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第十一章 新大陸ウエストディザイア

第363話 勇者登場!?その名は『ソラマメ』

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ララに秘密を打ち明けた後、クリフ達はイプシロンハイにある試練の塔に行ってみたり、イプシロンハイにある図書館で調べものをしたり、教会本部でお祈りをしたりと怪しくない範囲で、イプシロンハイで冒険者活動を行っていた。

と言っても滞在予定は一週間程だ。その後はアルファロードに戻って、アルファロードの試練の塔攻略を再開する予定だ。

「ここもアルファロードの試練の塔とあまり変わらないな。」

「まあ出てくる魔物の種類が変わるのは、21階以降って話だから、20階までしか行ってないしそう思うのも当然だよね。」

「結局イプシロンハイでは何も良い情報はつかめなかったな。とりあえずアルファロードに戻ったら、試練の塔で金稼ぎとレベル上げだな。ララが出会ったっていう悪魔を見つけるのが、一番近道っぽいし。」

「そうね。私も仲間の仇を討ちたいし協力するわ。まあ死にたくもないしね。」

「だな。それに二人で冒険者活動を続けていれば、仲間も増えるかもしれない。ララへの扱いだって、アルファロードを出る時はけっこうなくなってたし。」

「たしかにそうね。信用できるって点で見れば奴隷何だろうけど、良い奴隷を選ぶと高くつくものね。」

「ああ。」

そうして、イプシロンハイでの最後の日に二人でお茶をしていると、不意にララを呼ぶ声が聞こえた。

「あれっ?ララさんじゃないですか?」

現れたのは男で、ぽっちゃり体形に革のプレートを身に付け、背中に剣を担いでる冒険者だった。

「勇者君じゃない?久しぶりね。」

「勇者君?」

「そちらの方は・・・初めて見ますね。仲間の方ですか?」

「うん。今冒険者パーティを組んでるクリフだよ。クリフ。こっちの可愛らしい男の子がソラマメ君。なんとイプシロンハイの勇者君だよ。」

(勇者だって!?この大陸にも勇者がいるのか・・・でもこの体形、どう見ても強そうじゃないよな??どういう事だ?)

「初めましてクリフです。勇者ってあの昔ばなしとかに出てくる勇者ですか?」

「うん。そうだよ。」

「クリフもえっ!って思うよね。勇者君又太ったんじゃない?」

「そうなんですよララさん。聞いてくださいよ。教会の人達、僕が試練の塔に行こうとすると、みんなで行っちゃダメだって止めてくるんですよ。勇者として試練の塔で多くの魔物を狩って、人々の為に役立ちたいのに、そんな危険な事はダメですって、全然教会から出してくれなくて。更に、毎日毎日テーブルいっぱいのご飯を食べてたらこうなりますよ。」

「ははは。勇者君は変わってないね。なんか丸くってアタシは好きだよ。その恰好。」

「本当ですか!?ララさん。なら僕と付き合ってくれますか?」

「それは無しかな。はははごめんね。勇者君は可愛いけど恋愛対象じゃないかな。ってそれは前も断ったでしょ。」

「そうなんですけど、好きって言ってくれたし、もしかしたらって思って。そういえばなんでイプシロンハイにいるんですか?」

「クリフが、あの依頼を受けてね。それについて来たんだ。」

「そうだったんですね。来るなら教会で読んでくれればよかったのに。」

「そう言う訳にはいかないでしょ。勇者君は忙しいだろうし。」

「そんな事ないですよ。それにララさんに会えるなら仕事なんてほったらかして会いに行くに決まってるじゃないですか。」

「やっぱり変わらないね~。そういえば勇者君はどうしてここに?」

「息抜きですよ。教会で、剣の稽古やら魔法の勉強ばっかりしてますからね。偶には町を歩いて気分転換してるんです。まあ教会の目を盗んで試練の塔にも行ったりしてるんですけどね。」

「そうなんだ。よかったら一緒にお茶する?クリフもいいよね?」

「ああ、かまわないよ。」

「本当ですか!?是非ご一緒させてください。」

それから、勇者ソラマメも席につきお茶会が始まった。が、終始ソラマメがララに話掛けて、ララがそれに答えるという場になり、クリフは一切話す事が出来なかった。

(勇者君、ララの事好きすぎだろ。折角教会の事、色々聞こうと思ったのに全然聞けないじゃん。それにララもララだ。勇者と知り合いなら教えてくれればよかったのに。勇者なら教会の裏側とかも知ってるだろうし、教会に不満も抱えてそうだから何か話も聞けそうだし・・・)

「あっもうこんな時間ですね。ごめんなさい。楽しくてついつい話し込んじゃいました。今日はララさんに会えて最高の一日でした。もうアルファロードに帰ってしまうのは残念ですが、是非また来てください。来たら絶対会いに来てくださいね。」

「そうだね。でもしばらくは来れないかな。アルファロードで試練の塔の攻略があるし。勇者君はアルファロードに来る事はないの?」

「僕はイプシロンハイから出ないように言われてるんですよ。モンスターウエーブが起これば、応援に行けるかもしれませんが、基本的に教会に監視されてますので。」

「大変だね。アタシも久々に勇者君と話せて楽しかったよ。」

「ララさん・・・よかったら僕と付き合ってくれませんか?」

「それは無理だね。もうそんな何回も言われても無理だよ。それにそんなにしつこいと会いに来ないよ。」

「そんな・・・。わかりました。大人しく帰ります。」

「うん。またねー。」

そういって、勇者ソラマメはクリフ達の元から去って行った。

「ごめんねクリフ。退屈だったでしょ?」

「いやそんな事ないよ。それより、あのソラマメ君だっけ?勇者ってどういう事?それにララと知り合いなのも驚きなんだけど。ていうか知り合いっていうかめちゃくちゃ好かれてるじゃん。勇者と知り合い何てすごいじゃん。教えてくれればよかったのに。」

「いや~。声掛けらえれるまで存在を忘れてたんだよね~。声かけられて、あっそういえばイプシロンハイには勇者君がいたな~って思い出した感じかな。ははは。」

(思い出したくない過去ってヤツなのかな?でも勇者か・・・。調べて見る価値ありそうだな。ちょっと慣れ慣れしいのが気になるけど、アルファロードまでの帰り道にでも色々聞いてみるか。)

そうして、クリフ達はイプシロンハイを離れ、アルファロードへと戻るのだった。
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