248 / 283
第十章 家族の時間
第335話 ジャンヌとの時間 3
しおりを挟む
ジャンヌとジャンと共にユーティリアへとのんびり里帰りしていたクリフの元に飛び込んで来たのは、スタンピードという言葉だった。
「スタンピードだと!?どこからだ?」
「はい。西から大量の魔物がこちらに向かってるという事です。西からなので、おそらくですがダンジョンからあふれ出したのだと思われます。」
「ダンジョンか・・・なるほど・・・たしかに、それはありえるか・・・」
「公爵。どういう事ですか?」
「クリフ殿・・・いやなんというかな・・・」
「はっきり言わないとわからないわお父様。どういう事?」
「実はな、エターレインのダンジョンに行くものがここの所増えているのじゃ。その為、西にあるダンジョンへ行く者が少なくなっていたんじゃ。ダンジョンは魔物を生み出す。定期的に魔物を倒さないと、その数はダンジョン内から溢れ地上に出る。それがスタンピードじゃ。今までこんな事はなかったんじゃがな。」
「それって・・・」
(まじか・・・。エターレインが発展した弊害がこんな所にも出てるって事か。確かに俺の所のダンジョンは他とは違うし、他所から人を集める為に人気が出るように色々改良した。って事はスタンピードの原因は俺の精って事か。これは俺が何としても治めないといけないな。)
「公爵。俺が行って止めてきます。俺なら飛んで移動できるので、発生した所まですぐに行けます。」
「じゃが、クリフ殿にそこまでしてもらう訳には・・・」
「お父様。話を聞けば、原因はエターレインにもあります。丁度良く私達がいてよかった。逆にいない間にスタンピードで被害が甚大ともなれば眼も当てられませんわ。」
「たしかにジャンヌの言う通りだ。公爵お願いします。俺に行かせてください。」
「・・・わかった。クリフ殿。領民を頼む。スタンピードを止めてくれ。」
「わかりました。ジャンヌはここでユーティリアの町を守ってくれ。俺は西に向かってスタンピードを止めてくる。」
「わかったわ。クリフの事だから大丈夫だとは思うけど気を付けてね。」
「もちろん。魔物の100や200なら全然問題ないよ。」
(問題は、魔物以外を傷つけずに対処しないといけない所だな。魔物だけがいるなら大規模魔法で一発だけど、すでにこっちに向かってるって事は、冒険者達が対処してるだろうし・・・)
クリフは、ユーティリアの町をジャンヌにまかせ西に向かった。
(考えないようにしてたけど、俺の領が栄えれば他の領に問題が起こる可能性はあるよな。人の問題は迷惑にならない様に孤児だったり、奴隷とかを中心に考えてたけど、よくよく考えたら人口が増えれば減る所もある。それは領主にとっては収入に直結するから問題も起きるか・・・。努力してない所が衰退していくのは当然なんだろうけど、その辺はセリーヌ達に一度相談した方がいいな。直近ダンジョンが近くにある街は俺がダンジョンに行って魔物を間引きしてもいいかもな。それぐらいで解決するなら簡単だしな。)
クリフが西に向かうと、すぐに魔物の集団を発見した。
「いた。多いな・・・1000?いやもっといるか。あんな波に飲み込まれたら一たまりもないな。このまま進んだら一時間後にはユーティリアにぶつかるって感じか。さてどうしようか・・・」
クリフは目の前に広がる魔物の大群を見て、どうして対処しようか考えていた。
「魔物と戦ってる人はいないみたいだな。って事は、街の前で防波堤を築いて対処する感じか。でもこのままじゃユーティリアに直撃だよな~。魔法を使えば移動先を変える事はできるか・・・さすがに量が量だから全滅させるのは難しいかもしれないし、前方に大きな穴を開けて移動先を制限していくか。ユーティリアにだって頼りになる冒険者はいるだろうし、公爵の私兵だっているだろう。多少はそっちに任せるとして俺は俺にできる事をやるか。そうと決まれば。」
クリフは魔物の大群に向けて魔法を放ち数を減らしていく。その間に魔物がユーティリアに近づかない様に大きな穴を開けて、土を盛って壁を作り魔物が町に近づけない様に地形を変えていった。クリフが魔法を使っても、一瞬魔物の数が減るだけでその後ろから次々と魔物が押し寄せてきた。クリフが穴をあけて魔物が進めない様にした所で、魔物は穴の中に落ちていくが、そんな事気にしないと言わんばかりに魔物はドンドン穴の中に落ちて行った。
「落ちた屍を越えて行こうと考えてるんだろうけど、そうは行かないよ。穴は相当深くしたからな。そんなテンプレは発動させないよ。」
魔物も知性があるのか、穴から先に進めないとわかると穴を避けようと移動し出した。
「よしよし。これで移動先は変えれたぞ。後は少しでも魔物の数を減らして行けば大丈夫か?いや元々はダンジョンから溢れたって言ってたからこのまま魔物を減らしながらダンジョンの魔物をどうにかしないと終わらないか・・・」
その後、クリフは魔物を減らしながらダンジョンに向かい、ダンジョン内にいる魔物を倒して行った。ダンジョン内は通路もそれほど広くない為、クリフだけで魔物の対処ができた。
ダンジョン内の魔物を一掃したクリフは、ユーティリアに戻って行く。ユーティリアまでの道のりに魔物の大群はいなかった。ユーティリアが見えると魔物と冒険者達が戦闘をしていたが、魔物の数はみるみるうちに減っていった。
「あれぐらいなら大丈夫そうだな。よしなんとか被害は最小に抑えられたな。けっこう魔法を使ったから疲れたけど、被害があまりなさそうで一安心だ。」
こうして、ユーティリアを襲ったスタンピードはクリフの活躍によっておさまったのだった。
「スタンピードだと!?どこからだ?」
「はい。西から大量の魔物がこちらに向かってるという事です。西からなので、おそらくですがダンジョンからあふれ出したのだと思われます。」
「ダンジョンか・・・なるほど・・・たしかに、それはありえるか・・・」
「公爵。どういう事ですか?」
「クリフ殿・・・いやなんというかな・・・」
「はっきり言わないとわからないわお父様。どういう事?」
「実はな、エターレインのダンジョンに行くものがここの所増えているのじゃ。その為、西にあるダンジョンへ行く者が少なくなっていたんじゃ。ダンジョンは魔物を生み出す。定期的に魔物を倒さないと、その数はダンジョン内から溢れ地上に出る。それがスタンピードじゃ。今までこんな事はなかったんじゃがな。」
「それって・・・」
(まじか・・・。エターレインが発展した弊害がこんな所にも出てるって事か。確かに俺の所のダンジョンは他とは違うし、他所から人を集める為に人気が出るように色々改良した。って事はスタンピードの原因は俺の精って事か。これは俺が何としても治めないといけないな。)
「公爵。俺が行って止めてきます。俺なら飛んで移動できるので、発生した所まですぐに行けます。」
「じゃが、クリフ殿にそこまでしてもらう訳には・・・」
「お父様。話を聞けば、原因はエターレインにもあります。丁度良く私達がいてよかった。逆にいない間にスタンピードで被害が甚大ともなれば眼も当てられませんわ。」
「たしかにジャンヌの言う通りだ。公爵お願いします。俺に行かせてください。」
「・・・わかった。クリフ殿。領民を頼む。スタンピードを止めてくれ。」
「わかりました。ジャンヌはここでユーティリアの町を守ってくれ。俺は西に向かってスタンピードを止めてくる。」
「わかったわ。クリフの事だから大丈夫だとは思うけど気を付けてね。」
「もちろん。魔物の100や200なら全然問題ないよ。」
(問題は、魔物以外を傷つけずに対処しないといけない所だな。魔物だけがいるなら大規模魔法で一発だけど、すでにこっちに向かってるって事は、冒険者達が対処してるだろうし・・・)
クリフは、ユーティリアの町をジャンヌにまかせ西に向かった。
(考えないようにしてたけど、俺の領が栄えれば他の領に問題が起こる可能性はあるよな。人の問題は迷惑にならない様に孤児だったり、奴隷とかを中心に考えてたけど、よくよく考えたら人口が増えれば減る所もある。それは領主にとっては収入に直結するから問題も起きるか・・・。努力してない所が衰退していくのは当然なんだろうけど、その辺はセリーヌ達に一度相談した方がいいな。直近ダンジョンが近くにある街は俺がダンジョンに行って魔物を間引きしてもいいかもな。それぐらいで解決するなら簡単だしな。)
クリフが西に向かうと、すぐに魔物の集団を発見した。
「いた。多いな・・・1000?いやもっといるか。あんな波に飲み込まれたら一たまりもないな。このまま進んだら一時間後にはユーティリアにぶつかるって感じか。さてどうしようか・・・」
クリフは目の前に広がる魔物の大群を見て、どうして対処しようか考えていた。
「魔物と戦ってる人はいないみたいだな。って事は、街の前で防波堤を築いて対処する感じか。でもこのままじゃユーティリアに直撃だよな~。魔法を使えば移動先を変える事はできるか・・・さすがに量が量だから全滅させるのは難しいかもしれないし、前方に大きな穴を開けて移動先を制限していくか。ユーティリアにだって頼りになる冒険者はいるだろうし、公爵の私兵だっているだろう。多少はそっちに任せるとして俺は俺にできる事をやるか。そうと決まれば。」
クリフは魔物の大群に向けて魔法を放ち数を減らしていく。その間に魔物がユーティリアに近づかない様に大きな穴を開けて、土を盛って壁を作り魔物が町に近づけない様に地形を変えていった。クリフが魔法を使っても、一瞬魔物の数が減るだけでその後ろから次々と魔物が押し寄せてきた。クリフが穴をあけて魔物が進めない様にした所で、魔物は穴の中に落ちていくが、そんな事気にしないと言わんばかりに魔物はドンドン穴の中に落ちて行った。
「落ちた屍を越えて行こうと考えてるんだろうけど、そうは行かないよ。穴は相当深くしたからな。そんなテンプレは発動させないよ。」
魔物も知性があるのか、穴から先に進めないとわかると穴を避けようと移動し出した。
「よしよし。これで移動先は変えれたぞ。後は少しでも魔物の数を減らして行けば大丈夫か?いや元々はダンジョンから溢れたって言ってたからこのまま魔物を減らしながらダンジョンの魔物をどうにかしないと終わらないか・・・」
その後、クリフは魔物を減らしながらダンジョンに向かい、ダンジョン内にいる魔物を倒して行った。ダンジョン内は通路もそれほど広くない為、クリフだけで魔物の対処ができた。
ダンジョン内の魔物を一掃したクリフは、ユーティリアに戻って行く。ユーティリアまでの道のりに魔物の大群はいなかった。ユーティリアが見えると魔物と冒険者達が戦闘をしていたが、魔物の数はみるみるうちに減っていった。
「あれぐらいなら大丈夫そうだな。よしなんとか被害は最小に抑えられたな。けっこう魔法を使ったから疲れたけど、被害があまりなさそうで一安心だ。」
こうして、ユーティリアを襲ったスタンピードはクリフの活躍によっておさまったのだった。
22
お気に入りに追加
4,427
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。
なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。
そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。
そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。
彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。
それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。
udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。
他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。
その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。
教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。
まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。
シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。
★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ)
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。