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第三章
79『入学式のそのあとに』
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魔法学院の入学式には、親や後見人が出席する。
今回、アンナリーナの場合は、ギィ辺境伯の名代としてテオドールが、冒険者ギルドからはギルドマスターが後見人として貴賓席に座っていた。
ラノベなどではよく、魔法学院を舞台に物語が描かれるがその場合、生徒数がかなりの大人数である事が多い。
だが現実のこの世界では、魔法学院に入学出来るほどの魔力と、財力や後見を持つものは多くない。
貴族ですら全員が高魔力というわけではないのだ。
現に今年の入学生の人数は50人に満たず、それでも例年と比べると多いと言える。
魔法学院の制服は濃い水色で、男子は騎士服風、女子はロールカラーのブラウスと細身のロングスカートにブーツ……いわゆるロッテンマイヤーさんルックである。
アンナリーナはこの上に薬師のローブを羽織ることを許されている。
このローブも普段着ている、フード付きの身体をすっぽり覆うものではなく、ジャケットのように羽織るものである。その長さは裾まで。
高めのスタンドカラーと前立てには銀糸で刺繍されており、オフホワイトのアラクネ絹で仕立てられている。
それを見たアナベラはさらにアンナリーナに興味を覚えた。
式典の時だけはローブを脱ぎ、教室に移る時はまた着る。
ひとりだけ特別扱いのアンナリーナを周りの生徒は良く思っていなかった。
「ちょっと、あなた」
きた、きた、きたーー!
今回はどうやって凹ませてやろうと、アンナリーナが意地悪く思っていると、声をかけてきた少女の取り巻きがいきなり怒鳴りつけてくる。
「一体どういうつもりなの、この平民風情が!
こちらはエレアント公爵令嬢サリア様よ」
「それが?」
「サリア様は学院を卒業後、国王陛下の元に入内する事が決まっているの。
あなたなんかが、その視界に入るのもおこがましいわ」
おかしい……
この国の国王は、隣国の王女を正妃に迎えているはずだ。
その元に入内とは?
「側室?」
アンナリーナの呟きが気にいらなかったようだ。
げんなりするアンナリーナの前で取り巻きの少女、ロドス伯爵令嬢リリスが掴みかかろうとする。
アンナリーナは素早く避けてリリスを睥睨する。
「……あなた、咳止めを飲んでいるでしょう? それもかなり強い。
ちょっと、このかたの従者か護衛の方、いらっしゃいません?」
「はい、ここにおります」
アンナリーナの着ているローブで、彼女の職種を理解している彼らはすぐに姿を現した。
「すぐに保護者の方をお呼びして。
そして学院長とユングクヴィスト様も」
今なら急げば間に合うだろう。
事は火急の要件なのだ。
そして思い出したようにリリスを結界で囲むと、この場にいる生徒全員に【解析】をかけた。
『あらあら、何か面白いことになってるじゃないの』
アンナリーナはほくそ笑む。
「リーナよ。一体どうした?」
まず一番にやって来たのはユングクヴィストだった。
アンナリーナは素早く近づくと結界を張り、説明し始める。
「あの令嬢……今は結界で他と隔離していますが【ツベルクローシス】に罹っていますね」
「何と!! それはまことか?!」
アンナリーナと同じく【解析】を使えるユングクヴィストが、一時的に結界を解かれたリリスをスキャンし、頷いた」
「これは由々しき事態じゃ……」
今回、アンナリーナの場合は、ギィ辺境伯の名代としてテオドールが、冒険者ギルドからはギルドマスターが後見人として貴賓席に座っていた。
ラノベなどではよく、魔法学院を舞台に物語が描かれるがその場合、生徒数がかなりの大人数である事が多い。
だが現実のこの世界では、魔法学院に入学出来るほどの魔力と、財力や後見を持つものは多くない。
貴族ですら全員が高魔力というわけではないのだ。
現に今年の入学生の人数は50人に満たず、それでも例年と比べると多いと言える。
魔法学院の制服は濃い水色で、男子は騎士服風、女子はロールカラーのブラウスと細身のロングスカートにブーツ……いわゆるロッテンマイヤーさんルックである。
アンナリーナはこの上に薬師のローブを羽織ることを許されている。
このローブも普段着ている、フード付きの身体をすっぽり覆うものではなく、ジャケットのように羽織るものである。その長さは裾まで。
高めのスタンドカラーと前立てには銀糸で刺繍されており、オフホワイトのアラクネ絹で仕立てられている。
それを見たアナベラはさらにアンナリーナに興味を覚えた。
式典の時だけはローブを脱ぎ、教室に移る時はまた着る。
ひとりだけ特別扱いのアンナリーナを周りの生徒は良く思っていなかった。
「ちょっと、あなた」
きた、きた、きたーー!
今回はどうやって凹ませてやろうと、アンナリーナが意地悪く思っていると、声をかけてきた少女の取り巻きがいきなり怒鳴りつけてくる。
「一体どういうつもりなの、この平民風情が!
こちらはエレアント公爵令嬢サリア様よ」
「それが?」
「サリア様は学院を卒業後、国王陛下の元に入内する事が決まっているの。
あなたなんかが、その視界に入るのもおこがましいわ」
おかしい……
この国の国王は、隣国の王女を正妃に迎えているはずだ。
その元に入内とは?
「側室?」
アンナリーナの呟きが気にいらなかったようだ。
げんなりするアンナリーナの前で取り巻きの少女、ロドス伯爵令嬢リリスが掴みかかろうとする。
アンナリーナは素早く避けてリリスを睥睨する。
「……あなた、咳止めを飲んでいるでしょう? それもかなり強い。
ちょっと、このかたの従者か護衛の方、いらっしゃいません?」
「はい、ここにおります」
アンナリーナの着ているローブで、彼女の職種を理解している彼らはすぐに姿を現した。
「すぐに保護者の方をお呼びして。
そして学院長とユングクヴィスト様も」
今なら急げば間に合うだろう。
事は火急の要件なのだ。
そして思い出したようにリリスを結界で囲むと、この場にいる生徒全員に【解析】をかけた。
『あらあら、何か面白いことになってるじゃないの』
アンナリーナはほくそ笑む。
「リーナよ。一体どうした?」
まず一番にやって来たのはユングクヴィストだった。
アンナリーナは素早く近づくと結界を張り、説明し始める。
「あの令嬢……今は結界で他と隔離していますが【ツベルクローシス】に罹っていますね」
「何と!! それはまことか?!」
アンナリーナと同じく【解析】を使えるユングクヴィストが、一時的に結界を解かれたリリスをスキャンし、頷いた」
「これは由々しき事態じゃ……」
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