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第3章 ゼンパンの素質とプレミアムガチャスキル

第112話 ラッキーの転移魔法

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(どうしてこうなった・・・)

ラッキーは今、四国会議参加者全員から注目を浴びていた。

事の発端は、ガイア王国のお姫様だ。会議の開始とともに各国の参加者の紹介が始まり、ラッキーも周りと同じように名前と素質の説明をしただけだった。

全員の紹介が終わった後、ガイア王国のお姫様セレスがラッキーの転移魔法を見てみたいを言った事が始まりだ。

その声に合わせて、他の国も是非見てみたいと声が上がり、ラッキーは今、全員の目の前で立たされていた。

「で、では、今から転移魔法を使わせて頂きます。え~っと転移魔法と言っても自由にどこにでもいけるわけではありません。現にここからアルカディアまで転移できるかと言えば無理です。」

「距離に制限があるんですか?」

「セレス殿。深く聞くのはマナー違反ですぞ。」

「あら?ラッキーさんの転移魔法は四国同盟の中でも凄く重要ですわ。どれぐらいの距離を、どれぐらいの頻度で、どれぐらいの数を、ぐらいは共有しておいた方がいいのではないですか?」

「それは・・・」

(たしかにセレス様の言う通りだな。あまり深く詳細を語るなとは言われたけど、その辺は話しておかないといけない流れだな。)

「セレス様。私の転移魔法は最大1キロ、一日10回、数は正確には把握してませんが10人はいけると思います。」

(距離は今後も伸ばしていけるし、現状を語るぐらいなら問題ないだろ。)

「ラッキーさん。ありがとうございます。」

「いえ。それでは転移魔法を発動します。」

ラッキーは転移魔法を使い、全員の目の前から一瞬で消えた。

「消えた!?」

「これが転移魔法です。」

参加者全員の後ろからラッキーの声が聞こえて、全員が振り返った。それを確認したラッキーは再度転移魔法を使い、元の場所に戻る。

「これはすごい!?」

「ラッキー殿が協力してくれれば四国同盟も更に強力になりそうですな。」

「いやいや、まだ子供だ。その辺を考慮して上げないと。」

ラッキーの転移魔法を見てから、四国会議はラッキーの転移魔法をどのように活用するかに話が変わっていた。

(見せたのは失敗だったかな~。陛下達が軍事利用はしない。って言ってくれてるけど、荷物の輸送とか、兵の移動とか物騒な言葉も出てるし・・・)

そして・・・

初日の会議は無事?に終わった。

「災難だったわねラッキー。」

「シルフィー。そうだね。ちょっと疲れたかな。」

「大丈夫?この後、今日の会議内容の共有と今後の打ち合わせよ?」

「うん。大丈夫だよ。」

宿に戻ったラッキー達はそのまま今後の打ち合わせに入った。

「疲れてるだろうにすまんな、ラッキー。」

「大丈夫です陛下。まあ会議はちょっと疲れましたけど。」

「思いの他、ラッキーの転移魔法に興味を示していたな。」

「当然でしょう。ウチではなく、もし他国が転移魔法を持っていれば同じようにしたと思います。」

「たしかにそうだな。」

「今日の会議で、ラッキーが注目を集めてるのはわかった。明日からも積極的に攻略を図ってくるだろう。大丈夫か?」

「深い所とかはわからないけど、今日話した感じなら仲良くなれそうだとは思ったよ。明日からっていうか今日から色々聞かれたけどね。明日はシルベスターさんとリーフさんが町を案内してくれるみたいだし。」

「勇者と弓聖か。たしかに地元だから案内も申し出るのも不自然ではないか。」

「うん。それに俺もやっぱり勇者には興味あるしね。交流戦はシルベスターさんと試合してみたいし。」

「そういえば交流戦をするんだったな。予定にはなかったが、お互いの戦力を把握するにはもってこいだな。ラッキーは勇者か。シルフィード嬢とマリア嬢は希望はあるのか?」

「私はフランダル魔法国の人達ね。私も魔法系の素質だし。」

「私は特には、元々戦闘系の素質ではありませんし。」

「まあ何にせよ。明日からは気を付けてくれ。」

「大丈夫です。何かあれば転移魔法でここまで戻って来れますから。」

「そうだな。ラッキーには転移魔法があったな。だが、ラッキーだけじゃない。プリンやシルフィード、マリアが狙われる可能性もある。みんな気を付けるんだぞ。」

「そういえばプリン王女。シルベスターさんはどうだったんですか?」

「そうね。第一印象としては合格ね。見た目もいいし、話し方も好感が持てたわ。」

「勇者とプリンが一緒になってくれれば我が国も更によくなる。だが、あまりちょっかいかけすぎて嫌われるような事はしてはいかんぞ。」

「わかってるわ。お父様。」

『明日は俺もラッキーについて行くんだぞー。留守番は嫌なんだぞー。』

「もちろん明日はリルも一緒だよ。」

「リルちゃん。今日会議に行けなかったからいじけてるのね。可愛い。」

「ああ。やっぱりマリアにはわかったか?」

「ちょっとだけですけどね。リルちゃんの声のトーンとかで。」

(すげーなマリア。その内リルの言葉もわかるようになるんじゃ・・・)

そうして、初日の四国会議を無事に終えたラッキー達は、明日からの事を打合せし翌日に備えるのだった。

☆☆☆★★★☆☆☆

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