上 下
171 / 178
第4章 ゼンパンの素質とウィークリーガチャ

第171話 治療薬

しおりを挟む
ピンクフリードの薬を手に入れたラッキー達は、学園長と料理長ランドルトとともに、入手した経緯を改めて伝えた。

「これがピンクフリードなんだね。」

「ランドルトさんがいた時は完成してなかったんですよね。」

「うん。僕がいた時はまだ未完成だったよ。構想はできてたから出来上がるのは時間の問題だったかもしれないけど・・・」

「それでこれがあれば治療薬を作る事はできそうですか?」

「そうだね~。実際に見てみないとわからないけどね。」

「学園長・・・捕まえた教団員はどうしましょうか?尋問すれば本拠地の場所とか、もしかしたら治療薬の事も知ってるかもしれませんよ。」

「そうじゃな。この教団員は儂が預かろう。ラッキーよ。よくやったな。」

「いえ、まだ解決したわけじゃありません。クエストも達成じゃないですよね?」

「そうじゃな。引き続き頼む。儂の方でも何かわかったら伝えるとしよう。」

「はい。お願いします。」

学園長に捕まえた教団員を預け、料理長に魔法が使えなくなる薬を渡し、その日は宿へと帰った。

そして翌日・・・

「ランドルトさん!治療薬ができたって本当ですか?」

「ラッキー君。完全な治療薬ができたって訳じゃないんだけどね。」

「どういう事ですか?」

「このピンクフリードは体内の魔力を継続的にゼロにする薬なんだ。それによって魔力がなくなった人は魔法が使えなくなるんだ。それで、その魔力をゼロにする効果を一時的に抑える薬を作ったんだ。」

「一時的に・・・ですか?」

「そうなんだ。完全にピンクフリードの効果を無くす事ができなかったから一時的に効果を抑える薬しかできなかったんだ。だから完全とは言えない・・・」

「でも!!ランドルトさんのお陰で私は魔法が又使えるようになりました。」

「ミルキー・・・」

「ああ。先ほどミルキー君には治療薬を飲んでもらったんだ。どれだけ効果があるかはこれから検証が必要なんだけどね。1日は持つと思うよ。」

「一時的でも魔法が使えるようになって嬉しいです。ランドルトさん。ありがとうございます。」

ランドルトさんは薬ができると、先日学園内で魔法が使えなくなる薬を飲んでしまったミルキーに飲ませていた。飲ませると効果はすぐに出た。簡単な魔法が発動したのだ。ランドルトが言っていたようにずっと使える訳ではないかもしれないが、魔法が使えなくなった後に、魔法が使えるようになった事は大きな前進だった。

(一時的にしか効果がないのか・・・今後の研究次第で完全に治る薬もできあがるかもしれない。だけどそれまで持つか・・・学園長の方はどうなったんだ?やはり本拠地に行って治療薬を手に入れるか、治療薬の作成方法を調べた方が早いか。そういえば万能薬草なら治るかもしれないみたいな事をアークドラゴン様が言ってたよな。ランドルトさんに見せれば進展するんじゃ・・・)

ラッキーは、アークドラゴンよりもらっていた1つしかない万能薬草を取り出し、ランドルトに見せた。

「ラッキー君。それは?」

「ランドルトさん。これはガイア国にある万能薬草という薬草です。どんな病や呪いも直す秘薬です。霊峰オーディールで手に入るのですが、そこのアークドラゴン様から、これなら魔法が使えなくなっても治せるんじゃないって言われてます。」

「そんなすごい薬草が・・・」

「ですが、この1つしかないんです。使えば次からはありません。なんでランドルトさん。だけどこの薬草を調べれば治療薬に役立ちませんか?」

「僕にくれるのかい?」

「はい。どちらにしても1つでは役に立ちません。ランドルトさんなら有効活用してくれると思いまして。これで多くの人が助かるのであれば安いもんです。」

(例えば薬草をただ使うだけなら一人しか治せないけど、粉末にして、さっきの薬に混ぜるとかして効果があるなら10人~20人は助ける事ができる。そうなれば魔法が使えない薬は怖くなくなる。後は学園長が本拠地の場所を聞き出してくれていれば一気に解決に近づくだろ。)

「わかった。期待に応えれるようにがんばるよ。とりあえず調べてみようと思うから明日又、来てもらっていいかな?」

「わかりました。」

そして更に翌日・・・

「ラッキー君!君のくれた万能薬草はすごいよ!さっきミルキー君に試したんだけど完全に治ってると思う。経過を見てみないとわからないけど、出来具合とミルキー君の感じだったら間違いないよ。」

「本当ですか!?」

「ああ。といってもできたのは15本だけどね。もらった万能薬草を昨日貰った薬と混ぜ合わせたんだ。」

(15本でも完全治療薬ができたのは大きい。これでグレイ教団に怯える必要がなくなったんだ。3本だけ俺達用にもらって後は学園長に預けるか。どう使うかは学園長に任せた方がいいな。)

「ラッキーさん。ありがとうございます。」

「いや俺は何もしてないよ。ランドルトさんのお陰だよ。」

ラッキーの万能薬草と、ランドルトの技術により、魔法が使えなくなる薬の治療薬が完成した。素材の安定供給はできないが、治療できるという事実はラッキー達を明るくした。

喜びあったラッキー達はその報告とともに教団員の尋問内容を聞く為に学園長室へと向かうのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

処理中です...