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第十章 家族の時間
第336話 ジャンヌとの時間 4
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「さすがはクリフ殿だ。スタンピードが起こったというのに死者を一人も出さずにおさめてしまうとはな。」
「いえいえ運が良かっただけですよ。俺だけじゃどうしても手が足りませんでした。ここの冒険者や公爵の兵士達が頑張ってくれたおかげですよ。」
「クリフがいなければ無理だったわ。ありがとうクリフ。ユーティリアを守ってくれて。」
「当然だよ。ジャンヌの故郷なんだから。でも・・・スタンピードが起きた原因ってエターレインにあるダンジョンに人が集まったからだよな?」
「クリフ殿。それは言ってもしょうがあるまい。よりよい所に行くのは冒険者の性だ。」
「それはそうですが・・・」
「なあにダンジョンへは我が私兵が定期的に行く事で対応するさ。兵士達の鍛錬にもなるし、良い小遣い稼ぎにもなろう。」
「そう言って頂くとありがたいです。」
(俺の所のダンジョンが原因だとすると、同時期に他のダンジョンからも魔物が溢れる可能性がある。ユーティリア以外だったら王都とソフィアの所が危ないか。王都は元々冒険者の数も多いから大丈夫な気もするけど、一応確認しておいた方がいいな。それと力の使い方を練習しないとな。俺がちゃんと力の使い方をわかってたら、魔物の大群をユーティリアの町まで近づかせる事もなかったはずだ。俺の力ならあれぐらいの魔物ならいくら来たって無双できるはずだ。今の俺がそれをするときっと地形を大きく変えてしまう。力を抑えるのは魔道具でどうにかなったけど、今の力をうまく使うのは練習するしかないよな・・・。今回は運よくだれも死者が出なかったけど、次も同じように死者ゼロでやれるかどうかはわからない。死者が少数で済んだとしてもその中に俺の大切な人がいるかもしれないし、死んだ人には誰かしら悲しむ人がいる。そうならない為にも俺ももっとがんばらないとな。)
「ふふふ。クリフ。他のダンジョンが心配なんでしょ?顔に書いてあるわよ。」
「ジャンヌ・・・」
「クリフが優しいのは知ってるからね。お父様。ジャンの事をしばらくお願いできますか?私とクリフは、周辺のダンジョンを見て来ようと思います。ユーティリアはクリフのお陰で大丈夫だったけど、他の町も同じようにスタンピードが起こる可能性があるわ。私達が対処してくるわ。お父様は、警戒するように伝えてほしいの。」
「わかった。ジャンの事は任せなさい。」
「ジャンヌ・・・ありがとう。公爵、助かります。」
「そうと決まれば急ぎましょ。今日と明日の二日あればクリフなら大丈夫でしょ。」
「そうだな。」
(この機会に魔物だけをピンポイントで倒せるような魔法を開発するか。ダンジョン内なら地形が多少変わっても元に戻るから練習の場所としては最適だ。)
「じゃあ早速行きましょ。」
そう言ってジャンヌは両手を広げた。
「え~っともしかして?」
「もちろんよ。来るときは転移魔法と馬車だったしジャンがいたからできなかったけど、今回はそうじゃないでしょ。なら私もクリフに抱っこしてもらいたいわ。」
「ジャンヌ・・・公爵もいるんだぞ・・・」
「いいじゃない。見せつければいいのよ。ついでに領のみんなにも見せつけましょ。その方がみんな安心するわよ。」
「わっはっは。仲が良いな。これは次の子供も期待できそうだな。そうだなジャンヌの言う通り領内を一周して元気な姿を見せてやるのもいいかもしれぬな。ジャンは儂にまかせて行ってこい。」
そうして、クリフとジャンヌはスタンピードを治めたばかりだというのに、他のダンジョンの状態を確認する為にユーティリアの町を出発したのだった。
「本当は私もクリフにお姫様抱っこしてもらいたかったの。ユーティリアの事やジャンの事もあるからなかなか言い出せなかったの。」
「そうなのか?いやまあこれぐらいだったら言ってくれたらいつでもするぞ?」
「みんながいる中で言うのは恥ずかしいのよ。お父様のいる前だけど今回だって勇気を振り絞ったのよ。クリフはこっちから言わないとお姫様抱っこしてくれないってみんなに言われてたから・・・」
「いや・・・そりゃそうだろ。俺だってするのは恥ずかしいんだぞ?」
(なるほど、毎回毎回、両手を広げて抱っこを求めてくるのは妻ネットワークで共有されてるからか。言わないとやらないって言われてもな~・・・さすがに俺から抱っこするのは恥ずかしいし、一人したらみんなしないといけなくなるし・・・。結局全員してるから意味ないのかもしれないけど・・・)
クリフとジャンヌの二人は、ユーティリアを一周した後に近場のダンジョンから順に魔物が大量発生していないか確認していった。ダンジョンについてはクリフが魔物を一掃していく。ある程度一掃できたら次のダンジョンに向かう。を繰り返した。
ちなみにジャンヌはただただ、クリフにお姫様抱っこされて空を移動し、ダンジョンではクリフの後をついて行っただけだった。ジャンヌがいない方がもっとスムーズに対応ができたのは事実だが、今回はジャンヌと二人の時間を過ごす。というのが目的だったので、なるべくジャンヌと話しをして二人の仲を深めて行くのだった。
「いえいえ運が良かっただけですよ。俺だけじゃどうしても手が足りませんでした。ここの冒険者や公爵の兵士達が頑張ってくれたおかげですよ。」
「クリフがいなければ無理だったわ。ありがとうクリフ。ユーティリアを守ってくれて。」
「当然だよ。ジャンヌの故郷なんだから。でも・・・スタンピードが起きた原因ってエターレインにあるダンジョンに人が集まったからだよな?」
「クリフ殿。それは言ってもしょうがあるまい。よりよい所に行くのは冒険者の性だ。」
「それはそうですが・・・」
「なあにダンジョンへは我が私兵が定期的に行く事で対応するさ。兵士達の鍛錬にもなるし、良い小遣い稼ぎにもなろう。」
「そう言って頂くとありがたいです。」
(俺の所のダンジョンが原因だとすると、同時期に他のダンジョンからも魔物が溢れる可能性がある。ユーティリア以外だったら王都とソフィアの所が危ないか。王都は元々冒険者の数も多いから大丈夫な気もするけど、一応確認しておいた方がいいな。それと力の使い方を練習しないとな。俺がちゃんと力の使い方をわかってたら、魔物の大群をユーティリアの町まで近づかせる事もなかったはずだ。俺の力ならあれぐらいの魔物ならいくら来たって無双できるはずだ。今の俺がそれをするときっと地形を大きく変えてしまう。力を抑えるのは魔道具でどうにかなったけど、今の力をうまく使うのは練習するしかないよな・・・。今回は運よくだれも死者が出なかったけど、次も同じように死者ゼロでやれるかどうかはわからない。死者が少数で済んだとしてもその中に俺の大切な人がいるかもしれないし、死んだ人には誰かしら悲しむ人がいる。そうならない為にも俺ももっとがんばらないとな。)
「ふふふ。クリフ。他のダンジョンが心配なんでしょ?顔に書いてあるわよ。」
「ジャンヌ・・・」
「クリフが優しいのは知ってるからね。お父様。ジャンの事をしばらくお願いできますか?私とクリフは、周辺のダンジョンを見て来ようと思います。ユーティリアはクリフのお陰で大丈夫だったけど、他の町も同じようにスタンピードが起こる可能性があるわ。私達が対処してくるわ。お父様は、警戒するように伝えてほしいの。」
「わかった。ジャンの事は任せなさい。」
「ジャンヌ・・・ありがとう。公爵、助かります。」
「そうと決まれば急ぎましょ。今日と明日の二日あればクリフなら大丈夫でしょ。」
「そうだな。」
(この機会に魔物だけをピンポイントで倒せるような魔法を開発するか。ダンジョン内なら地形が多少変わっても元に戻るから練習の場所としては最適だ。)
「じゃあ早速行きましょ。」
そう言ってジャンヌは両手を広げた。
「え~っともしかして?」
「もちろんよ。来るときは転移魔法と馬車だったしジャンがいたからできなかったけど、今回はそうじゃないでしょ。なら私もクリフに抱っこしてもらいたいわ。」
「ジャンヌ・・・公爵もいるんだぞ・・・」
「いいじゃない。見せつければいいのよ。ついでに領のみんなにも見せつけましょ。その方がみんな安心するわよ。」
「わっはっは。仲が良いな。これは次の子供も期待できそうだな。そうだなジャンヌの言う通り領内を一周して元気な姿を見せてやるのもいいかもしれぬな。ジャンは儂にまかせて行ってこい。」
そうして、クリフとジャンヌはスタンピードを治めたばかりだというのに、他のダンジョンの状態を確認する為にユーティリアの町を出発したのだった。
「本当は私もクリフにお姫様抱っこしてもらいたかったの。ユーティリアの事やジャンの事もあるからなかなか言い出せなかったの。」
「そうなのか?いやまあこれぐらいだったら言ってくれたらいつでもするぞ?」
「みんながいる中で言うのは恥ずかしいのよ。お父様のいる前だけど今回だって勇気を振り絞ったのよ。クリフはこっちから言わないとお姫様抱っこしてくれないってみんなに言われてたから・・・」
「いや・・・そりゃそうだろ。俺だってするのは恥ずかしいんだぞ?」
(なるほど、毎回毎回、両手を広げて抱っこを求めてくるのは妻ネットワークで共有されてるからか。言わないとやらないって言われてもな~・・・さすがに俺から抱っこするのは恥ずかしいし、一人したらみんなしないといけなくなるし・・・。結局全員してるから意味ないのかもしれないけど・・・)
クリフとジャンヌの二人は、ユーティリアを一周した後に近場のダンジョンから順に魔物が大量発生していないか確認していった。ダンジョンについてはクリフが魔物を一掃していく。ある程度一掃できたら次のダンジョンに向かう。を繰り返した。
ちなみにジャンヌはただただ、クリフにお姫様抱っこされて空を移動し、ダンジョンではクリフの後をついて行っただけだった。ジャンヌがいない方がもっとスムーズに対応ができたのは事実だが、今回はジャンヌと二人の時間を過ごす。というのが目的だったので、なるべくジャンヌと話しをして二人の仲を深めて行くのだった。
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