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第2章 ゼンパンの素質とシークレットガチャスキル
第99話 王国武道会ラッキー対メルト
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『ただいまから王国武道会1回瀬を開始します。対戦者は、この世界で唯一、剣聖の素質を授かったメルト・ストライクーーー。対してDランク冒険者ラッキーーーー。それでは試合開始!』
「ははは。まさか初戦からお前と当たるとは俺も運がいいな。無能を大勢のいるこの場で叩きのめせるんだからな。」
メルトの挑発にラッキーは何も答えない。それは朝、シルフィーとマリアから痛い程言われていたからだ。
勝って当然。力の差をメルトと観客全員に見せつけて!と。
お互い剣を構える。
「おいおい。本当に俺と打ち合おうって言うのか。俺の剣はこの日の為に用意したミスリルの剣だぞ。お前がもっているその剣とは質が何倍も違うんだぞ。」
剣を握りながらメルトが話しかけてくる。
(やっぱりあれはミスリルの剣か。それにしてもメルトのヤツもバカだな。俺の剣のミスリルの剣なのに。まあバカは死んでも治らないって言うしな。)
最初に動いたのはメルトだった。
構えた剣を握ったままラッキーに向かって行く。
(えっ!?なんだこれ?遅!?)
ラッキーはメルトが振るう剣を丁寧に躱していく。
(これなら剣で防御する必要もないな。)
メルトが剣を振り下ろす時にはラッキーはすでにそこにはいない。剣で防御するのではなく、素早く移動し、メルトの背後に回った。
「はぁーはぁーはぁー。避けてばかり卑怯だぞ。剣で打ち合ったらお前の剣が折れるからって剣を使わずに逃げてばかりじゃないか。」
「いやいや、お前の剣が遅すぎるんだよ。」
(概ね予想通りだな。敏捷は俺の方が圧倒的に上、体力もあの見た目じゃそれほど多くないと思ってたけど、案の定疲れ始めてる。多分剣聖の素質での能力は力とか器用に振られてるんだろう。剣で打ち合うと万が一が起こるかもしれないし、このまま回避を続ければ自滅するだろう。)
メルトはラッキーと打ち合うのをやめて距離を取った。
「逃げてばかりじゃどうにもならないって事を教えてやるよ。」
メルトが剣を構えて、そして・・・
「剣技スラッシュ!」
メルトが叫ぶと、振った剣から白い斬撃が飛んできた。
「!?」
ラッキーはとっさに剣で飛ぶ斬撃を防いだ。
「はぁーはぁーはぁー。どうだ!これが剣聖が使える剣技だ。降参するなら今の内だぞ。」
(なるほど。あれが剣技か。噂には聞いてたけど便利だな。あれがあると遠距離でも攻撃ができる。)
「どうした?その程度かメルト?俺はまだまだやれるぞ。」
(確か剣技は魔力を消費するんだったよな。なら連発はできないか。でも止まったままだと良い的だな。直接対峙してみてメルト実力はわかった。天地がひっくり返っても俺が撒ける事はない。後は俺の実力をアピールして終わらせるか。)
ラッキーは剣を構えてメルトに向かって行く。
「なっ!?」
メルトはラッキーのスピードに理解が追い付いていないのか剣を握ったまま動かない。
ラッキーはメルトの背後に回って、軽くメルトに攻撃を仕掛ける。態勢の崩れたメルト。ラッキーの攻撃は続く。ラッキーはメルトの剣を狙いメルトの剣をはじきとばした。これで勝負アリと思ったラッキーはメルトと距離を取った。
「剣が無くなればもう無理だろ?大人しく降参しろ。メルト!」
「剣を狙うなんて卑怯だぞ。お前は俺と打ち合うのが怖いのか!男なら正々堂々剣で打ち合え!」
(いやいや正々堂々も何も、お前が弱いだけだろ。それにお前だって剣技使ってきてたじゃん。)
あきれたラッキーを他所にメルトは飛ばされた剣を拾いにラッキーに背を向けた。
(いやいや、戦闘中に背を向けたらダメだろ。)
ラッキーはメルトの行動に更に呆れていた。それはラッキーだけではなく、見ていた観客も同様だった。
「剣聖ってわりには全然強くないな。」
「あの体形なら動けないだろ。」
「あの剣技はすごかったけど当たらなきゃな~。」
「ラッキーって冒険者は強いな。メルトって剣聖が弱いだけか。」
観客席からは剣聖は大したことない。ラッキーは強い。という言葉があちこちから流れていた。
「クソッ。クソッ。こんなはずじゃ。俺は剣聖だぞ。選ばれた人間なんだぞ。そんな俺がこんな素質もない無能なヤツに。」
メルトはブツブツ言いながら剣を拾った。
「おいラッキー。最後の忠告だ。お前みたいな無能なヤツと俺では住んでる世界が違うんだ。おとなしく俺の言う事を聞いて降参しろ。」
「いやいやどうやったらこんな状況でそんな言葉が出るんだ?どう見たってお前の方がボロボロだろ。」
「うるさいうるさい。剣技スラッシュ!」
(しょうがない。実力も見せたし格の違いも見せつけた。後はしっかりアピールするだけだ。)
ラッキーはメルトの放ったスラッシュに対し、転移魔法を使いメルトの背後に移動した。メルトはラッキーがどこにいるか気づいていない。一瞬で背後に回った事がわかるのは、観客のみだった。その観客達も一瞬の事で言葉を出す事を忘れ、ラッキーの行動に見入っていた。
ラッキーは剣の柄でメルトの頭を叩き、メルトを気絶させた。
「じゃあなメルト。本当はもっと痛めつけてやりたい所だけど、これは試合だからな。」
気絶したメルトを確認した審判は・・・
『勝者!ラッキー選手!』と告げた。
王国武道会初戦の戦いは見事ラッキーの勝利に終わるのだった。
「ははは。まさか初戦からお前と当たるとは俺も運がいいな。無能を大勢のいるこの場で叩きのめせるんだからな。」
メルトの挑発にラッキーは何も答えない。それは朝、シルフィーとマリアから痛い程言われていたからだ。
勝って当然。力の差をメルトと観客全員に見せつけて!と。
お互い剣を構える。
「おいおい。本当に俺と打ち合おうって言うのか。俺の剣はこの日の為に用意したミスリルの剣だぞ。お前がもっているその剣とは質が何倍も違うんだぞ。」
剣を握りながらメルトが話しかけてくる。
(やっぱりあれはミスリルの剣か。それにしてもメルトのヤツもバカだな。俺の剣のミスリルの剣なのに。まあバカは死んでも治らないって言うしな。)
最初に動いたのはメルトだった。
構えた剣を握ったままラッキーに向かって行く。
(えっ!?なんだこれ?遅!?)
ラッキーはメルトが振るう剣を丁寧に躱していく。
(これなら剣で防御する必要もないな。)
メルトが剣を振り下ろす時にはラッキーはすでにそこにはいない。剣で防御するのではなく、素早く移動し、メルトの背後に回った。
「はぁーはぁーはぁー。避けてばかり卑怯だぞ。剣で打ち合ったらお前の剣が折れるからって剣を使わずに逃げてばかりじゃないか。」
「いやいや、お前の剣が遅すぎるんだよ。」
(概ね予想通りだな。敏捷は俺の方が圧倒的に上、体力もあの見た目じゃそれほど多くないと思ってたけど、案の定疲れ始めてる。多分剣聖の素質での能力は力とか器用に振られてるんだろう。剣で打ち合うと万が一が起こるかもしれないし、このまま回避を続ければ自滅するだろう。)
メルトはラッキーと打ち合うのをやめて距離を取った。
「逃げてばかりじゃどうにもならないって事を教えてやるよ。」
メルトが剣を構えて、そして・・・
「剣技スラッシュ!」
メルトが叫ぶと、振った剣から白い斬撃が飛んできた。
「!?」
ラッキーはとっさに剣で飛ぶ斬撃を防いだ。
「はぁーはぁーはぁー。どうだ!これが剣聖が使える剣技だ。降参するなら今の内だぞ。」
(なるほど。あれが剣技か。噂には聞いてたけど便利だな。あれがあると遠距離でも攻撃ができる。)
「どうした?その程度かメルト?俺はまだまだやれるぞ。」
(確か剣技は魔力を消費するんだったよな。なら連発はできないか。でも止まったままだと良い的だな。直接対峙してみてメルト実力はわかった。天地がひっくり返っても俺が撒ける事はない。後は俺の実力をアピールして終わらせるか。)
ラッキーは剣を構えてメルトに向かって行く。
「なっ!?」
メルトはラッキーのスピードに理解が追い付いていないのか剣を握ったまま動かない。
ラッキーはメルトの背後に回って、軽くメルトに攻撃を仕掛ける。態勢の崩れたメルト。ラッキーの攻撃は続く。ラッキーはメルトの剣を狙いメルトの剣をはじきとばした。これで勝負アリと思ったラッキーはメルトと距離を取った。
「剣が無くなればもう無理だろ?大人しく降参しろ。メルト!」
「剣を狙うなんて卑怯だぞ。お前は俺と打ち合うのが怖いのか!男なら正々堂々剣で打ち合え!」
(いやいや正々堂々も何も、お前が弱いだけだろ。それにお前だって剣技使ってきてたじゃん。)
あきれたラッキーを他所にメルトは飛ばされた剣を拾いにラッキーに背を向けた。
(いやいや、戦闘中に背を向けたらダメだろ。)
ラッキーはメルトの行動に更に呆れていた。それはラッキーだけではなく、見ていた観客も同様だった。
「剣聖ってわりには全然強くないな。」
「あの体形なら動けないだろ。」
「あの剣技はすごかったけど当たらなきゃな~。」
「ラッキーって冒険者は強いな。メルトって剣聖が弱いだけか。」
観客席からは剣聖は大したことない。ラッキーは強い。という言葉があちこちから流れていた。
「クソッ。クソッ。こんなはずじゃ。俺は剣聖だぞ。選ばれた人間なんだぞ。そんな俺がこんな素質もない無能なヤツに。」
メルトはブツブツ言いながら剣を拾った。
「おいラッキー。最後の忠告だ。お前みたいな無能なヤツと俺では住んでる世界が違うんだ。おとなしく俺の言う事を聞いて降参しろ。」
「いやいやどうやったらこんな状況でそんな言葉が出るんだ?どう見たってお前の方がボロボロだろ。」
「うるさいうるさい。剣技スラッシュ!」
(しょうがない。実力も見せたし格の違いも見せつけた。後はしっかりアピールするだけだ。)
ラッキーはメルトの放ったスラッシュに対し、転移魔法を使いメルトの背後に移動した。メルトはラッキーがどこにいるか気づいていない。一瞬で背後に回った事がわかるのは、観客のみだった。その観客達も一瞬の事で言葉を出す事を忘れ、ラッキーの行動に見入っていた。
ラッキーは剣の柄でメルトの頭を叩き、メルトを気絶させた。
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