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第二章
8『ティムとナビ』
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あと数日、この怪獣大戦争のあった荒れ果てた広場で、アンナリーナは腰を落ち着ける事にした。
トカゲは順調に回復しているようだが数値として現れないので、警戒をおこたれない。
その間、彼女は本格的に【検索】を使う事にした。
第1に行ったのは【ギフト】について知る事だ。
アンナリーナは今まで毎日【ギフト】を、まるでそれを途切れさせれば【ギフト】と言う加護を失ってしまうのではないかと言う、一種の強迫観念に囚われて、思いつく限りのスキルを取得してきた。
【魔力値倍増】にしてもそうだ。
1日でも途切れさせると、もう2度と発生させる事が出来なくなってしまうのではないか。
それを恐れたのだ。
だが、アンナリーナがこの先どうしても取得したいと思っているスキルの、自分が目安にしている魔力値まであと少し。
もしもこのスキルが取得出来たら、一度落ち着かせたいと思っている。
「そもそも【ギフト】と言うのはどういったスキルなのかしら」
誰に問いかける訳でもなく呟いた言葉はひとつの答えを導き出した。
『【ギフト】とは、主人様だけのユニークスキルです。
唯一無二、他の誰もが持ち得ません』
「誰っ!?」
突然、頭の中に響いた声に、アンナリーナは周りを見回す。
『失礼致しました。
わたくしは主人様の “ ナビゲーター ”
主人様が疑問に思われる事に対して返答致します』
アンナリーナはびっくりして声も出ないようだ。
『【ギフト】について他にどのようなことをお知りになりたいですか?』
そこでアンナリーナは先ほどの疑問をぶつけてみたのだが、返ってきた返事は良い意味で、意外なほどご都合主義なものだった。
『主人様のご懸念は一切該当しません。
【ギフト】は、1日に1回ならいつでも取得可能ですし、もちろん毎日続けなくても、その恩恵を失うことはありません』
「じゃあ、無理に取得しなくても?」
『はい、次に欲しいスキルが出来るまで保留しても大丈夫です』
「あと、従魔術なんだけど」
『あのトカゲですね?
確かにこれから村や町に滞在する場合、従魔として登録してある方が良いですね。
本人に確認ののち、名を授けて下さい』
アンナリーナはメモを取っていたペンを置く。
「ありがとう。また、次もよろしく」
『はい、主人様。
こちらこそ、よろしくお願いします』
「あ!」
ステータスのパネルを閉じてから、アンナリーナは忘れ物を思い出した。
「ナビゲーターさんに名前を付けてあげるの忘れてたよ……」
翌日は朝から土砂降りの雨だった。
アンナリーナの結界に守られたツリーハウスの周りはさほどでもないが、その外はあたりが真っ白に見えるほどの豪雨だ。
そして、夏だと言うのに肌寒い。
アンナリーナは魔導暖炉に火を入れた。
「トカゲくん、具合はどうかな?」
身体を動かすことが出来るようになったトカゲはもう、布を剥いでトレーの中で身じろぎしている。
そしてどうやら布にしみ込んでいたポーションを口にしていたようだ。
昨日とは見違えるくらい肌の色が良い。
そんなトカゲをそっと持ち上げ、ひっくり返して腹側の傷痕を見るときれいにふさがっている。
脇腹はまだ裂傷の痕が見て取れた。
「うん、もう少しかな。
えっと【解析】……貧血かぁ。
食べるしかないよね。
【鑑定】
トカゲ(雄)(軽症)
体力値 5/5
トカゲくん、もう大丈夫だよ」
嬉しそうにアンナリーナが指を差し出すと、トカゲがその舌で指を舐めた。
目を細めてその様子を見ていたアンナリーナだが、従魔の件を言い出すのは今だと思い立つ。
「ねえ、トカゲくん、ちょっとお話聞いてくれないかな?」
ペロリと指先を舐める。
「あのね、無理強いはしないからね。
嫌だったら嫌って言ってね。
……ねえ、トカゲくん、きみ私の従魔にならない?」
トカゲの金色の目がくるんと、まん丸に見開かれる。
「もし、私と一緒にいてくれたら嬉しいな」
トカゲにとって、もうこれ以上の言葉はいらなかった。
元より一度は失ったと同然の命。
彼はアンナリーナの指をペロリと舐めた。
「いいの?」
喜びに溢れた笑顔が広がる。
「本当に? 契約しちゃうよ?」
しつこい!とでも言いたそうに舌がひるがえる。
「えーっと、汝はこの私アンナリーナと契約し、従魔となることを誓うか?」
小さなトカゲの舌がひるがえった。
アンナリーナの指がそのトカゲの頭に触れた途端、淡く光り契約の完了を知らせる。
「あなたのお名前はセト。
私の前世の世界の戦いの神様の名前だよ。セトはこれからどんどん強くなるからね。
【体力値供与 3ポイント】」
トカゲは順調に回復しているようだが数値として現れないので、警戒をおこたれない。
その間、彼女は本格的に【検索】を使う事にした。
第1に行ったのは【ギフト】について知る事だ。
アンナリーナは今まで毎日【ギフト】を、まるでそれを途切れさせれば【ギフト】と言う加護を失ってしまうのではないかと言う、一種の強迫観念に囚われて、思いつく限りのスキルを取得してきた。
【魔力値倍増】にしてもそうだ。
1日でも途切れさせると、もう2度と発生させる事が出来なくなってしまうのではないか。
それを恐れたのだ。
だが、アンナリーナがこの先どうしても取得したいと思っているスキルの、自分が目安にしている魔力値まであと少し。
もしもこのスキルが取得出来たら、一度落ち着かせたいと思っている。
「そもそも【ギフト】と言うのはどういったスキルなのかしら」
誰に問いかける訳でもなく呟いた言葉はひとつの答えを導き出した。
『【ギフト】とは、主人様だけのユニークスキルです。
唯一無二、他の誰もが持ち得ません』
「誰っ!?」
突然、頭の中に響いた声に、アンナリーナは周りを見回す。
『失礼致しました。
わたくしは主人様の “ ナビゲーター ”
主人様が疑問に思われる事に対して返答致します』
アンナリーナはびっくりして声も出ないようだ。
『【ギフト】について他にどのようなことをお知りになりたいですか?』
そこでアンナリーナは先ほどの疑問をぶつけてみたのだが、返ってきた返事は良い意味で、意外なほどご都合主義なものだった。
『主人様のご懸念は一切該当しません。
【ギフト】は、1日に1回ならいつでも取得可能ですし、もちろん毎日続けなくても、その恩恵を失うことはありません』
「じゃあ、無理に取得しなくても?」
『はい、次に欲しいスキルが出来るまで保留しても大丈夫です』
「あと、従魔術なんだけど」
『あのトカゲですね?
確かにこれから村や町に滞在する場合、従魔として登録してある方が良いですね。
本人に確認ののち、名を授けて下さい』
アンナリーナはメモを取っていたペンを置く。
「ありがとう。また、次もよろしく」
『はい、主人様。
こちらこそ、よろしくお願いします』
「あ!」
ステータスのパネルを閉じてから、アンナリーナは忘れ物を思い出した。
「ナビゲーターさんに名前を付けてあげるの忘れてたよ……」
翌日は朝から土砂降りの雨だった。
アンナリーナの結界に守られたツリーハウスの周りはさほどでもないが、その外はあたりが真っ白に見えるほどの豪雨だ。
そして、夏だと言うのに肌寒い。
アンナリーナは魔導暖炉に火を入れた。
「トカゲくん、具合はどうかな?」
身体を動かすことが出来るようになったトカゲはもう、布を剥いでトレーの中で身じろぎしている。
そしてどうやら布にしみ込んでいたポーションを口にしていたようだ。
昨日とは見違えるくらい肌の色が良い。
そんなトカゲをそっと持ち上げ、ひっくり返して腹側の傷痕を見るときれいにふさがっている。
脇腹はまだ裂傷の痕が見て取れた。
「うん、もう少しかな。
えっと【解析】……貧血かぁ。
食べるしかないよね。
【鑑定】
トカゲ(雄)(軽症)
体力値 5/5
トカゲくん、もう大丈夫だよ」
嬉しそうにアンナリーナが指を差し出すと、トカゲがその舌で指を舐めた。
目を細めてその様子を見ていたアンナリーナだが、従魔の件を言い出すのは今だと思い立つ。
「ねえ、トカゲくん、ちょっとお話聞いてくれないかな?」
ペロリと指先を舐める。
「あのね、無理強いはしないからね。
嫌だったら嫌って言ってね。
……ねえ、トカゲくん、きみ私の従魔にならない?」
トカゲの金色の目がくるんと、まん丸に見開かれる。
「もし、私と一緒にいてくれたら嬉しいな」
トカゲにとって、もうこれ以上の言葉はいらなかった。
元より一度は失ったと同然の命。
彼はアンナリーナの指をペロリと舐めた。
「いいの?」
喜びに溢れた笑顔が広がる。
「本当に? 契約しちゃうよ?」
しつこい!とでも言いたそうに舌がひるがえる。
「えーっと、汝はこの私アンナリーナと契約し、従魔となることを誓うか?」
小さなトカゲの舌がひるがえった。
アンナリーナの指がそのトカゲの頭に触れた途端、淡く光り契約の完了を知らせる。
「あなたのお名前はセト。
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【体力値供与 3ポイント】」
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