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第三章

94『新年の宴』

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 護衛依頼。
 これは、未だフランクの件を引きずっているだろうアンナリーナのトラウマだと思っている。
 テオドールはアンナリーナを見つめた。

「そうね……
 その護衛依頼ってどんな内容?」

「さっきも言ったが普通はこんな季節に、商人だって移動しないんだ」

 今は真冬。
 王都は滅多に降らないが、先日は積もるほどに雪が降った。
 ここよりずっと北の山岳地帯では人の背丈ほども降ることがあるし、他国では雪に閉ざされてしまうところもある。

「こんな時期に一体どこへ?
 馬車なんて、雪が降ったら動けなくなるでしょう?」

「王都から南に下り、魔の森を避けて西に行く。そしてまた南に進路を変えて大森林を貫く渡国街道を進み【アグボンラオール国】に向かう。
 片道ひと月の旅だ」

「結構長いね」

 新学期は4月なので、日数的には余裕がある。だが。

「寒さとかどうなの?
 雪が降らなくても、凍ったらヤバイよ?」

「ギルドで聞いてみたが南に行くほど寒さは緩くなるらしい」

「ん~」

 アンナリーナは考える。
 今まで行ったことのないルート、国だ。正直言ってそそられる。
 それはトラウトよりも好奇心の方が優っているということだ。

「いくつか条件を呑んでもらえるのなら……いいんじゃないかな。
 面白そうだし。
 ところでいつ出発なの?」

「なるべく早く、との事だったが」

 あちらも正確な日数が読めないので、余裕を持って出発したいようだ。

「うん、わかった。
 熊さん、その依頼受けてきていいよ。
 でもちょっと条件つけるかな。
 ……もしよければ、打ち合わせについて行きたいんだけど?」

 テオドールが少し考える様子を見せる。

「問題ないだろう」

「じゃあ、お願い。それから……
 熊さん、新年おめでとう」


 クランの年越しの宴会に戻っていったテオドールを見送り、アンナリーナはツリーハウスに向かった。

「みんな、ただいま!
 それから新年おめでとう」

 アラーニェが一番に飛び出してきて抱きついてくる。
 皆が囲むテーブルの上にはご馳走が並び、アンナリーナの帰りを待っていたのがわかる。

「アラーニェ、このドレス凄っごく評判良かったよ! ありがとう!」

「リーナ様」

 アラーニェが目を潤ませ、ふるふると震えている。

「アラーニェのドレス、とっても素敵で皆の目が釘付けだったよ!
 それでお願いがあるんだけど」

 アラーニェの目が、期待に輝いている。

「どれだけ材料費がかかってもいいから、春物のドレスを出来る限りたくさん、作ってもらいたいのだけど」

「よろしいのですか?」

「うん、なんか嫌な予感がするんだよね……厄介ごとが転がり込んでくるみたいな?」

「わかりました。仰せのままに」

「それから近日中に、依頼で出かける事になると思うの。
 そのお手伝いを、皆にお願いすると思うのでよろしく」

 頷き返した皆を満足げに見てアンナリーナは、次にネロに声をかけた。

「ネロ、具合はどう?
【体力値供与】【魔力値供与】【鑑定】」

 ネロ(スケルトン、雄)
 体力値 15
 魔力値 8


「どこか不具合はない?」

 アンナリーナの問いかけに、ネロは顎をカチカチ言わせながら頷いた。

「あなたのステータスは少しずつ上げていくからね。心配しないで」

 今までの例から言って、おそらく魔力値が100を超える頃には話せるようになるだろう。
 そして、アンナリーナがオプションとして付けた能力も顕現するだろう。


「【ギフト】天候予測
 そして、ステータスオープン」

 アンナリーナ 15才
 職業 薬師、錬金術師、賢者の弟子
 
 体力値 197554244800
 魔力値 141119010980887575/141119010980888576
(ステータス鑑定に1使用、天候予測に1000使用)

 ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
[一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
 調薬
 鑑定
 魔力倍増・継続 (12日間継続)
 錬金術(調合、乾燥、粉砕、分離、抽出、時間促進)
 身体強化
 探索(探求、探究)
 水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)
 隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)
 飛行(空中浮遊、空中停止)
 加温(沸騰)
 治癒(体力回復、魔力回復、解毒、麻痺解除、状態異常回復、石化解除)
 風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)
 冷凍(凍結乾燥粉砕フリーズドライ)
 時間魔法(時間短縮、時間停止、成長促進、熟成)
 体力値倍増・継続(12日間継続)
 撹拌
 圧縮
 結界
 異空間収納(インベントリ、時間経過無し、収納無限、インデックス)
 凝血
 遠見
 夜目
 解析スキャン
 魔法陣
 マップ
 裁縫
 編み物
 刺繍
 ボビンレース
 検索
 隠蔽(偽造)
 従魔術ティム
 体力値供与
 細工
 再構築
 無詠唱
 悪意察知
 魔力値供与
 空間魔法(転移)
 異世界買物
 位置特定
 異空間魔法(空間接続、空間増設)
 宣誓魔法
 火魔法(火球、エクスプロージョン、ファイアアロー、ファイアストーム、ボルケーノ、インフェルノ]
 氷魔法(氷球、アイスアロー、アイススピア、フリーズストーム、アブソリュートゼロ、ダイヤモンドダスト)
 スキル供与
 ガラス工芸
 付与魔法(異空間付与、各種強化付与、各種弱体化付与、その他別途記載)
 革細工
 彫金
 雷魔法(雷球、ライトニングアロー、サンダーボルト、ライトニングバースト、ディバインスレイブ、ディスタージ、マイクロウェーブ)
 回避
 召喚魔法
 封印
 死霊魔法
 光魔法(別途記載)
 土魔法(別途記載)
 水魔法(上級、フラッド、ディープフラッド、デリュージュ、アクアブレード、タイダルウェーブ、アクアビーム、ダークストリーム)
 闇魔法(別途記載)
 緑魔法(別途記載)
 溶解魔法(別途記載)
 精密操作
 精神強化
 魔法効果拡大
 魔法範囲拡大
 威嚇
 毒魔法
 麻痺魔法
 水泳
 追跡
 馬術
 格闘術
 剣術
 槍
 投槍
 蹴り
 関節技
 透視
 耐寒
 耐熱
 精霊術
 噛みつき
 引き裂き
 ブレス
 機織り
 糸紡ぎ
 魔導具作成
 空歩
 石化
 吸血
 怪力
 雄叫び
 レーザー
 高周波
 暗殺術
 看破
 地震
 捕食吸収
 軽業
 掘削
 自己再生
 宮中儀礼
 マナー一般
 ダンス
 楽器演奏
 人化
 斬撃
 必殺
 拿捕
 強化(物質)
 狩猟
 天候予測


「【体力値供与】【魔力値供与】
 そして【鑑定】」

 セト(ブラックドラゴン変異種、雄)
 体力値 85601768572
 魔力値 5268409375
 取得スキル
 火魔法(火球、エクスプロージョン、ファイアアロー、ファイアストーム、ボルケーノ、インフェルノ)
 水魔法(水球、ウォーターカッター、フラッド、ディープフラッド、デリュージュ、アクアブレード、タイダルウェーブ、アクアビーム、ダークストリーム)
 風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)
 氷魔法(氷球、アイスアロー、アイススピア、フリーズストーム、アブソリュートゼロ、ダイヤモンドダスト)
 雷魔法(雷球、ライトニングアロー、サンダーボルト、ライトニングバースト、ディバインスレイブ、ディスタージ、マイクロウェーブ)
 身体強化
 追跡
 結界
 魔法効果拡大
 魔法範囲拡大
 威嚇
 毒魔法
 麻痺魔法
 圧縮
 危機察知
 悪意察知
 噛みつき
 封印
 引き裂き
 ブレス
 石化
 レーザー
 地震
 看破
 捕食吸収
 斬撃
 必殺
 空間魔法(転移)


「【体力値供与】【魔力値供与】
 そして【鑑定】」

 アマル(グレートジェリーフィッシュ、無性)
 体力値 59042618
 魔力値 36857930
 取得スキル
 お手伝い
 洗浄クリーン
 毒魔法
 麻痺魔法
 防御
 加温(沸騰)
 水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)
 精密操作
 溶解魔法(別途記載)
 隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)
 悪意察知
 結界
 圧縮
 吸血
 石化
 高周波
 暗殺術
 空間魔法(転移)


「【体力値供与】【魔力値供与】
【スキル供与】狩猟
 そして【鑑定】」

 イジ(グレーオーガ亜種 雄、隻眼)
 体力値 89653104
 魔力値 9653840
 取得スキル
 夜目
 遠見
 防御
 格闘術
 剣術
 槍
 投槍
 蹴り
 関節技
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)
 身体強化
 鑑定
 引き裂き
 空歩
 怪力
 雄叫び
 軽業
 暗殺術
 空間魔法(転移)
 狩猟


「【体力値供与】【魔力値供与】
【スキル供与】生活魔法
 そして【鑑定】

 アラーニェ(アラクネー、雌)
 体力値 156953
 魔力値 562948
 取得スキル
 糸
 鑑定
 糸紡ぎ
 機織り
 吸血
 石化
 デザイン
 パターン
 裁縫
 編み物
 レース編み
 刺繍
 ボビンレース
 細工
 ガラス工芸
 革細工
 彫金
 毒魔法
 麻痺魔法
 捕食吸収
 人化
 空間魔法(転移)
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)


 その夜、魔獣の森の奥深く。
 人の立ち入った事の無いような秘境にあるツリーハウスの中で、夜空が白む頃まで賑やかな声が聞こえていた。
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