに目配せした。
その瞬間。
セトの姿がドラゴンに変わり、見る見る巨大化していく。
その巨体がふわりと浮き上がるのと同時に、アンナリーナも【飛行】を使って飛び立った。
「セト……」
初めてセトの “ 本体 ”を見たテオドールは、しばし唖然とし2人の後ろ姿を見つめている。
そしてこちらに向かって飛んできていたヒュリポンたち……総勢12羽が、セトの威圧に恐れをなして急旋回して逃げようとしていた。
「甘~い!」
アンナリーナの嬉々とした声が聞こえてくる。
彼女にはもうすべてのヒュリポンがロックオンされていて……そして蹂躙が始まった。
アンナリーナの、とても初級魔法とは思えない【エアカッター】と、セトのレーザーが大型鳥型魔獣をボトボトと落としていく。
「トドメって……
そっちできっちり刺してるじゃないか」
テオドールの愚痴のような呟きを念話で聞き取って、アンナリーナが嬉しそうに笑う。
そして全滅させる予定だったのだが、一羽を取り逃がしかけていた。
「おい、リーナ! 右っ!!」
「わかってるよ~
何となくだけど……群の巣が近くにありそうなんで、ちょっと先導してもらおうと思って。
セトが一緒なんで心配しないで~」
ふたつの影が見る見る小さくなっていって、そして見えなくなった。
「……とりあえず俺らはヒュリポン11羽を回収するか」
頷いたイジと、まずは一羽目に向かって歩き出した。
【認識阻害】をかけたブラックドラゴン……セトの背に乗って、アンナリーナは一目散に逃げていくヒュリポンを追っていた。
あたりは段々と森が深くなり、樹木一本一本も大きくなってきた。
「ここは……いわゆる【魔獣の森】だね。それも魔素がかなり濃いよ」
前方には高山が迫ってきていて、岩肌を晒している場所もある。
「ヒュリポンの生態を考えると、あのあたりに巣があるんじゃないかな」
そのとき突然、ヒュリポンの姿がかき消すように見えなくなり、アンナリーナはびっくりする。
全速力で岩肌に迫った2人は、その状況に納得した。
平面に見えていた岩肌には大小さまざまな凹凸があり、アンナリーナはすぐにそこにまるで屏風のようにジグザグになった通路を発見した。
「セト、小型化してここに着地できる?」
「大丈夫だ。少し横に逸れてくれるか?」
バサバサと翼をはためかせながら、危なげなく着地したセトはドラゴニュートに変化し、アンナリーナに続いて先に向かった。
「ふわ~ これは凄いね」
そこはヒュリポンの一大繁殖地だった。
「ただいま~」
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「リーナさん、何か忘れものですか?」
もうそろそろ業務終了の時間を迎えていたデンシャルが、思わずと言った様子で立ち上がった。
「いえ? 依頼終了の届けに参りました。獲物はこれです」
冒険者ギルドのホールの床に、特大のヒュリポンが転がった。
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