上 下
174 / 178
第4章 ゼンパンの素質とウィークリーガチャ

第174話 神獣フェニクス様に会いに・・・1

しおりを挟む
ラッキー達のダンジョン攻略が始まった。ダンジョン攻略は何度もしてきたので作戦を立てて実行していくのはお手の物だ。

ラッキー達は、まずレベルを上げる為に適度に経験値を稼げる階までは魔物を倒すことよりも下に降りる事を優先した。地下1階の魔物と地下20階の魔物では倒した時に得られる経験値は大きく違う。

例えば、地下1階に現れるスライムを倒そうと思いラッキーが火魔法を使ったとする。レベル42のラッキーにとってレベル1のスライムへの攻撃はオーバーキルもいいとこである。同じ魔法を使って地下20階の魔物を倒したとして、魔力消費量に対する経験値の取得量がどれほど違うかわかるだろう。

魔力の関係から、このダンジョンでは朝から晩まで攻略する事はできない。このダンジョンにおいて気にするべきは時間ではなく、魔力量なのだ。魔力が半分になれば、戻るか先に進むかを決断しなければならない。決断を間違えば死ぬ事になる。

ラッキー達はそうならないように、なるべく魔力をつかわずに地下ダンジョンを進んで行く。

地下20階の転移魔法陣からスタートして、地下25階までの最短ルートをマッピング。
翌日、同じく地下20階からスタートして、地下30階までの最短ルートをマッピング。
翌日、最短ルートで地下30階に進みボスを倒す。

地下40階へも同様に行動した。魔力に余裕を持たせて、ひたすら先に進む事を優先したのだ。

「ようやく地下40階まで来たわね。それにしてもここに出てくる魔物って本当に物理が全然効かないのね。」

「スライムにレイス、ロック系もやっかいだね。でも魔法は基本的に弱点っぽいから普段以上に通じるのはありがたいな。」

「ラッキーの場合は火属性が通じない魔物が出て時に困るじゃない。魔法剣だって火属性メインだし。」

「そうですね。その時は魔法の杖を使えば問題はないと思いますが、やはり魔法の杖は魔力の消費が激しいのが問題ですね。」

「そうね。もしリルが魔法の杖を使えたらもっと効率はあがるんでしょうけど。」

 『俺の爪も役にたってるんだぞー』

「そうだな。リルの魔力爪も魔物に通じるようになったし助かってるぞ。」

(リルの攻撃が通じるようになったのは大きいな。まだ魔力の調整が難しいからすぐに魔力切れになってしまうけど戦力なのは変わりない。後はガイアで手に入れた魔法を使える杖系が地味に使えないのが痛いな。手に入れた時はかなり有用だったけど、消費魔力量を考えるとな~。)

ガイア国のオーディールダンジョンでラッキー達は、火の杖や魔法の杖など、魔力を消費する事でだれでも魔法が使える武器を手に入れていた。だが、誰でも魔法が使える杖にも欠点があったのだ。魔力量を調整できないのだ。

例えば、火の杖から出るファイアーボールに魔力が10必要だとする。ラッキーは火魔法の素質を持っているので杖を持っていなくても火魔法を使う事ができる。魔法学園に通ってから魔力のコントロールを学んだラッキーは、消費魔力1で火魔法を使う事ができる。

魔力をコントロールする事で、杖の10倍の数の魔法が使えるのだ。この技術は地下ダンジョンでは必須の技術だった。ちなみにこのダンジョンに挑戦する冒険者や学生の中で、自動で魔法が発動する杖を持ち込んでいる者は全くいない。

大事なのは、魔力回復ポーションだ。この地下ダンジョンに現れる魔物はドロップアイテムを落とさない。落とさないとは、素材やアイテムを落とさないという意味だ。どういう事かというと、フランダル魔法国の魔法学園地下ダンジョンでは、魔物からは魔石しか手に入れる事ができないのだ。

他のダンジョンであるような帰還玉ももちろんドロップしない。ただ、魔石はフランダル魔法国にとっては必須のモノなので需要は高い。他の素材やアイテムがドロップしなくても魔石だけで生計は立てれるようになっていた。

だが、ダンジョンで魔物から食料やアイテムがドロップしなければそれを見越して準備する事ができなくなる。補充ができないので、使用したら減るばっかりだ。ラッキー達はマジックバッグを持っているのである程度多めに準備して持ち込む事ができるが、消費すれば購入してそろえなければならない。

魔石を売って、魔力ポーションを買ってとする事はできるが、使いすぎれば、魔石を売っても金額が足りなくなる。そのあたりも考えないとこのダンジョンは攻略できないのだ。

一番良いのは、魔力満タンからスタートして、魔力がなくなる前に転移魔法陣のあるボス部屋まで行きボスを倒す。を繰り返す事だ。それなら魔力回復ポーションを使わずに魔物の魔石を手に入れる事ができるので、お金は増えていくだろう。だが、理想通りにはいかないのが現実だった・・・

地下40階のボスであるブラッドゴースト倒したラッキー達は、ようやく半分まで来た事でダンジョン攻略が順調に進んでいる事に安堵し、明日からはレベル上げをして神獣フェニクスを目指すのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした

今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。 二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。 しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。 元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。 そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。 が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。 このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。 ※ざまぁというよりは改心系です。 ※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。

旦那様、最後に一言よろしいでしょうか?

甘糖むい
恋愛
白い結婚をしてから3年目。 夫ライドとメイドのロゼールに召使いのような扱いを受けていたエラリアは、ロゼールが妊娠した事を知らされ離婚を決意する。 「死んでくれ」 夫にそう言われるまでは。

私を捨てて後悔したようですけど、もうあなたと関わりません

天宮有
恋愛
「クノレラの方が好きだから、俺との婚約を破棄して欲しい」 伯爵令嬢の私キャシーは、婚約者ラウド王子の発言が信じられなかった。 一目惚れしたと言われて私は強引に婚約が決まり、その後ラウド王子は男爵令嬢クノレラを好きになったようだ。 ラウド王子が嫌になったから、私に関わらないと約束させる。 その後ラウド王子は、私を捨てたことを後悔していた。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

処理中です...