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【実話】俺はバイト先の女子大生にブロックされている。
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1
人はなぜ恋愛をするのか。恋人同士になることによって付き合う前にはわからなかった相手の嫌な面も見えて来る。私は今まで好きになった人は結婚してもいいと思える人だった。いつだってこの恋が最後だと思っていた。
☆
距離感が近くて指と指が触れて俺に気があるんかと思わせる態度。
もう一人の自称去年までチャラ男・現就活生の大学生バイトに俺には見せない笑顔を見せていた。楽しそうに談笑していた。やはりチャラい奴が好きなのか女子ってのは。
俺は憶測を速攻で見誤ってる節がある。好きになるつもりはなかった。好きにならないようにしてた。でも気づいたら好きになっていた。モップの水を切る時の後ろ姿がちょっとダサいところがいいんだよ。
☆
遡ること4か月前。天丼屋のバイトを4日で飛んでからウーバーイーツで食いつないでいた25歳の僕は新しいバイト先を見つけた。芸人をやってると話すと快く受け入れてくれた。同僚のおばちゃんに「このバイトを売れるまでの生活費を稼ぐために細く長く続けてください」と言われた。俺はこの言葉を噛み締めた。細く長く続けるために必要なこと、、。人間関係でのゴタゴタを起こさないこと。人間関係のゴタゴタで真っ先に浮かぶのがバイト内恋愛。俺はおばちゃんが言った細く長く続けるために「細く」あるべきだと思いこのバイト先で「好きな人」は絶対に、作らないと誓った。
バイト2日目朝4時半に起きる。人もまばらな電車に乗り6時45分に店に着く。「今日からよろしくね!」と言うおばちゃん。そこにもう1人のバイトが来た。「おはようございます」それが彼女と交わしたはじめての言葉だった。白い肌。まだあどけなさが残る瞳。少し色気のある声。失礼な話だが「同い年もしくは年上なのか?」と心の中で思ってしまった。彼女は19歳だった。6つも年下なのは驚きだった。彼女は優しく丁寧に仕事を教えてくれた。床掃除をする時にローラーがついてるバケツの中でモップを絞るのだがその後ろ姿がダサかった。だけど自分に嘘がつけない人なんだと思いその背中がすごく信頼できた。ナチュラルメイクの彼女はめちゃくちゃ美人なわけではないが正直で真っ直ぐな目をしていた。
朝11時になり休憩の時間になった。一人で外に食べに行こうとしたらおばちゃんに呼び止められた。「中華行くよ!」休憩が被ってるおばちゃんと彼女と三人で飯に行った。彼女は黒いロングコートを羽織っていた。おばちゃんと彼女は天津飯を、僕はまぜそばを頼んだ。僕が芸人をしてることがバレた。恥ずかしい。彼女は真っ直ぐな目で「すごい。」と言ってくれた。店を出ておばちゃんが「甘いもの買うからセブン寄るね!」と言って別れた。僕は彼女と2人で店に戻ろうとしたら彼女は「私も甘いもの食べたいんで先行っててください」と言われた。2人で昼ご飯を食べに行ったと思われるのが恥ずかしかったのだろうか。僕はそんな彼女の後ろ姿も可愛いなと思っていた。
店の休憩室に戻って座っていたら2人が帰ってきた。休憩室には飴が置いていて彼女が自由に食べていいと教えてくれた。飴を舐め始めた頃に休憩時間終了の時刻が迫ってきた。音を立てて飴を噛むのが恥ずかしかった僕はこっそり飴を噛んでいた。隣に座っていた彼女が「飴最後まで噛むの我慢できないタイプですか」と笑った。
本当に余談だが、ちなみにこのおばちゃんはバイト先の休憩室で他人のスマホを自分のだと勘違いして必死にロック解除してるところが見つかって口論になったことがあるらしい。
2
100円ショップのバイトを始めてから1週間が経った。朝の仕事はiPadで店長に報告メールを送る。僕に仕事を教えてくれるのはいつも彼女だ。iPadでメールを打つ僕の人差し指に何かが触れる。よく見ると彼女が自分の人差し指を僕の指に当てていた。
「え、台湾ドラマですか?」
と心の中で思った。彼女は手の爪に綺麗な黒と白の音符マークのネイルアートをしていた。綺麗な爪がより僕の心臓をバクバクさせた。何事かと思った。僕はスルーした。もしかしてこの娘は俺に気があるのか?このままでは好きになってしまう。
僕は「細く」このバイトを続けなければならない。彼女のことを好きになってはいけない。彼女の指が離れた。一瞬の出来事だったが時間が止まったようだった。時計の針が動き出したように周りが動きだした。今日も1日が始まる。彼女が他の新入りの男子大学生と楽しそうに話している。嫉妬してしまう僕がいた。
3
私帰省するんですよ」
「森北さんと2週間会えないですね」
春休み。地方に実家がある学生たちは帰省で長期休暇を取る。彼女もその一人だ。
会えない間彼女が僕に放った言葉が僕の頭の中をぐるぐる駆け回る。
最近始めたバイト先で19歳の女の子と知り合った。
やたら話しかけてくるし、僕が出るお笑いのライブを見たいと言われた。
彼女が東京に戻ってすぐ、僕は彼女をご飯に誘った。
バイト先の近くに行きたいラーメン屋があると言っていたのでラーメンに誘った。ご飯に行く日を決めないと彼女が不機嫌になった。冷たい態度を取られ続けた。
今日は明らかに様子がおかしい。原因は僕が彼女の思いを汲み取れなかったことだろう。可能性はまだある。しかし期待しない。この恋が終わる時は自分の手で終わらせる。
そっけない挨拶。俺にだけ冷たい態度。明らかに様子がおかしい。俺に対して怒っている。バイト終わり一緒に帰ろうと誘うつもりだったが彼女を含めた学生たちは固まり夜の商店街へ消えていった。今日はバイト終わりに大学生達だけでご飯に行くらしい。大学生ではない僕はそそくさと帰った。「こんな夜に一人で帰るけど寂しくないからな?」というオーラを背中から放ちながら帰った。
思い当たる節は少なからずあり、自分に原因があることもわかっている。男と女の関係はめんどくさい。想定してなかった未来を辿り俺は一人で黙って駅に向かった。明日会ったら彼女に謝る、それで無理ならそれでいい。自分の手でこの恋を終わらせる。終わらせてやる。
未熟で自信が無い恋愛が苦手な僕はそんな覚悟を決めながら家に帰った。
次の日、彼女の機嫌を伺いながら彼女にご飯に行く話をした。先延ばしにされたが彼女のテンションは上がっていた。僕はそれだけで嬉しかった。
他の女子と近い距離でボディタッチとかされてるのを彼女に見られたら彼女は僕と距離を置いたりした。怒ってるのかと思い僕はバイト先であまり他の女子と話さなくなった。
4
彼女が電車でバイト先まで通っていたので俺は二人で一緒に帰って手を繋ぐつもりだった。バイト中の二人きりになれる時間に「今日一緒に帰ろ』と言うつもりだった。言えなかった。
そしてバイトが終わる時間になりみんなが散り散りに帰っていく。駅の近くまで来て誰かと話してる彼女が「バイバイ」と言ったタイミングを見計らって「電車?一緒に帰ろうや」と白々しく言おうとした時、彼女が走り出した。あと1分で電車が出ると言い走り出した。
なんか電車で帰ってるおばちゃんと一緒の電車に乗りたいらしい。俺は一瞬俺と帰りたくないからこそのこのダッシュかと思ったが彼女の態度からそれは考えられなくい。
毎日バイト前に勤務開始の10分前にきっちりタイムカードをきってるあたりめちゃくちゃ真面目だと言うことは知っていた。だからこれは「真面目さゆえのダッシュ」。そう俺は信じて走る彼女の後をついていく。
その結果彼女は隣の駅で降り、俺はおばちゃんと一緒に帰った。最低限の当たり障りない世間話を交わしながら。
なぜ。なぜなんだ。なぜ俺は今おばちゃんと二人で帰ってるんだ。
思い描いてたのと違う!なんなら俺は一人で帰りたくて毎日わざとおばちゃんと帰るのを避けていた。だからなんか気まずい!!
そしてここでおばちゃんと帰ったことにより今後このおばちゃんとバイト被る時一緒に帰らなあかんやん!車内でおばちゃんに「今日は急行で帰らなくていいの?」と言われた。そもそも俺は毎日急行で帰ってない!!この時間のこの電車に乗って帰ってます、おばちゃん。
そこから俺とおばちゃんは毎日一緒に帰ることになった。彼女は週2.3回しかバイトに入っていない。対して俺とおばちゃんは週5で入ってる。俺は毎日電車でおばちゃんと当たり障りのない最低限の会話を続ける。そしておばちゃんのメガネの奥のつぶらな瞳を見ながらこう思う。「これでいい。これで間違ってなかったんだ。」
僕と彼女は連絡を取り続けていた。返信はそっけなお。毎回「了解です!」のみ。ご飯の誘いは毎回断られる。
そしてバイトを始めてから3ヶ月が経った頃。つまり俺と彼女が出会ってから3ヶ月。
「ご飯の話一旦なしにしてもらえませんか?」とLINEが来た。
5
バイト中に見た彼女からのLINE。「気になってる人がいるので2人でご飯に行くことはできません。これからもバイト先の先輩後輩としてよろしくお願いします。」ショックだった。そしてそういうことならもっと早く言ってほしかった。
僕はあの時は彼女が僕のことを好きだと思っていた。しかしそれも僕の勘違いだったのかもしれない。彼女からしたら僕はただのしつこいバイト先の男に見えているのかもしれない。もしくは彼女に遊ばれていてずっと彼女の手のひらの上で踊らされていたのかもしれない。
腹が立つし恥ずかしいし落ち込んだ。その日は家に帰って熱いブラックコーヒーを飲んだ。その日はあまりよく寝れなかった。
6
結局2週間くらい既読にはならない。怒ってるのか、はたまたもうしつこいから構ってほしくないのか、俺はどうすればいいのかわからない。
勘違いかどうかを確かめるには自分から行動を起こすしかない。
いつも俺は欲しいものは全て自分の力で手に入れる。
手紙を書いた。
『口で伝えられないから手紙を書く。
ちゃんと向き合えなくてごめん。ほんとはもっと君と話したいよ。
君のことは初めて会った日からずっとすごく素敵な女性やと思ってる。
仕事にまっすぐで真面目でみんなに優しいところはすごく素敵です。
君は笑ってる顔も怒ってる顔も真面目な顔もいつもすごく可愛い
今まで出会った女の人の中で一番素敵な女性やと思ってる。
気になる人とはどうなりましたか?君が今幸せならそれでなによりてす。
俺は君とデートしたい。いつになってもいい。
誕生日おめでと。いつかみんなで居酒屋とか行きたいね。』
久しぶりに会う日。
LINEは帰ってきてない。
どうやらバイト先の男子大学生と付き合ってるっぽい。
その男は20歳。僕より5歳年下。
その彼氏っぽいやつが僕を警戒してきたので全てを察した。
僕はエプロンのポケットに入れてる手紙を急いでカバンの中にしまった。
手紙は家に帰って捨てた。
7
好きとか好きじゃないとかもうどうでもいい。
良い子やと思ってたのに性格悪いコなんだと思ってそれが辛いっす。
次の日彼氏(っぽい大学生のバイト仲間)がその子の最寄駅で降りてた。インターんだからとか言ってた。その子と彼氏っぽいやつ含め4人くらい仲良かったんやろな。ライブがどうとか言ってたよ。彼氏のライブを見に行ったんだろう。いや、恥ずすぎるって。きついって。どこまでそいつらの中で話回ってるのか。あの子がどこまで言ってるんだろうか。きついって。なんでずっとグレーのズボンやねんって。まじで。
バイトを初めて10ヶ月。季節は秋。
1か月ぶりにあの子に話しかける。
「今度ライブがあるから見てほしい」
渋々「いいですよ」とあの子が答える。
「俺は怒ってる?」と聞いた。
彼女は首を振った。
彼女の顔に笑みは無く俯いていた。
家に帰ってLINEを開く。
彼女にライブのURLを送る。
既読はつかない。
既読がつかないまま一週間が経つ。
バイト先で久ぶりに彼女と会う。
僕は「LINE返せよ」と言った。
「え?」
すごい嫌な時間が流れる。
「見てないです。」
僕の体は塊、言葉が出てこない。
これはLINEをブロックされている。
8
俺はそのあとLINEを送った。
「無視してこめんなさい、何でも言うこと聞くから、許してほしいな」
既読はつかない。
季節な流れ僕と彼女が出会ってから1年が経った。
バイト先の最寄り駅で偶然彼女を見かけた。黒のダウンに細身のブルージーンズの彼女はトイレから出てきて隣の男にピャッ!っと水をかけて笑っていた。
普段そんなところ見たことないし、そんなことできる関係性に嫉妬してしまう。思ったことは彼女の隣にいるような人間は俺みたいな人間ではないことだ。年下っぽい犬っぽい可愛らしい男が好みなのだろう。
その間も俺はアプローチしていたがもう無理だろうと諦めがついた。心にトゲが刺さったまま俺はその足で予約していた散髪屋に向かった。
終
人はなぜ恋愛をするのか。恋人同士になることによって付き合う前にはわからなかった相手の嫌な面も見えて来る。私は今まで好きになった人は結婚してもいいと思える人だった。いつだってこの恋が最後だと思っていた。
☆
距離感が近くて指と指が触れて俺に気があるんかと思わせる態度。
もう一人の自称去年までチャラ男・現就活生の大学生バイトに俺には見せない笑顔を見せていた。楽しそうに談笑していた。やはりチャラい奴が好きなのか女子ってのは。
俺は憶測を速攻で見誤ってる節がある。好きになるつもりはなかった。好きにならないようにしてた。でも気づいたら好きになっていた。モップの水を切る時の後ろ姿がちょっとダサいところがいいんだよ。
☆
遡ること4か月前。天丼屋のバイトを4日で飛んでからウーバーイーツで食いつないでいた25歳の僕は新しいバイト先を見つけた。芸人をやってると話すと快く受け入れてくれた。同僚のおばちゃんに「このバイトを売れるまでの生活費を稼ぐために細く長く続けてください」と言われた。俺はこの言葉を噛み締めた。細く長く続けるために必要なこと、、。人間関係でのゴタゴタを起こさないこと。人間関係のゴタゴタで真っ先に浮かぶのがバイト内恋愛。俺はおばちゃんが言った細く長く続けるために「細く」あるべきだと思いこのバイト先で「好きな人」は絶対に、作らないと誓った。
バイト2日目朝4時半に起きる。人もまばらな電車に乗り6時45分に店に着く。「今日からよろしくね!」と言うおばちゃん。そこにもう1人のバイトが来た。「おはようございます」それが彼女と交わしたはじめての言葉だった。白い肌。まだあどけなさが残る瞳。少し色気のある声。失礼な話だが「同い年もしくは年上なのか?」と心の中で思ってしまった。彼女は19歳だった。6つも年下なのは驚きだった。彼女は優しく丁寧に仕事を教えてくれた。床掃除をする時にローラーがついてるバケツの中でモップを絞るのだがその後ろ姿がダサかった。だけど自分に嘘がつけない人なんだと思いその背中がすごく信頼できた。ナチュラルメイクの彼女はめちゃくちゃ美人なわけではないが正直で真っ直ぐな目をしていた。
朝11時になり休憩の時間になった。一人で外に食べに行こうとしたらおばちゃんに呼び止められた。「中華行くよ!」休憩が被ってるおばちゃんと彼女と三人で飯に行った。彼女は黒いロングコートを羽織っていた。おばちゃんと彼女は天津飯を、僕はまぜそばを頼んだ。僕が芸人をしてることがバレた。恥ずかしい。彼女は真っ直ぐな目で「すごい。」と言ってくれた。店を出ておばちゃんが「甘いもの買うからセブン寄るね!」と言って別れた。僕は彼女と2人で店に戻ろうとしたら彼女は「私も甘いもの食べたいんで先行っててください」と言われた。2人で昼ご飯を食べに行ったと思われるのが恥ずかしかったのだろうか。僕はそんな彼女の後ろ姿も可愛いなと思っていた。
店の休憩室に戻って座っていたら2人が帰ってきた。休憩室には飴が置いていて彼女が自由に食べていいと教えてくれた。飴を舐め始めた頃に休憩時間終了の時刻が迫ってきた。音を立てて飴を噛むのが恥ずかしかった僕はこっそり飴を噛んでいた。隣に座っていた彼女が「飴最後まで噛むの我慢できないタイプですか」と笑った。
本当に余談だが、ちなみにこのおばちゃんはバイト先の休憩室で他人のスマホを自分のだと勘違いして必死にロック解除してるところが見つかって口論になったことがあるらしい。
2
100円ショップのバイトを始めてから1週間が経った。朝の仕事はiPadで店長に報告メールを送る。僕に仕事を教えてくれるのはいつも彼女だ。iPadでメールを打つ僕の人差し指に何かが触れる。よく見ると彼女が自分の人差し指を僕の指に当てていた。
「え、台湾ドラマですか?」
と心の中で思った。彼女は手の爪に綺麗な黒と白の音符マークのネイルアートをしていた。綺麗な爪がより僕の心臓をバクバクさせた。何事かと思った。僕はスルーした。もしかしてこの娘は俺に気があるのか?このままでは好きになってしまう。
僕は「細く」このバイトを続けなければならない。彼女のことを好きになってはいけない。彼女の指が離れた。一瞬の出来事だったが時間が止まったようだった。時計の針が動き出したように周りが動きだした。今日も1日が始まる。彼女が他の新入りの男子大学生と楽しそうに話している。嫉妬してしまう僕がいた。
3
私帰省するんですよ」
「森北さんと2週間会えないですね」
春休み。地方に実家がある学生たちは帰省で長期休暇を取る。彼女もその一人だ。
会えない間彼女が僕に放った言葉が僕の頭の中をぐるぐる駆け回る。
最近始めたバイト先で19歳の女の子と知り合った。
やたら話しかけてくるし、僕が出るお笑いのライブを見たいと言われた。
彼女が東京に戻ってすぐ、僕は彼女をご飯に誘った。
バイト先の近くに行きたいラーメン屋があると言っていたのでラーメンに誘った。ご飯に行く日を決めないと彼女が不機嫌になった。冷たい態度を取られ続けた。
今日は明らかに様子がおかしい。原因は僕が彼女の思いを汲み取れなかったことだろう。可能性はまだある。しかし期待しない。この恋が終わる時は自分の手で終わらせる。
そっけない挨拶。俺にだけ冷たい態度。明らかに様子がおかしい。俺に対して怒っている。バイト終わり一緒に帰ろうと誘うつもりだったが彼女を含めた学生たちは固まり夜の商店街へ消えていった。今日はバイト終わりに大学生達だけでご飯に行くらしい。大学生ではない僕はそそくさと帰った。「こんな夜に一人で帰るけど寂しくないからな?」というオーラを背中から放ちながら帰った。
思い当たる節は少なからずあり、自分に原因があることもわかっている。男と女の関係はめんどくさい。想定してなかった未来を辿り俺は一人で黙って駅に向かった。明日会ったら彼女に謝る、それで無理ならそれでいい。自分の手でこの恋を終わらせる。終わらせてやる。
未熟で自信が無い恋愛が苦手な僕はそんな覚悟を決めながら家に帰った。
次の日、彼女の機嫌を伺いながら彼女にご飯に行く話をした。先延ばしにされたが彼女のテンションは上がっていた。僕はそれだけで嬉しかった。
他の女子と近い距離でボディタッチとかされてるのを彼女に見られたら彼女は僕と距離を置いたりした。怒ってるのかと思い僕はバイト先であまり他の女子と話さなくなった。
4
彼女が電車でバイト先まで通っていたので俺は二人で一緒に帰って手を繋ぐつもりだった。バイト中の二人きりになれる時間に「今日一緒に帰ろ』と言うつもりだった。言えなかった。
そしてバイトが終わる時間になりみんなが散り散りに帰っていく。駅の近くまで来て誰かと話してる彼女が「バイバイ」と言ったタイミングを見計らって「電車?一緒に帰ろうや」と白々しく言おうとした時、彼女が走り出した。あと1分で電車が出ると言い走り出した。
なんか電車で帰ってるおばちゃんと一緒の電車に乗りたいらしい。俺は一瞬俺と帰りたくないからこそのこのダッシュかと思ったが彼女の態度からそれは考えられなくい。
毎日バイト前に勤務開始の10分前にきっちりタイムカードをきってるあたりめちゃくちゃ真面目だと言うことは知っていた。だからこれは「真面目さゆえのダッシュ」。そう俺は信じて走る彼女の後をついていく。
その結果彼女は隣の駅で降り、俺はおばちゃんと一緒に帰った。最低限の当たり障りない世間話を交わしながら。
なぜ。なぜなんだ。なぜ俺は今おばちゃんと二人で帰ってるんだ。
思い描いてたのと違う!なんなら俺は一人で帰りたくて毎日わざとおばちゃんと帰るのを避けていた。だからなんか気まずい!!
そしてここでおばちゃんと帰ったことにより今後このおばちゃんとバイト被る時一緒に帰らなあかんやん!車内でおばちゃんに「今日は急行で帰らなくていいの?」と言われた。そもそも俺は毎日急行で帰ってない!!この時間のこの電車に乗って帰ってます、おばちゃん。
そこから俺とおばちゃんは毎日一緒に帰ることになった。彼女は週2.3回しかバイトに入っていない。対して俺とおばちゃんは週5で入ってる。俺は毎日電車でおばちゃんと当たり障りのない最低限の会話を続ける。そしておばちゃんのメガネの奥のつぶらな瞳を見ながらこう思う。「これでいい。これで間違ってなかったんだ。」
僕と彼女は連絡を取り続けていた。返信はそっけなお。毎回「了解です!」のみ。ご飯の誘いは毎回断られる。
そしてバイトを始めてから3ヶ月が経った頃。つまり俺と彼女が出会ってから3ヶ月。
「ご飯の話一旦なしにしてもらえませんか?」とLINEが来た。
5
バイト中に見た彼女からのLINE。「気になってる人がいるので2人でご飯に行くことはできません。これからもバイト先の先輩後輩としてよろしくお願いします。」ショックだった。そしてそういうことならもっと早く言ってほしかった。
僕はあの時は彼女が僕のことを好きだと思っていた。しかしそれも僕の勘違いだったのかもしれない。彼女からしたら僕はただのしつこいバイト先の男に見えているのかもしれない。もしくは彼女に遊ばれていてずっと彼女の手のひらの上で踊らされていたのかもしれない。
腹が立つし恥ずかしいし落ち込んだ。その日は家に帰って熱いブラックコーヒーを飲んだ。その日はあまりよく寝れなかった。
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結局2週間くらい既読にはならない。怒ってるのか、はたまたもうしつこいから構ってほしくないのか、俺はどうすればいいのかわからない。
勘違いかどうかを確かめるには自分から行動を起こすしかない。
いつも俺は欲しいものは全て自分の力で手に入れる。
手紙を書いた。
『口で伝えられないから手紙を書く。
ちゃんと向き合えなくてごめん。ほんとはもっと君と話したいよ。
君のことは初めて会った日からずっとすごく素敵な女性やと思ってる。
仕事にまっすぐで真面目でみんなに優しいところはすごく素敵です。
君は笑ってる顔も怒ってる顔も真面目な顔もいつもすごく可愛い
今まで出会った女の人の中で一番素敵な女性やと思ってる。
気になる人とはどうなりましたか?君が今幸せならそれでなによりてす。
俺は君とデートしたい。いつになってもいい。
誕生日おめでと。いつかみんなで居酒屋とか行きたいね。』
久しぶりに会う日。
LINEは帰ってきてない。
どうやらバイト先の男子大学生と付き合ってるっぽい。
その男は20歳。僕より5歳年下。
その彼氏っぽいやつが僕を警戒してきたので全てを察した。
僕はエプロンのポケットに入れてる手紙を急いでカバンの中にしまった。
手紙は家に帰って捨てた。
7
好きとか好きじゃないとかもうどうでもいい。
良い子やと思ってたのに性格悪いコなんだと思ってそれが辛いっす。
次の日彼氏(っぽい大学生のバイト仲間)がその子の最寄駅で降りてた。インターんだからとか言ってた。その子と彼氏っぽいやつ含め4人くらい仲良かったんやろな。ライブがどうとか言ってたよ。彼氏のライブを見に行ったんだろう。いや、恥ずすぎるって。きついって。どこまでそいつらの中で話回ってるのか。あの子がどこまで言ってるんだろうか。きついって。なんでずっとグレーのズボンやねんって。まじで。
バイトを初めて10ヶ月。季節は秋。
1か月ぶりにあの子に話しかける。
「今度ライブがあるから見てほしい」
渋々「いいですよ」とあの子が答える。
「俺は怒ってる?」と聞いた。
彼女は首を振った。
彼女の顔に笑みは無く俯いていた。
家に帰ってLINEを開く。
彼女にライブのURLを送る。
既読はつかない。
既読がつかないまま一週間が経つ。
バイト先で久ぶりに彼女と会う。
僕は「LINE返せよ」と言った。
「え?」
すごい嫌な時間が流れる。
「見てないです。」
僕の体は塊、言葉が出てこない。
これはLINEをブロックされている。
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俺はそのあとLINEを送った。
「無視してこめんなさい、何でも言うこと聞くから、許してほしいな」
既読はつかない。
季節な流れ僕と彼女が出会ってから1年が経った。
バイト先の最寄り駅で偶然彼女を見かけた。黒のダウンに細身のブルージーンズの彼女はトイレから出てきて隣の男にピャッ!っと水をかけて笑っていた。
普段そんなところ見たことないし、そんなことできる関係性に嫉妬してしまう。思ったことは彼女の隣にいるような人間は俺みたいな人間ではないことだ。年下っぽい犬っぽい可愛らしい男が好みなのだろう。
その間も俺はアプローチしていたがもう無理だろうと諦めがついた。心にトゲが刺さったまま俺はその足で予約していた散髪屋に向かった。
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