18 / 19
サンティナ・ヴィオーラ
しおりを挟む
家に帰るための馬車の中、サンティナとコリンは隣り合い無言でいた。彼らの婚約は継続している。卒業後にはコリンがヴィオーラ伯爵家に婿入りする予定だ。
「何か言うことはある?」
ぽつりとサンティナが問いかけた。
卒業パーティの夜からその後、サンティナはコリンに離れていた間のことを聞かなかった。コリンはそれに対して心苦しくもどこか安堵した思いでいた。
それでも、今言わなくてはコリンがサンティナと一緒にいることはできないだろう。
「君と対等になりたかったんだ」
「対等よ。婚約者でしょう?」
「周囲はそうは見ないよ。僕は政略結婚で金のために君に嫁ぐ格下の貴族だ。堂々と君に愛を伝えられる立場になりたかった。フクシア令嬢に近づくことで結構多めのお金をもらった。功績を立てれば爵位がもらえたかもしれなかった。あとは絶対に君と婚約を続けられる確証。僕は。君と対等に立てるだけの。誰のことも気にしないで同じ立場でティナと一緒にいたかった」
ほんとうはそれだけだったんだ。とコリンはうなだれた。君に好きだと言いたかったんだと小さく呟いた。
サンティナはコリンを見つめる。最初コリンにそっけなくされたとき本当に悲しかった。それでも。
「あなたが私のことを本当に嫌いになったならもっとひどいことが言えると思ったの」
だから私はあなたのことを信じたの。サンティナはそっとコリンの手を取り握りしめる。
「馬鹿ねコリン。私はね、政略結婚でも、あなたが私のことを愛してくれていても。本当はどっちでもいいの。あなたがいいの」
嘘つきで頼りないコリンのことが大好きよ。
微笑むサンティナにコリンはさらにうなだれる。きっとこの先ずっと彼女にはかなわない。
「君のことが本当に好きなんだ。サンティナ」
「ありがとう。私もあなたのこと大好きよ!」
小さな笑い声が重なって馬車の中が幸せで満ちていく。
がたごとと走る馬車はゆっくりと2人の将来の家へと向かっていった。
おしまい
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
オマケがあります。
「何か言うことはある?」
ぽつりとサンティナが問いかけた。
卒業パーティの夜からその後、サンティナはコリンに離れていた間のことを聞かなかった。コリンはそれに対して心苦しくもどこか安堵した思いでいた。
それでも、今言わなくてはコリンがサンティナと一緒にいることはできないだろう。
「君と対等になりたかったんだ」
「対等よ。婚約者でしょう?」
「周囲はそうは見ないよ。僕は政略結婚で金のために君に嫁ぐ格下の貴族だ。堂々と君に愛を伝えられる立場になりたかった。フクシア令嬢に近づくことで結構多めのお金をもらった。功績を立てれば爵位がもらえたかもしれなかった。あとは絶対に君と婚約を続けられる確証。僕は。君と対等に立てるだけの。誰のことも気にしないで同じ立場でティナと一緒にいたかった」
ほんとうはそれだけだったんだ。とコリンはうなだれた。君に好きだと言いたかったんだと小さく呟いた。
サンティナはコリンを見つめる。最初コリンにそっけなくされたとき本当に悲しかった。それでも。
「あなたが私のことを本当に嫌いになったならもっとひどいことが言えると思ったの」
だから私はあなたのことを信じたの。サンティナはそっとコリンの手を取り握りしめる。
「馬鹿ねコリン。私はね、政略結婚でも、あなたが私のことを愛してくれていても。本当はどっちでもいいの。あなたがいいの」
嘘つきで頼りないコリンのことが大好きよ。
微笑むサンティナにコリンはさらにうなだれる。きっとこの先ずっと彼女にはかなわない。
「君のことが本当に好きなんだ。サンティナ」
「ありがとう。私もあなたのこと大好きよ!」
小さな笑い声が重なって馬車の中が幸せで満ちていく。
がたごとと走る馬車はゆっくりと2人の将来の家へと向かっていった。
おしまい
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
オマケがあります。
114
お気に入りに追加
187
あなたにおすすめの小説
王太子から婚約破棄……さぁ始まりました! 制限時間は1時間 皆様……今までの恨みを晴らす時です!
Ryo-k
恋愛
王太子が婚約破棄したので、1時間限定でボコボコにできるわ♪
……今までの鬱憤、晴らして差し上げましょう!!
【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!
たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」
「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」
「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」
「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」
なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ?
この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて
「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。
頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。
★軽い感じのお話です
そして、殿下がひたすら残念です
広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います
【完結】今更そんな事を言われましても…
山葵
恋愛
「お願いだよ。婚約解消は無かった事にしてくれ!」
そんな事を言われましても、もう手続きは終わっていますし、私は貴方に未練など有りません。
寧ろ清々しておりますので、婚約解消の撤回は認められませんわ。
そんな事も分からないから婚約破棄になるんです。仕方無いですよね?
ノ木瀬 優
恋愛
事あるごとに人前で私を追及するリチャード殿下。
「私は何もしておりません! 信じてください!」
婚約者を信じられなかった者の末路は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる