上 下
4 / 178
第1章 ゼンパンの素質とデイリーガチャスキル

第4話 Gランクの依頼は薬草採取と街の清掃・・・

しおりを挟む
朝早く起きたラッキーは食事を終えて、ギルドに向かった。

「よし。とりあえずギルドで依頼を受けよう。お金を稼がない事にはどうにもならないもんな。飢え死にだけはごめんだ。」

公爵家から追放されたラッキーは、ある程度のお金をもらっていたが、1カ月程宿で生活すればなくなる程のお金だった。

「まあ追放されたのはしょうがない。むかついたし人生どん底かよ!とも思ったけど自由になれた点はよかったかも。ギルドで大金を稼いで自由に世界を旅して、色んな女性と・・・」

普通に考えると、家から追放された人間がこんな短期間で前向きに生きていけるはずがない。普通は絶望で何も手がつかなかったり、撤回を求めて父親に食い下がったり、友人を頼って助けてもらったりするだろう。だが、ラッキーはその辺りの感覚が普通の人とは違っていた。

何事も前向きに考えるラッキーの性格は、起こった事はしょうがない。次どうするか考えよう。と常に未来の事を考えて行動していた。もちろん自分に都合の良い妄想を多く含んではいるが・・・

明るく前向きに生きるラッキーだからこそ、今回の【ゼンパン】というこの世界で最も優れている素質を授かったのだろう。

ギルドに着いたラッキーは早速張り出されている依頼を確認した。

「たしか昨日の説明では、ここに貼ってる依頼を取って受付に持って行くんだったよな・・・。それにしても今日は人が多いな・・・。冒険者って人気なんだな。」

朝早くにギルドに来たので、ギルド内は大勢の冒険者が集まっていた。

朝から酒場で酒を飲む冒険者。
パーティで依頼を物色する冒険者。
受付嬢を口説いている冒険者。

マッチョな男性からスレンダーな女性。獣人にエルフなど性別・種族問わず多くの冒険者がギルドにいた。

「みんな強そうだな・・・。俺も頑張らないと!」

ラッキーは冒険者達を一通り眺めた後、自分のランクであるGランクの依頼を探した。

「Gランクだとあるのは薬草採取と街の清掃か。報酬が高いのは薬草採取だし、ここは薬草採取一択だな。」

ラッキーは薬草採取の依頼書を取って、受付に持って行く。持って行く先は昨日、登録業務をしてくれたナンシーの所だ。

「ナンシーさん。この依頼を受けたいんですけど受理してもらえますか?」

「ラッキーさん。昨日登録して早速依頼ですね。はい。薬草採取の依頼ですね。わかりました。頑張ってください。薬草はリスボンの街を出て、東の草原か草原を抜けた森の中にあります。」

「草原よりも森の方が薬草がありそうですが、その辺はどうなんですか?」

「そうね。ラッキーさんの言う通り、森の方が薬草は多くあると思います。ですが、森はゴブリンやウルフ、スライムなんかの魔物に遭遇しやすいんです。魔物の討伐はFランクからの推奨になっています。」

「なるほど。草原はその分魔物が出ないんですか?」

「出ないという訳ではないですが、草原は見晴らしも良いので魔物が近づいてくるとすぐにわかるので、魔物を避けながらの薬草採取が可能なんです。」

「わかりました。じゃあ今日は草原で薬草採取をしようと思います。」

「はい。始めはそれが良いと思います。あっ!後、ラッキーさんは武器も防具も持ってませんよね。どこで何があるかわからないので武器と防具は準備した方が良いですね。初心者用の武器と防具を取り扱ってる店がギルドの隣にあるのでよかったら見て行って下さい。」

「ありがとうございます。依頼に行く前に寄って見ます。」
ラッキーは薬草採取の依頼を受けてギルドを出た。

「武器と防具か・・・魔物に出会ったらまずいから買っとくべきだよな~。でも・・・金がそんなにないんだよな~・・・父さんももっとお金くれればよかったのに・・・」

ラッキーはそんな事をつぶやきながら、ギルドの隣の店に入っていった。

「いらっしゃい。ここは初心者用の武器と防具を扱う店だよ。」

「はい。昨日登録したばかりのラッキーと言います。薬草採取の依頼を受けたんですが魔物に遭遇するかもしれないので、念の為、武器と防具を見に来ました。」

「昨日、登録したばかりか・・・。ならこれなんかはどうだ?」
店主が見せてくれたのは鉄の剣と皮の鎧とショートナイフだった。

「そうですね。あまりお金がないので、どうしようか迷っていますが、剣は子供の頃から振っていたので使えると思います。」

「冒険者は何があるかわからないからな。買えるなら買っておいた方がいいぞ。武器と防具をけちって死んじまったら元も子もねぇからな。」

「たしかにそうですね。」

「初心者が金を持ってないのはこっちもわかってるからよ。だが、魔物を倒す剣と身を守る鎧、それに素材をはぎ取るナイフは必需品だ。よかったら後払いもできるぞ?」

「本当ですか!?」

「ああ。ギルドに登録してるなら1カ月後の後払いも可能だ。まあ初心者特典ってヤツだな。」

「買います。後払いで買います!」
ラッキーは即決した。

「毎度あり!。じゃあ早速装備していくか?」

「はい。お願いします。」

ラッキーは鉄の剣と皮の鎧、ショートナイフを装備して街を出るのだった。

「あっ!!そういえば今日はまだガチャスキル使ってなかったな。」

ラッキーは草原に着いてから、ガチャスキルを使用した。いつもと同じ白い光が現れて出て来たのは・・・・いつものパンだった。

「は~・・・アンパンか・・・。まあこれもいつも通りだな。昼ごはんに取っておこう。」

いつもと変わらぬガチャの結果に落胆したが、すぐに気持ちを切り替えて薬草採取に臨むラッキーだった。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

婚約破棄? ではここで本領発揮させていただきます!

昼から山猫
ファンタジー
王子との婚約を当然のように受け入れ、幼い頃から厳格な礼法や淑女教育を叩き込まれてきた公爵令嬢セリーナ。しかし、王子が他の令嬢に心を移し、「君とは合わない」と言い放ったその瞬間、すべてが崩れ去った。嘆き悲しむ間もなく、セリーナの周りでは「大人しすぎ」「派手さがない」と陰口が飛び交い、一夜にして王都での居場所を失ってしまう。 ところが、塞ぎ込んだセリーナはふと思い出す。長年の教育で身につけた「管理能力」や「記録魔法」が、周りには地味に見えても、実はとてつもない汎用性を秘めているのでは――。落胆している場合じゃない。彼女は深呼吸をして、こっそりと王宮の図書館にこもり始める。学問の記録や政治資料を整理し、さらに独自に新たな魔法式を編み出す作業をスタートしたのだ。 この行動はやがて、とんでもない成果を生む。王宮の混乱した政治体制や不正を資料から暴き、魔物対策や食糧不足対策までも「地味スキル」で立て直せると証明する。誰もが見向きもしなかった“婚約破棄令嬢”が、実は国の根幹を救う可能性を持つ人材だと知られたとき、王子は愕然として「戻ってきてほしい」と懇願するが、セリーナは果たして……。 ------------------------------------

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

処理中です...