上 下
49 / 178
第1章 ゼンパンの素質とデイリーガチャスキル

第49話 5階層の安全地帯には・・・

しおりを挟む
初めてのダンジョン攻略を無事に終えたラッキーとシルフィーは今日からどうやってダンジョンを攻略して行くか話し合っていた。

「やっぱり1日で攻略は難しいわね。」

「ああ。先に進んでも一旦地上に戻ったら又1階層からだからな。一日5階層進むと仮定しても1週間ぐらいは泊まり込まないと無理だろうね。」

「思ったんだけど、仮に野営するとして寝てる間に魔物に襲われないの?」

「ああそれは、ライアン教官から聞いたんだけど、ダンジョンには魔物が寄り付かない安全地帯っていうのがあるらしい。そこには魔物が入って来れないから冒険者はそこで夜営するみたいだ。」

「安全地帯ね。でもそれってボス部屋の後にあるって聞いたわよ。ボスまでいけなかったらどうするの?」

「ボスがいる10階層以外にも5階層事に安全地帯があるみたいなんだ。そこで冒険者は野営をするのが基本らしい。リスボーンは駆け出しの冒険者に人気だから場所を抑えるのが大変らしい。もし場所を取れなかったら帰還玉で変えるか交代で見張りをしながら夜営をするみたいだよ。」

「交代で見張りね・・・。それは4人とか5人のパーティなら可能だけど、私達には無理ね。という事は場所取りが重要になるわね。」

「まあどんな感じなのか行ってみないとわからないから、今日は5階層まで行ってみようか?地図に安全地帯の場所も書かれてるし。」

「そうね。安全地帯がいっぱいだったら帰還玉で帰ればいいし、空いてたから夜営の練習をしておくのもいいわね。」

(夜営か・・・。シルフィーと2人っきりだよな・・・。それぞれに寝袋があるとはいえテントの中では二人きり・・・。緊張するな。シルフィーは自然な感じだけど、何も思わないのか?まあこれからパーティでやっていくならいつかは一緒に寝る事もあるだろうし、早めに慣れないといけないと言えばそうだけど・・・。)

今日の予定を話し合ったラッキーとシルフィーは、夜営に必要な物を確認し、足りなさそうな食料だけ買い込んで、リスボーンのダンジョンに向かった。

「とりあえず、1階層と2階層は最短距離を進みましょ。ドロップアイテムもそんなに高いモノじゃなかったしね。3階層は冒険者の数でどうするか決めましょ。」

「OK。わかった。」

ラッキーとシルフィーはリスボーンのダンジョンの1階層と2階層を最短距離で進んで行った。多くの冒険者が通る道だけあって、予想通りあまり魔物には遭遇しなかった。1階層でスライム3体が一回出て来たのと、2階層でゴブリン1体が2回出て来ただけだった。

「最短距離を進むと魔物も出ないし、移動が早いわね。この分だと、10階層までぐらいなら1日で移動できるかもしれないわね。」

「たしかに。安全地帯はボスがいる階層の方が圧倒的に広いらしいから、10階層なら場所が取れないって事もないのか。攻略する時は最短距離を進んで、魔物を倒す時は目当ての階層で狩りを行うのがダンジョンのセオリーかもしれないな。」

「なるほどね。たしかにラッキーの言う通りかもしれないわね。」

「さてっと、3階層に来たけどどうする?」

「昨日はブラックバットに遭遇しなかったから、1体は倒したいわね。」

「時間もあるし、回り道して様子を見ようか?」

ラッキーとシルフィーは昨日と違い、冒険者がいない道を進んで行った。道中多くの冒険者を見かけたが、いない方に進んでいくと、ブラックバットとも遭遇した。

空を飛んでいるブラックバットだったが、向かってくる所にタイミングを合わせて剣を振るとすんなりと倒す事ができた。シルフィーの場合は風魔法1発だった。

「コウモリの羽がドロップしたね。ブラックバットは強くないし、ドロップアイテムも高値で売れる。人気の階層なのもわかる気がするな。」

「ええ。そうね。あっ!!私も帰還玉をドロップしたわ。幸先がいいわね。」

その後もラッキー達は3階層でブラックバットを狩って行った。ある程度倒した所で4階層へ足を進めた。4階層では昨日、毒針を取り過ぎたので最短距離を進んで、5階層へと進んだ。

「5階層はレッドマンティスよね?」

「ああ。見た事ない魔物だな。」

「ダンジョンしか出てこない魔物だったかしら?」

「いや地上でも出る魔物だね。俺は会った事ないけど・・・」

「そうなのね。気を付けるのは魔法だったわね?」

「ああ。レッドマンティスは風魔法を使ってくるって資料に載ってたからな。まあこっちから先制するか、動き回っていれば大丈夫だと思う。」

ラッキーとシルフィーは安全地帯を目指して5階層を進んでいった。道中レッドマンティスに何度も遭遇するが、シルフィーの土魔法がレッドマンティスに相性が良く、風魔法を使われる前に倒す事ができた。

ラッキーも持ち前のスピードでレッドマンティスの後方に回り込み剣で攻撃する事でレッドマンティスに魔法を使わせずに倒していた。

レッドマンティスの通常ドロップは傷薬で、レアドロップは鎌だった。いつものようにラッキーが傷薬を手に入れて、シルフィーは・・・

何も手に入れる事ができなかった。

そして、地図に示される安全地帯を見つけて、部屋に入ったラッキー達。そこには・・・

赤や青、黄色に黒など色鮮やかなテントが部屋いっぱいに設置されていたのだった。その光景を見たラッキー達は・・・

「これは・・・無理だな。」

「そうね。」

そう言って、ラッキーとシルフィーは帰還玉を使いその日のダンジョン攻略を終えたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...