上 下
234 / 283
第十章 家族の時間

第321話 グランとの時間 5

しおりを挟む
「なんか陽気なおっさんだったな。」

「アイツとは元々仲が良かったからな。我もアイツが我の島から仲間達を捕まえてるとは思ってはいなかったからな。」

オーク族の城へ向かったクリフ達は、そこで魔王オーキンに出会った。身長は5mを超える巨体で人型化した姿は、巨大なドワーフ?と思わすほどの人物だった。髭もじゃで斧や槌が似合いそうなおっさんで武器の代わりに酒瓶を持っていた。

グランとオーキンは仲が良いのか、開口一番グランがオーク族が島でスライムを捕まえようとしていた事を伝えた。オーキンはその事を知らなかったのかすぐに側近に内容を確認し、首謀者を突き止めた。

すると、オーキンは激怒してその側近を近くにあった巨大な斧で一閃し殺したのだ。その光景をただただ見つめていたクリフだったが、その後オーキンはグランに謝罪した。

クリフは魔王というぐらいだから全面戦争もありえるかもと思っていたので、ほっとしていた。エメラルドはオーキンの姿に震えていたがクリフの印象は、豪快なおっさんだった。

謝罪を受け入れた後は、グランがクリフを紹介し、祝い酒だとオーキンが酒席を開きクリフはオーキンに浴びる程酒を飲まされた。オーク族は酒が好きなようでクリフは、オーキンから次々に渡される酒を飲みながらオークとドワーフって親戚かもしれないと本気で思ったのだった。

酒席が終わり、エメラルドが魔王になる事を伝えクリフ達はオーキンの元を去っていた。

「他の魔王もオーキンみたいな奴らなのか?」

「いやそう言う訳ではないな。我もオーキン以外はあまり交流もないからわからぬな。オーキンとは島も近いからのぉ。それより泊まっていかないくてよかったのか?」

「ああ、長居したらそれだけ酒を飲まされそうだからな。俺にはオークって言うよりドワーフにしか見えなかったよ。あれなら地上に出てもうまくやっていくんじゃないのか?」

「そうじゃな。正直我のスライム族とオーキンのオーク族は人族達ともうまくやっていける可能性はあるな。じゃがマスターもしっておるじゃろうが、魔物は討伐するべき敵という印象がどうしても人族の中にはあるからのぉ。しかも大勢がそう思っておる。それに今のままでも我達は十分生きていけているから十分じゃ。」

「姉様の言う通りだ。アタシ達はあの島があれば何もいらない。やはり他の場所は危険が多いからな。だが興味があって地上に降り立り他の島にいく仲間達がいるのも現実だ。そこまでは自己責任だから何も言えないがな。」

(なるほどな。まあそりゃそうか。スライム族にしたって生まれた島でずっといたい個体もいれば地上や他の島にあこがれを持つ個体だっているよな~。その辺は自己責任・・・まあ普通か。)

「なるほどな。それで?これからどうするんだ?他の魔王達の元へ行くのか?」

「いや一度戻るのじゃ。オーキンにも言われたが、捕まえたオークを処分しなければならぬしな。それに・・・オーキンとは友好的に話せるが他の魔王は同じようにいかぬかもしれぬ。」

「そう言えばオーキン以外はあまり交流がないって言ってたな?同じように行かないっていうのはやっぱり乗り込んだら戦闘もあり得るって事か?」

「姉様はけっこう自由だったからな。他の魔王のいる島にも自由に出歩いていてよく問題を起こしていたからな。姉様が他の魔王の元へ向かって戦いが始まるとその余波を受けるのはそこに住んでいる種族だ。姉様は自分の島で戦わずに他所の魔王の所へ行ってたからな。苦情殺到だったよ。姉様がいなくなってそれがなくなったから他の魔王は安心していたかもしれないな。」

「そうなのか?」

「我と戦えるのは他の魔王ぐらいじゃったからな。ドラキンとは一度戦い始めると10日はぶっ通して戦う事もあったぞ。」

(なるほどグランが居なくなった事を悲しんだ人もいれば、喜んだ人もいるって事か。そりゃそうだよな仮に俺とグランがエターレイン領で戦うなんて事になったらそこに住む人達は迷惑以外の何物でもないもんな。たしかにグランは、召喚した時は優雅独尊って感じの性格だったわ。となると他の魔王の所に行くと恨まれてる可能性が高いな。魔王交代は歓迎されるだろうけど、損害賠償とか言われる可能性もあるんじゃ・・・。グランとエメラルドの為に穏便には済ましたいから協力はするけど、結構気が重いな。)

「わかった。ならとりあえずその辺を詳しく教えてもらってから次にどの魔王の元へ向かうか決めるか。あと5人だろ?毎日1人の魔王に会うとして5日だろ?その間にエターレインとの転移魔法陣も考えるか。」

「そうじゃな。島までなら我の転移魔法でも行く事ができが、どうせなら今日のようにマスターと移動したいからのぉ。それを考えると一日一魔王が丁度良いか。エメラルドもそれで良いかのぉ?」

「もちろんよ。」

7人の魔王の内の一人、オーク族のオーキンへの魔王交代の連絡を無事に終わらせたクリフ達は、スライム城へと戻って行った。その後、明日行く場所をラミア族のいる島へと決めたクリフは、エターレイン領との転移魔法陣を作る為、夜遅くまでグランとイチャイチャしながら魔法の改良をしていくのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

異世界を満喫します~愛し子は最強の幼女

かなかな
ファンタジー
異世界に突然やって来たんだけど…私これからどうなるの〜〜!? もふもふに妖精に…神まで!? しかも、愛し子‼︎ これは異世界に突然やってきた幼女の話 ゆっくりやってきますー

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。