上 下
151 / 577
第三章

44『美味しいステーキ』

しおりを挟む
 その重戦士は、まさに人の心の醜さを体現した存在だった。

 自分たちが守られている結界の、さらに内側に存在する結界、少女がいるだろうテントを覆う結界を破ろうと、重戦士は先ほどからメイスで叩き続けていた。
 初めは止めていたリーダーも、今はもう何も言わないのは、よしんばあのテントが手に入ったら儲けものだと思ったからだろう。
 リーダーがそう判断したのなら、誰も何も言わない。


 リザードに変化した……以前よりも黒光りする鱗に精悍な顔つきのセトを連れ、テントに戻ったアンナリーナは瞬時に、自分の結界へ侵食しようとする振動を感じる。

「なに? 馬鹿じゃないの?」

「呆れ果てること、この上ない。
 主人、これはこのまま放置で良いのではないか?」

「そうね、破られる事はあり得ないので……不快なのであっちに行こうか」

「主人、俺がここで監視していよう」

「いいわよ、一緒にあちらでゆっくりしましょう。
 そして明日はセトのお祝いをするわよ」

 アンナリーナは撤収を決めた。



 翌朝、アンナリーナが起きてくると、冒険者たちの姿はすでになく、8階層にその姿を確認できないことから、下に降りていったと思われる。

「ふーん、鍋はちゃんと洗ってあるのね……【洗浄】」

 このあとアンナリーナはテントを撤収して、ダンジョンの入り口を目指した。
 冒険者を避け、魔獣を倒しながらではあったが、夕方にはダンジョンから出て、マチルダとマリアの住む屋敷に向かう。
 御誂え向きにジャマーもいたのでポーションを渡し、アンナリーナはツリーハウスに転移した。

 主役のセトとアンナリーナ、アマルとイジがテーブルについている。
 セトは椅子に座れるようになり、初めて皆一緒の食事になる。

「今日はミノタウロス・ジェネラルのステーキがメインよ。
 セト、いっぱい食べてね」

 霜降りたっぷりの肉は最高級黒毛和牛に勝るとも劣らない。
 まずはシンプルに塩胡椒で。
 下の上で蕩けるような食感は感涙ものだ。
 あとは【異世界買物】で購入した、有名食品メーカーの各種ステーキ用ソースを使い、舌鼓を打った。
 この時平らげた量、ミノタウロス・ジェネラル5匹、解体済みとはいえかなりの量だ。

「ああ~ 満腹。満足~」

 ミノタウロス・ジェネラルの肉にぞっこんなアンナリーナは暫くダンジョンに籠る事にする。



「【ギフト】精霊術
 そして、ステータスオープン」

 アンナリーナ 14才
 職業 薬師、錬金術師、賢者の弟子
 
 体力値 209715200
 魔力値 557496136641095/557496136644096
(ステータス鑑定に1使用、精霊術に3000使用)

 ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
[一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
 調薬
 鑑定
 魔力倍増・継続 (12日間継続)
 錬金術(調合、乾燥、粉砕、分離、抽出、時間促進)
 身体強化
 探索(探求、探究)
 水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)
 隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)
 飛行(空中浮遊、空中停止)
 加温(沸騰)
 治癒(体力回復、魔力回復、解毒、麻痺解除、状態異常回復、石化解除)
 風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)
 冷凍(凍結乾燥粉砕フリーズドライ)
 時間魔法(時間短縮、時間停止、成長促進、熟成)
 体力値倍増・継続(12日間継続)
 撹拌
 圧縮
 結界
 異空間収納(インベントリ、時間経過無し、収納無限、インデックス)
 凝血
 遠見
 夜目
 解析スキャン
 魔法陣
 マップ
 裁縫
 編み物
 刺繍
 ボビンレース
 検索
 隠蔽(偽造)
 従魔術ティム
 体力値供与
 細工
 再構築
 無詠唱
 悪意察知
 魔力値供与
 空間魔法(転移)
 異世界買物
 位置特定
 異空間魔法(空間接続、空間増設)
 宣誓魔法
 火魔法(火球、エクスプロージョン、ファイアアロー、ファイアストーム、ボルケーノ、インフェルノ]
 氷魔法(氷球、アイスアロー、アイススピア、フリーズストーム、アブソリュートゼロ、ダイヤモンドダスト)
 スキル供与
 ガラス工芸
 付与魔法(異空間付与、各種強化付与、各種弱体化付与、その他別途記載)
 革細工
 彫金
 雷魔法(雷球、ライトニングアロー、サンダーボルト、ライトニングバースト、ディバインスレイブ、ディスタージ、マイクロウェーブ)
 回避
 召喚魔法
 封印
 死霊魔法
 光魔法(別途記載)
 土魔法(別途記載)
 水魔法(上級、フラッド、ディープフラッド、デリュージュ、アクアブレード、タイダルウェーブ、アクアビーム、ダークストリーム)
 闇魔法(別途記載)
 緑魔法(別途記載)
 溶解魔法(別途記載)
 精密操作
 精神強化
 魔法効果拡大
 魔法範囲拡大
 威嚇
 毒魔法
 麻痺魔法
 水泳
 追跡
 馬術
 格闘術
 剣術
 槍
 投槍
 蹴り
 関節技
 透視
 耐寒
 耐熱
 精霊術


「【体力値供与】【魔力値供与】【スキル供与】悪意察知
 そして【鑑定】」

 セト(ブラックドラゴン変異種、雄)
 体力値 25648258
 魔力値 2054590
 取得スキル
 火魔法(火球、エクスプロージョン、ファイアアロー、ファイアストーム、ボルケーノ、インフェルノ)
 水魔法(水球、ウォーターカッター、フラッド、ディープフラッド、デリュージュ、アクアブレード、タイダルウェーブ、アクアビーム、ダークストリーム)
 風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)
 氷魔法(氷球、アイスアロー、アイススピア、フリーズストーム、アブソリュートゼロ、ダイヤモンドダスト)
 雷魔法(雷球、ライトニングアロー、サンダーボルト、ライトニングバースト、ディバインスレイブ、ディスタージ、マイクロウェーブ)
 身体強化
 追跡
 結界
 魔法効果拡大
 魔法範囲拡大
 威嚇
 毒魔法
 麻痺魔法
 圧縮
 危機察知
 悪意察知


「【体力値供与】【魔力値供与】【スキル供与】結界
 そして【鑑定】」

 アマル(ジェリーフィッシュ、無性)
 体力値 12567
 魔力値 10864
 取得スキル
 お手伝い
 洗浄クリーン
 毒魔法
 麻痺魔法
 防御
 加温(沸騰)
 水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)
 精密操作
 溶解魔法(別途記載)
 隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)
 悪意察知
 結界


「【体力値供与】【魔力値供与】
【スキル供与】鑑定
 そして【鑑定】」

 イジ(ゴブリン 雄、隻眼)
 体力値 6584
 魔力値 1350
 取得スキル
 夜目
 遠見
 防御
 格闘術
 剣術
 槍
 投槍
 蹴り
 関節技
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)
 身体強化
 鑑定


 改めてやってきたダンジョンは、今日も盛況だ。
 8階層に転移点を持つアンナリーナは岩陰に隠れて転移する。
 そして降りてきた第9階層。
 ここは、広範囲殲滅魔法さえ使えればさほど難しい場所ではない。

「ねえナビ、このダンジョンは一体何階層まであるんでしょうね」

「それが……43階層までは確認できるのですが、ここはまだ成長しているようです。それと、冒険者が到達しているのは15階層までですが、このパーティは帰還していません。
 ギルドとしての公式では9階層ですね」

 それで件の冒険者パーティは先に進む事にこだわったのか。
 特に大手クランのパーティなどは最深到達階層を競うきらいがある。
 彼らは手柄を求めているのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

おばあちゃん(28)は自由ですヨ

七瀬美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。 その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。 どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。 「おまけのババアは引っ込んでろ」 そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。 その途端、響く悲鳴。 突然、年寄りになった王子らしき人。 そして気付く。 あれ、あたし……おばあちゃんになってない!? ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!? 魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。 召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。 普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。 自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く) 元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。 外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。 ※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。 ※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要) ※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。 ※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

処理中です...