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婚約破棄2
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パーティ会場にどことなく全てが解決したような空気が流れる。パーティの司会進行を務めていた生徒会役員の生徒が空気を元に戻そうと楽隊に手を振った。
音楽が流れ出しガブリエーレがアランを連れ別室に移動しようとしたその時、ガブリエーレの肩にぶつかりながら何者かが駆けた。
「まだ話は終わっていないぞ、エメライン・ブラウン!」
ベルンハルトがエメラインに詰め寄っていた。音楽がまた止まってしまう。いまだに口をふさがれていたエメラインがそっとサンティナに手を外させる。
サンティナに少し下がらせ、エメラインはガブリエーレに大丈夫だと軽く手を振る。
「何のお話でしょうか。ベルンハルト様」
食いつかんばかりに顔を寄せるベルンハルトにエメラインが冷静に返す。
「今重要なのはローザ嬢のことだろう。なぜおまえたちは話が終わったような顔をする。本題はこれからだろう!」
「アラン様のことを気になさらなくていいのですか?今それを気にされていたのはおそらくあなたぐらいのことだったと思いますよ」
「何故気にしない!一人の令嬢が複数の高位の令嬢に虐められ続けていたんだぞ!図太いお前たちのようなものは気にしないだろうが、ローザ嬢は繊細なんだ!一人で泣いていたんだぞ!」
「何故あなたがそれほどまで彼女を気になさるのです?友人だから。と言われますか?」
「そうだ、当たり前だろう。友人を気にかけて何が悪い。しかもその友人を虐めているのが出来の悪い婚約者ならなおさらだ」
ベルンハルトの腕を、いつの間にかやってきていたローザがそっとつかんだ。
「ベルンハルト様ぁ。あたしこの人にずっといじめられていたんです。こわかったぁ」
ひくひくと泣き真似をするローザが今まで寄り添っていたアランはいまだに呆然としており床に座り込んでいる。
アランといると形勢不利だと悟ったのか、すり寄る相手をベルンハルトに変えたようだ。
顔を隠したローザを痛ましげに見つめたベルンハルトはエメラインを睨みつける。
「今なら頭を下げ誠心誠意ローザ嬢に謝罪をすれば許してやろう。父上にも俺がとりなしてやる。わかったらさっさと這いつくばれ。ローザ嬢に詫びて頭を床にこすりつけろ」
どんどんヒートアップしていくベルンハルトをエメラインは蔑んだように見つめる。
「身に覚えのないことで謝罪をするつもりはないです」
「貴様はいつまで・・・」
掴みかかろうとするベルンハルトをエメラインが一歩引いて避ける。
「私がローザさんに謝ることはないです。それでどうなさるつもりですか?」
うっすらと期待がエメラインの声に滲むのにベルンハルトは気づかなかった。
「貴様のような冷血な人間と婚約を続けることはできない!婚約破棄だ!」
「それではベルンハルト様には平民になっていただきましょう」
ずっとこの時を待っていました。
エメラインは微笑みを浮かべた。
音楽が流れ出しガブリエーレがアランを連れ別室に移動しようとしたその時、ガブリエーレの肩にぶつかりながら何者かが駆けた。
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サンティナに少し下がらせ、エメラインはガブリエーレに大丈夫だと軽く手を振る。
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「ベルンハルト様ぁ。あたしこの人にずっといじめられていたんです。こわかったぁ」
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「今なら頭を下げ誠心誠意ローザ嬢に謝罪をすれば許してやろう。父上にも俺がとりなしてやる。わかったらさっさと這いつくばれ。ローザ嬢に詫びて頭を床にこすりつけろ」
どんどんヒートアップしていくベルンハルトをエメラインは蔑んだように見つめる。
「身に覚えのないことで謝罪をするつもりはないです」
「貴様はいつまで・・・」
掴みかかろうとするベルンハルトをエメラインが一歩引いて避ける。
「私がローザさんに謝ることはないです。それでどうなさるつもりですか?」
うっすらと期待がエメラインの声に滲むのにベルンハルトは気づかなかった。
「貴様のような冷血な人間と婚約を続けることはできない!婚約破棄だ!」
「それではベルンハルト様には平民になっていただきましょう」
ずっとこの時を待っていました。
エメラインは微笑みを浮かべた。
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