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第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?

第278話 魔王を助ける?助けない?

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「セリーヌ、グラン。ただいま。」

「クリフ様お帰りなさい。」
「マスターよ。お帰りなのじゃ。」

「ユイとリンティアとは仲良くやれてるみたいだね。安心したよ。」

「ええ。4人で楽しくおしゃべりしてました。」

「クリフさん。改めて・・・ユイ達を助けてくれてありがとうございます。」

「うん。まあリンティアは知らない仲じゃなかったからね。俺は魔族だからって差別したりはしないから安心してくれていいよ。だけど、なんであんな所にいたのかは教えてもらっていいかな。」

「それは私が話そう。クリフ殿。ユイ様を助けてもらって感謝する。それで・・・話はここですれば良いのか?」

「クリフ様?皆を呼びましょうか?」

「そうだな。一緒に話を聞いてもらったほうがいい。セリーヌお願いできるか。」

「わかりました。では軽く食事でもしながら話をしましょうか。会議室に食事を持ってくるように伝えておきます。」

「助かるよ。」

「マスター。我も呼びに行ってくるぞ。」

「わかった。」

セリーヌとグランが、部屋から出て、クリフはユイとリンティアに話しかけた。

「ユイもリンティアもそれでいいか?正直言うとまだどうこうするか決まってるわけじゃない。が、できる限り協力してあげたいと俺は思ってる。まあ嫁達が反対すればわからないけどね。それに食事もまだだろう?」

「クリフ殿・・・感謝する。」

☆☆☆

クリフとセリーヌ、嫁達全員が集まったので、ユイとリンティアがなぜ魔の森にいたのか説明が始まった。話を全てまとめると・・・

ユイは魔国の魔王という事。
力がない魔王は魔国には相応しくないと、殺されかけた事。
味方が転移魔法で逃がしてくれて、その先が魔の森だった事。

という事だった。

セリーヌ達は魔族という事は会った時からわかっていたが、さすがに魔王という事に驚いていた。

「クリフ殿。無茶を承知でお願いする。ユイ様を助けてくれ。クリフ殿が手に入れた魔王様の核があっただろう。あれをユイ様に使ってくれないか。そうすればフォルカス様も魔国も助ける事ができる。」

「それは・・・」

魔王の核とは、魔王の力を封じた宝玉の事で、勇者が現れた時に創造神が帝国のダンジョンの底に封印していたモノだ。魔族に渡れば魔王が力を取りもどし、世界を破滅に導くと言われており、魔族より先にクリフが手に入れて保管していた。

(たしかに魔王の核は俺が持ってる。だけど、あれはさすがに駄目だ。たしかに魔王が力を取り戻したらリンティアが言うように、魔国に戻って反乱を収める事はできるだろう。だけど反乱が収まった後は?きっと王国や帝国、聖国を攻めるだろう。そんなリスクは負えない。)

「リンティア。それはできないわ。そもそも私達は魔王は世界を破滅に導く存在だって言われてるわ。今のユイを見て、そんな事するとは思えないけど、魔王の核を手に入れたらそうなるかもしれない。だからそれは無理よ。」

クリフが思っていたことをナリアがリンティアに伝えた。

「そんな・・・」

「ユイ。ナリアは帝国の皇女だったんだ。魔族が帝国に攻めたのをユイは知ってるか?帝国だけじゃない王国も魔族が何度か攻めてきた。魔物を引き連れてな。その時には少なくない犠牲が出ている。その事をユイは知ってるのか?」

(少なくともユイの指示で他国を攻めてるなら、助ける話は無しだ。普段は他国を攻めていて具合が悪いから助けてくれでは都合が良すぎるからな。)

「リンティア。それは本当なの?」

「ユイ様・・・それは・・・」

(ユイは何も知らないのか?伝えられてない?なんか肩書きだけ持った傀儡の王様みたいだな。幼くて何もしらないけど、血筋が良いから王には据えるけど、実務は全く知らない。みたいな。)

「リンティアは知ってるのですね。そうですか・・・。いえ、知らなかった。知らされていなかったユイが悪いのかもしれません。ユイ達魔族がどういった種族で、過去どのような事をしたのかは書物を読んで知っています。ユイは魔国を平和な国にしたかった。争う事のない国に・・・ユイには力はありませんが、フォルダー、フォルカスが中心となって、そういう国にしていけると思ってましたが、どうやらユイが思っていただけみたいですね。」

「ユイ様・・・」

「リンティア。こちらが先に相手を殺しておいて、こちらが危ないからと相手に助けてほしいとは都合が良すぎます。そしてそんな事するわけがないことも。」

「ユイの方がわかってるな。リンティアそういう事だ。」

「そんな・・・ではフォルカス様やみんなは・・・」

(さてどうするか・・・ユイに魔王の核を渡さないとは言ったが、魔国がそんな状況なら、これから王国や帝国、聖国を攻めてくるのは目に見えてる。今攻められてる訳じゃないからこっちから攻める訳にはいかないけど、攻められた時に備える必要はあるだろう。ユイが力を持たないまま魔国を治める事ができれば攻められる事はなくなるか?ならユイとリンティアを連れて魔国に行ってみるのもいいかもしれないな。)

「クリフさん。ユイを奴隷にしてください。魔王の核で力を取り戻してもユイがクリフさんの奴隷なら、魔国の騒動が収まっても他国を襲うことはありません。これならクリフさんも安心でしょう。」

協力できないと落胆する魔王ユイから出た言葉はその場が驚きに包まれる一言だった。
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