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第二章

20『幼児体型なアンナリーナとの入浴』

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そんな心配などないものと、アンナリーナは手近な森の中に飛び込み【飛行】を唱えた。

 あらかじめ【地図】で目星をつけていた山地の方へと向かう。
 飛びながら【探索】してみたがやはり芳しくない。

「元々、岩塩の取れる場所でもないのだからしょうがないわね……
 やっぱり、力技で行くしかないのかな」

 岩石の転がる谷のような場所に出た。
 ここで砂岩のような石を取り上げて
【分離】させてみる。
 そして「塩【抽出】」と唱えてみると。

「少なっ!」

 手のひらにはパラパラと数えられるほどの塩が乗っている。
 乗っているのだが……

「あかん……あかんよ。
 こんなので袋いっぱいとか無茶すぎる」

 とりあえず諦めたアンナリーナはリフレッシュする事に決めた。

 ツリーハウスを出して、まず周りを一回りする。
 どういうシステムなのかわからないが、以前から植えていた薬草や野菜は枯れることなくすくすくと育っている。
 スプラウトなどは定期的に採らないと育ちすぎてしまうくらいだ。
 前世で憶えたアニメソングを口ずさみながら摘んでいく。
 先ほどもらったサンドイッチとともに昼食として食べようと思う。
 アンナリーナは軽い足取りで階段を上がっていった。


「やっぱりこれだよね~」

 浴室に直行したアンナリーナは即行で桶に水を張り【加温】で適温まで温めた。

「【洗浄】」

 湯に浸かる前に身を清めて服を脱ぎ捨て、桶の中に入る。
 身を縮こめて肩まで湯に浸かると溜息した。

「お風呂に浸からなきゃ入った気にならないよね。
 セトもおいで……泳げるよね?」

 脱ぎ捨てられた服の中で、所在無げにしていたセトを拾い上げ、そっと湯に浸ける。
 前脚、後脚、尻尾をバタつかせて、初めは不恰好だったがそのうち泳ぎだしたセト。
 湯の中で手のひらを広げ、セトが溺れたらすぐに助けようとしていたアンナリーナだったが、無事に泳ぎ始めたので、好きにさせた。

「トカゲって泳げるんだね」

 今更である。


 アンナリーナは準成人の14才だ。
 普通は、この歳なら婚約しているものも多く、結婚しているものも珍しくない。
 この世界でも、女性の成長の方が早く、この年頃ではもう成長が止まってしまう事が殆どだ。
 何故こんな話をしているのかと言うと、それはアンナリーナの身体に関係する。
 ……彼女は背も低く(普通の女性の平均より10cm以上低い)成長するべきであろう凹凸(胸はまな板、腰のくびれは僅か、尻はまあまあ)なしの幼児体型。なんとも情けない体格である。
 それに加え、常識として準成人を迎えると身体の成長はほぼないとされていた。
 ……その幼児体型のアンナリーナがセトと風呂に入っている。

 泳ぎに慣れたセトはアンナリーナに近づき、構って欲しそうに、その体を寄せてくる。
 彼女が手を差し出すと、その手に登り、腕を伝って肩まで上がる。
 器用に立ち上がって頬を舐めたり、耳朶を突いたりする。
 アンナリーナがくすぐったくて湯に落とすと、今度は潜って臍に鼻先を突っ込んできた。

「わぁ~あ! こら、セトったら何すんの?!」

 尻尾の根元を軽く引っ張って水面に戻すと、ゆったりと泳ぎはじめる。

「あ~ 極楽、極楽……」

 桶の縁にもたれて首を反らせ、大きく伸びをする。
 今度は入浴剤に挑戦してみようかなどと、つらつら考えていると。

 ツンツンと。
 アンナリーナの、ささやかな乳輪の膨らみにセトが鼻先でタッチしてきた。

「きゃっ!」

 再びツンツンと。
 そして、アンナリーナが呆気にとられている間に、それは益々エスカレートして、長い舌が米粒のような乳首を撫でる。

「もうぉ~ セトくんったら何してるの!!」

 そのうちに舌を巻きつけてきたのだが、アンナリーナはこそばゆいだけ。
 慌てて引き剥がすと、手の甲に乗せてお説教だ。

 ちなみにセトが意識してこの猥褻行為を行ったのかは、この時点ではわかっていない。
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