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俺ってレオのダチだから
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「やぁ。ラゴス」
レオは軽やかに着地すると私をそっと隣に下ろした。
「お帰り。レオ」
陽気に手を振りこちらに駆け寄るラゴス。
「ラゴス。捕縛魔法をかけていた人達はどうなった?」
レオは手短に聞くと「全員人間に戻ったから大丈夫だ。ほら」
と、ラゴスはアレックスの方を指差した。
どうやら私達を襲った人達に被害はなかったようでホッとする。
「一度仲間割れした奴らとは思えない程の変わりようだろう?」
ラゴスの言葉に私も皆の方を見る。
アレックスは赤茶色の髪の、ちょっと見チャラそうな狩人と楽しく話をしていた。
きっとあれが「キョウ」なのだろう。
嬉しそうに話し合う人々は、後から合流した仲間とも旧知の仲のように話をしていた。
思いの外、一度仲間割れした仲間とも仲が良いようで良かった。
「ところでラゴス……」
私がホッとしていると、レオとラゴスが話を始める。
「なになに?レオ」
嬉しそうに返事をするラゴス。
この二人は仲が良いのだろう。
だって、さっきからレオはラゴスを呼び捨てにしているからだ。
「私はラゴスには、こちらの首尾を話しておきたい」
気さくに話しかけるレオ。
レオが呼び捨てにする人なんてこのラゴスくらいだ。
「先程スピカが合流して来て大体の話は聞いた」
どうやらキーランとの一悶着で思ったより時間を取ったらしい。
既に話済みのようだ。
「そうか。一応内容を確認させてくれ」
レオはラゴスを促す。
「スピカ達が吸血鬼に襲われている所へレオとユイが到着。吸血鬼を全て捕縛魔法で動きを封じてから吸血鬼の本体を攻撃。撃破する。それで吸血鬼から殆んどの者は人間に戻ったが、三名程戻らなかった者がいる。その者達はそのまま捕縛魔法を掛けて、その場を離れて来たとの事だ」
「概ねそうだな」
レオはそう言うとチラリとスピカの方を見た。
相変わらず態度がデカイが、レオと目が合うと視線を下の方へと移す。
「それで、だ。何故始まりの地の夜の公爵と言われた吸血鬼が御自らスピカの方へと赴いたかだ。本来なら敢えて危険を犯して我々を追撃する必要はなかったと思う」
「あの吸血鬼『始まりの地の夜の公爵』って言うのか?」
レオの話にラゴスは驚いて聞き返して来た。
「ああ。そうだ。この世界を統べる夜の5大公爵の一人だと言う。それと、ついでだから言っておくが、さっき会った龍族は四大霊獣の一族だ。あの馬鹿王子を確認したらそう出ていた」
んんん?
何か可笑しいよ。
「レオって、そんな話し方だっけ?それに、二人共今は呼び捨てだし……」
話の内容よりそっちの方が気になる。
よくよく思い返して見れば、ラゴスは吸血鬼を倒す前はレオの事を「さん」呼びしていたように思う。
「あー……。そうだね」
んんん?
いつものレオだ。
「ちょっとラゴスとは仕事仲間でね。この状況が判らない内は他人で通そうって相談していたんだ」
「まぁ、そうだけど。友達とは言ってくれないのか?俺達子供の頃からずっと一緒だっただろう?」
ラゴスはそう言うとレオに絡み付く。
「言いませんよ。只の先輩」
しれっとそんな事を言うレオ。
レオの冷たい態度、滅茶苦茶貴重かも。
「とても仲が良いんだね。羨ましい」
私にはそんな風に馬鹿を言える友人はいなかったから。
「何が羨ましいものですか。こんなのは腐れ縁ですよ」
レオの抗議にラゴスがニマニマする。
「こいつって、昔から素直じゃないし、ヘタレだし、余計な事を考える質なんで、俺が面倒見ているんですよ」
「嘘つけ。最後に僕を頼って来ただろう」
「その節はどうも。お陰で楽しく暮らせたよ」
本当に楽しそうだ。
「分かりました」
これ以上見ていると嫉妬しそうだ。
「お二人が仲の良い先輩後輩だと言う事が」
ニコリと肯定させてあげると
「そんな訳ないでしょう。ユイ。あまり勘違いしないで下さいね」
「ナイスだぜ。ユイ。レオの事は俺に任せてくれ」
二人の息の合った言葉に思わずほっくりとした。
何となくレオが人間を見えた瞬間でもあった。
レオは軽やかに着地すると私をそっと隣に下ろした。
「お帰り。レオ」
陽気に手を振りこちらに駆け寄るラゴス。
「ラゴス。捕縛魔法をかけていた人達はどうなった?」
レオは手短に聞くと「全員人間に戻ったから大丈夫だ。ほら」
と、ラゴスはアレックスの方を指差した。
どうやら私達を襲った人達に被害はなかったようでホッとする。
「一度仲間割れした奴らとは思えない程の変わりようだろう?」
ラゴスの言葉に私も皆の方を見る。
アレックスは赤茶色の髪の、ちょっと見チャラそうな狩人と楽しく話をしていた。
きっとあれが「キョウ」なのだろう。
嬉しそうに話し合う人々は、後から合流した仲間とも旧知の仲のように話をしていた。
思いの外、一度仲間割れした仲間とも仲が良いようで良かった。
「ところでラゴス……」
私がホッとしていると、レオとラゴスが話を始める。
「なになに?レオ」
嬉しそうに返事をするラゴス。
この二人は仲が良いのだろう。
だって、さっきからレオはラゴスを呼び捨てにしているからだ。
「私はラゴスには、こちらの首尾を話しておきたい」
気さくに話しかけるレオ。
レオが呼び捨てにする人なんてこのラゴスくらいだ。
「先程スピカが合流して来て大体の話は聞いた」
どうやらキーランとの一悶着で思ったより時間を取ったらしい。
既に話済みのようだ。
「そうか。一応内容を確認させてくれ」
レオはラゴスを促す。
「スピカ達が吸血鬼に襲われている所へレオとユイが到着。吸血鬼を全て捕縛魔法で動きを封じてから吸血鬼の本体を攻撃。撃破する。それで吸血鬼から殆んどの者は人間に戻ったが、三名程戻らなかった者がいる。その者達はそのまま捕縛魔法を掛けて、その場を離れて来たとの事だ」
「概ねそうだな」
レオはそう言うとチラリとスピカの方を見た。
相変わらず態度がデカイが、レオと目が合うと視線を下の方へと移す。
「それで、だ。何故始まりの地の夜の公爵と言われた吸血鬼が御自らスピカの方へと赴いたかだ。本来なら敢えて危険を犯して我々を追撃する必要はなかったと思う」
「あの吸血鬼『始まりの地の夜の公爵』って言うのか?」
レオの話にラゴスは驚いて聞き返して来た。
「ああ。そうだ。この世界を統べる夜の5大公爵の一人だと言う。それと、ついでだから言っておくが、さっき会った龍族は四大霊獣の一族だ。あの馬鹿王子を確認したらそう出ていた」
んんん?
何か可笑しいよ。
「レオって、そんな話し方だっけ?それに、二人共今は呼び捨てだし……」
話の内容よりそっちの方が気になる。
よくよく思い返して見れば、ラゴスは吸血鬼を倒す前はレオの事を「さん」呼びしていたように思う。
「あー……。そうだね」
んんん?
いつものレオだ。
「ちょっとラゴスとは仕事仲間でね。この状況が判らない内は他人で通そうって相談していたんだ」
「まぁ、そうだけど。友達とは言ってくれないのか?俺達子供の頃からずっと一緒だっただろう?」
ラゴスはそう言うとレオに絡み付く。
「言いませんよ。只の先輩」
しれっとそんな事を言うレオ。
レオの冷たい態度、滅茶苦茶貴重かも。
「とても仲が良いんだね。羨ましい」
私にはそんな風に馬鹿を言える友人はいなかったから。
「何が羨ましいものですか。こんなのは腐れ縁ですよ」
レオの抗議にラゴスがニマニマする。
「こいつって、昔から素直じゃないし、ヘタレだし、余計な事を考える質なんで、俺が面倒見ているんですよ」
「嘘つけ。最後に僕を頼って来ただろう」
「その節はどうも。お陰で楽しく暮らせたよ」
本当に楽しそうだ。
「分かりました」
これ以上見ていると嫉妬しそうだ。
「お二人が仲の良い先輩後輩だと言う事が」
ニコリと肯定させてあげると
「そんな訳ないでしょう。ユイ。あまり勘違いしないで下さいね」
「ナイスだぜ。ユイ。レオの事は俺に任せてくれ」
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