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行き先は……

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青白月明かりだけが夜道を照らしていた。

「ねぇ……レオ。何だかさっきから寒くない?」

歩き出してから既に30分が経っていた。

気温と言うか、冷気を感じる。

何となく人外の存在を感じさせるオーラ。

私の言葉にレオが神妙な顔になる。

「ユイもそう思うんだね。他の人達は何も感じないようだから言わなかったけど、なんとかく変な気配がするんだ」

「気配?敵がいるって事なのかな?そういうのって分かるの?もしかしてスキルで?」

「普通のゲームでは敵の位置はマップに表示されるから、僕のやっていたアプリゲームにそう言う感知スキルは無かったね。結構昔のゲームならそう言う感知スキルがあったはずだけど」

そうなんだよね。
マップに敵の位置が出るから必要性が無くなったんだよね。

実は私のやっていたゲームにはあった。
だから使えるんだけど。

「そうなんだ。その感知スキルだけど、私にはあるんだ。試しにやってみるね」

こっそりそう言うと、広範囲感知のスキルを発動させる。
本当は宝箱を探すのに良く使っていたんだけど。

「ここから3キロ先にアンデットの反応が8体あるようだよ」

目の前に広がるマップ。

多分レオには見えていない。

「ちょっとだけ、感覚共有を使って良い?」

チームを組む時に上級者が初心者をナビする時にたまに使う技だ。

害はないので「良いよ」と言っておく。

多分今のレオには私の見ているマップが見えているはず。

「レベルって分かる?」

私は更に詳細のスキャンを掛ける。

でも、このスキャンはあくまでも自分より弱い相手にしか有効ではない。
だって、自分より強い相手だったら魔法は弾かれてしまうから。

8体の詳細が現れる。

吸血鬼とその眷属けんぞくとなっていた。

吸血鬼のレベルは800
眷属のレベルは一番強いので500
弱いのは110

となっていた。

「結構強いな……今は夜だし、これ以上近付くのはヤバいかも」

吸血鬼は夜の眷属。
つまり、夜になると能力が倍増したりするし、回復力も上がる。
場合によってはレオとその吸血鬼の対マンでもヤバい位なのに、使い捨てのような駒が7体もいたんじゃ勝ち目なんてないだろう。

レオはそう言うと他の仲間達へ声を掛け始める。

「この先の集落はどうやら吸血鬼が居るようだ。今は敵か味方か分からない上に今は夜だ。これ以上近付くのはやめよう」

レオの提案に何人かの足が止まる。

「レオさんが言うなら従うよ」

その何人かがレオの意見に従うのに対して無視して先に進む者もいた。

別にレオがリーダーって訳でもないので皆が従う訳でもはないのは当たり前。

多分、従ったのは同じアプリゲーム仲間なのだろう。

名前も呼んでいたし。
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