上 下
138 / 283
第七章 帝国へ ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ ~

第225話 奈落の底ダンジョン攻略

しおりを挟む
クリフの目の前には魔族との対戦の結果が映し出されていた。

先鋒 ナリア  対 パーシル  ・・・勝者パーシル
次鋒 ユーナ  対 キャンティ ・・・勝者ユーナ
中堅 セリーヌ 対 ディアン  ・・・勝者ディアン
副将 パイン  対 リンティア ・・・勝者パイン
大将 クリフ  対 フォルカス ・・・勝者クリフ

クリフチーム3勝、フォルカスチーム2勝

「やったなクリフ。」

「ああ。運もよかったよ。パインありがとう。」

「そうね。パインがいなかったら負けてたかもしれないわね。」

団体戦に勝利したクリフ達はなごやかムードだ。

対して・・・

敗れた魔族チームはどんよりとしたムードになっていた。

「フォルカス様・・・すいません。」

「フォルカス様、こうやったら今から奴らを殺してでも。」

「やめろ。俺達は負けたんだ。一度勝負の提案をうけて納得した以上、負けは負けだ。」

(へぇ~。フォルカスってヤツ、意外に紳士なんだな。魔族ってだけで残虐な感じを想像してたから意外だな。まあたしかに何人かの魔族は話がわかる感じがしたけど。)

クリフは魔族達の話を聞いていた。それは魔族から襲われるかもしれないと警戒していたからだ。団体戦が終わっても襲ってきたり、反則だ。などとイチャモンをつけてくる可能性を考えていたからだ。

現にクリフは何度もそういった事を経験してきた。相手は悪徳貴族だったり元勇者だったりしたが・・・

『それじゃ敗者は強制退場ね~。』

遊戯神キューブがそういうと、魔族達はその場から消えた。

「キューブ様・・・今のは?」

『ああ。魔族達は強制的に魔国に返したよ。外に出すと帝国にちょっかいかけるかもしれないからね。まあ敗者は強制退場ってゲームのお約束でしょ。』

(ここから魔国まで転移させたのか・・・さすが神様だな。だけどフォルカスか・・・。やけになって帝国を攻めてくるとは思えないが今後の魔国は動きを注意しておかないとな。)

「ありがとうございます。」

『じゃあ勝者のクリフ君には約束通り魔王の核を進呈するよ~』

遊戯神キューブの手元には、ここにきた時に見た黒い球が握られている。大きさはバレーボールぐらいか。真っ黒だった。

「ありがとうございます。」

『それはクリフの君の自由いしていいよ。魔王に渡すなり、自分で保管するなり好きにしてね。あっ壊すのはダメだよ。何が起こるかわからないからね。って言っても壊す事は出来ないんだけどね。』

クリフは遊戯神キューブより、魔王の核を受け取り、アイテムボックスにしまった。

(ようやく魔王の核を手に入れたな。帝国の事も心配だったけどキューブ様が魔族達を魔国に転移させてくれたからしばらくは安心・・・でもないか。俺が魔王の核を持ってる事は魔族達も知ってるもんな。もしかしたら手に入れる為に又襲ってくる可能性も考えられるか・・・フォルカスは転移も使えたし、魔国から帝国に転移してくる可能性も・・・いやアイツならそんな馬鹿はしないか・・・でも他の魔族がくる事も考えられるし・・・)

「ありがとうございます。キューブ様、これで奈落の底ダンジョンは攻略になるんでしょうか?」

『そうだね。僕の試練をクリアしたから見事、神々の試練、いや奈落の底ダンジョンだったね。攻略だよ~。ちなみに魔王の核はじいちゃんが置いただけだから、ダンジョン攻略の報酬があるよ。何がいい?』

「「「「「えっ!?」」」」」

『だってダンジョン攻略に報酬がなかったら誰もダンジョンにチャレンジしないでしょ。当然じゃん。』

「何がいい?っていうのはどういう事ですか?報酬は決まってないのですか?」

『だいたいは決まってるよ。ここ以外ならボスを倒したら宝箱が出てくるのが定番かな。でも僕は神だし何でもできるからね。団体戦は楽しませてもらったし言ってくれれば可能な事なら叶えるよ。』

「クリフ様・・・どうしましょうか?」

「クリフさん・・・」

「クリフ。」

クリフがセリーヌ達と報酬をどうするか話合っていると、パインがキューブの元に行き、クリフに話掛けた。

「それじゃ、俺はここまでだな。どんな報酬をもらうかはクリフ達で話し合って決めてくれ。俺はここから出られないし、最後の試練を手伝っただけだからな。それに俺はクリフからエバを貸してもらったからそれだけで十分だ。」

「パイン・・・」

「楽しかったぜクリフ、ナリア、セリーヌ、ユーナ。なんか3大国交流戦を思い出したぜ。まさか一緒のチームになって戦うとは思ってなかったけどな。」

「そうだな。俺もパインと一緒に戦う事がある日がくるなんて思わなかったよ。でも楽しかった。」

クリフとパインは固い握手を交わした。パインだけじゃない、セリーヌもユーナもナリアもパインと握手を交わす。

「クリフ・・・」

「うん。」

(そうだよな。みんな多分考えてる事は一緒か・・・)

「キューブ様。報酬の件ですが、可能ならパインを一緒に連れて行く事はできないでしょうか?」

「クリフ!?」

『パイン君を?そうだね~。う~んどうだろ・・・でもそれで本当にいいの?」

「クリフ?折角キューブ様が叶えてくれるって言うんだ。他の願いの方がいいだろ?」

「いやパイン。これは俺だけじゃなくてみんなの意見だよ。」

「お前ら・・・」

パインがクリフ、セリーヌ、ユーナ、ナリアの顔を見ると、全員が首を縦に振った。

「キューブ様。かまいません。パインを一緒に連れて帰らせてください。」

『わかったよ。ちょっとじいちゃんに聞いて見るね。』





『クリフ君。条件付きだけどここからパイン君を出してあげる事ができるみたいだよ。よかったね。』

「本当ですか!?ありがとうございます。」

『だけど条件があるからね。それでその条件って言うのは、パイン君が死んだらこのダンジョンを管理してもらうよ。』

「ダンジョンを管理・・・ですか?」

『そうだよ。このダンジョンは攻略されちゃったからね。僕は僕で新しいダンジョンを考えたかったから新しく管理できる人がほしかったんだ。人間の寿命って100年ぐらいでしょ?だからパイン君は死んだらここの管理人として過ごしてほしい。』

(よくわからないけど・・・生き返らせてくれるって事だよな???。死んだら今と同じようにダンジョンから出られないって事?でも死んだ後の事だろ?)

『パイン君はそれでいい?』

「もちろんです。地上に出れるなら何でもいいですよ俺は。生き返るって事ですよね?」

『厳密にいえば生き返るのとは違うんだけどね。まああまり変わらないからその意識で大丈夫だよ。』

「なら何も問題ありません。」

『わかった。今回の報酬はそれにするね。僕はしばらくこのダンジョンをいじってるから興味があったら又来てね。じゃあ全員を外まで送るね』

そう言ってクリフ達を光が包み、気づけば全員がダンジョンの入り口に立っていた。もちろんパインも一緒だ。

「パイン。よかったな。」

「ありがとうクリフ。みんな」

そうして、クリフ達は無事に奈落の底ダンジョンを攻略したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。 そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。 そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。 彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。 それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。 他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。 その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。 教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。 まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。 シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。 ★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ) 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。