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第四章
18『アンナリーナの学院事情』
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アンナリーナの学院での授業は基本、午前の4時限と午後の2時限から成り立っている。
これを1課目1時限から連続3時限の時間をかけて授業を行うのだが、アンナリーナたち1年生は基礎から学ぶ事が多く、アンナリーナに限らず飛び級もしくは免除されている生徒も多い。
この日、1時限目はアンナリーナがこの学院にきて新たに学び始めた【魔法陣】である。
これはスキルとして持ってはいたが、今まで手をつけた事のなかった分野で、現在は外周の円を書くことがメインだが、元々細かい作業が好きなアンナリーナは嬉々としてペンを動かしている。
この筆記具も特殊なもので、まず魔法陣を書く紙は魔力が込められた特殊な羊皮紙。
ペンの素材はA級以上の魔獣の骨や角が使われ、インクも特殊な植物系魔獣の樹液が素材になっている。
これは、言うまでもなく魔法陣を書くための材料費が高くつく、と言うことで完成品の魔法陣が高価な理由にもなっている。
ただアンナリーナにとって金額は関係ない。
純粋に楽しむだけに授業を受け、知識を吸収していた。
本日、2時限から4時限までは薬草学だ。
まず、2時限には学院の薬草園で実地の採取を行い、3、4時限には調合を行う。
この地味な授業を6年間続ければ【薬師】のギフトは付かないが【調合】のスキルは付くことがある。
だが、根気が必要なこの作業、毎年1人か2人がスキルを取得できれば良い方。
それでも知識だけでも得たいと、卒業後冒険者になる予定のものは地道に授業を受けている。
今日はアンナリーナは、担当教官からアシスタントを頼まれていた。
「これは私がハンネケイナで、初めて冒険者登録したギルドで知って仰天した事なんです。
もちろん直後にギルドを通じて徹底してもらったはずなので、こちらにも周知されていると思いますが……
教官?」
「えーっと、リーナ君。
申し訳ないが私は聞いていない」
今、話しているのは回復薬の素材の事だ。だがギルドからは何の連絡もきていない。
「……
回復薬の、メインの素材は “ オメガ草 ”ですよね?
これに関して、いつのまにか失伝していた事があるんです」
教官を始め、今日この授業を受けているすべての生徒の視線がアンナリーナに注がれている。
「ハンネケイナのギルドで、回復薬の回復値が安定しないと聞いて、初め私は何が良くないのかわかりませんでした。でも、ある日冒険者が納入したオメガ草を見て、気づいたのです」
アンナリーナは薬草園のオメガ草を育てている区域に皆を誘い、数本のオメガ草を採取した。
「これは……」
アンナリーナの “ 講義 ”が終わった瞬間、皆から出た驚きの響めきは想定内だった。
「リーナ君、それは本当なのかね?」
学院の、薬草学の教官すらその顔色を真っ青に変えている。
「ええ、王都のギルドが周知してくれているものとばかり思っていたのですが」
アンナリーナはかぶりを振る。
「では、実際に調薬して見ましょうか」
本日は、午後の授業がなく、アンナリーナは周りのクラスメイトに捕まらないうちに、そそくさと寮へと戻っていた。
例のオリエンテーションでアレクセイを助けた事からアンナリーナを見る皆の目が変わっていたのだが、今日の薬草学の授業での気さくな様子にも好感を持ったようだ。
4時限目が終わった瞬間、誰がアンナリーナを昼食に誘うのか……と、牽制しあっていたのだ。
「怖かったよ~」
駆けるようにして自室に飛び込んだアンナリーナは、出迎えのアラーニェに抱きついた。
普段は楚々とした令嬢たちの鬼気迫る様子に、アンナリーナは泣きそうである。
これを1課目1時限から連続3時限の時間をかけて授業を行うのだが、アンナリーナたち1年生は基礎から学ぶ事が多く、アンナリーナに限らず飛び級もしくは免除されている生徒も多い。
この日、1時限目はアンナリーナがこの学院にきて新たに学び始めた【魔法陣】である。
これはスキルとして持ってはいたが、今まで手をつけた事のなかった分野で、現在は外周の円を書くことがメインだが、元々細かい作業が好きなアンナリーナは嬉々としてペンを動かしている。
この筆記具も特殊なもので、まず魔法陣を書く紙は魔力が込められた特殊な羊皮紙。
ペンの素材はA級以上の魔獣の骨や角が使われ、インクも特殊な植物系魔獣の樹液が素材になっている。
これは、言うまでもなく魔法陣を書くための材料費が高くつく、と言うことで完成品の魔法陣が高価な理由にもなっている。
ただアンナリーナにとって金額は関係ない。
純粋に楽しむだけに授業を受け、知識を吸収していた。
本日、2時限から4時限までは薬草学だ。
まず、2時限には学院の薬草園で実地の採取を行い、3、4時限には調合を行う。
この地味な授業を6年間続ければ【薬師】のギフトは付かないが【調合】のスキルは付くことがある。
だが、根気が必要なこの作業、毎年1人か2人がスキルを取得できれば良い方。
それでも知識だけでも得たいと、卒業後冒険者になる予定のものは地道に授業を受けている。
今日はアンナリーナは、担当教官からアシスタントを頼まれていた。
「これは私がハンネケイナで、初めて冒険者登録したギルドで知って仰天した事なんです。
もちろん直後にギルドを通じて徹底してもらったはずなので、こちらにも周知されていると思いますが……
教官?」
「えーっと、リーナ君。
申し訳ないが私は聞いていない」
今、話しているのは回復薬の素材の事だ。だがギルドからは何の連絡もきていない。
「……
回復薬の、メインの素材は “ オメガ草 ”ですよね?
これに関して、いつのまにか失伝していた事があるんです」
教官を始め、今日この授業を受けているすべての生徒の視線がアンナリーナに注がれている。
「ハンネケイナのギルドで、回復薬の回復値が安定しないと聞いて、初め私は何が良くないのかわかりませんでした。でも、ある日冒険者が納入したオメガ草を見て、気づいたのです」
アンナリーナは薬草園のオメガ草を育てている区域に皆を誘い、数本のオメガ草を採取した。
「これは……」
アンナリーナの “ 講義 ”が終わった瞬間、皆から出た驚きの響めきは想定内だった。
「リーナ君、それは本当なのかね?」
学院の、薬草学の教官すらその顔色を真っ青に変えている。
「ええ、王都のギルドが周知してくれているものとばかり思っていたのですが」
アンナリーナはかぶりを振る。
「では、実際に調薬して見ましょうか」
本日は、午後の授業がなく、アンナリーナは周りのクラスメイトに捕まらないうちに、そそくさと寮へと戻っていた。
例のオリエンテーションでアレクセイを助けた事からアンナリーナを見る皆の目が変わっていたのだが、今日の薬草学の授業での気さくな様子にも好感を持ったようだ。
4時限目が終わった瞬間、誰がアンナリーナを昼食に誘うのか……と、牽制しあっていたのだ。
「怖かったよ~」
駆けるようにして自室に飛び込んだアンナリーナは、出迎えのアラーニェに抱きついた。
普段は楚々とした令嬢たちの鬼気迫る様子に、アンナリーナは泣きそうである。
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