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第七章 帝国へ ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ ~
第223話 中堅戦が終わり2勝したのは・・・
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『それじゃ先鋒戦ナリア対パーシル始め』
遊戯神キューブの合図とともに試合が始まった。そう試合だ。死合ではない。相手が魔族と言えど審判は神が務めている。降参すれば命が奪われる事はないのだ。
ナリアは槍を構える。一方のパーシルは武器を持っていない。いや正確には爪が長いのでそれが武器なのかもしれない。後は翼があるから空を飛ぶこともできるだろう。魔族は全員武器を持っていなかった。
「パイン?魔族達は魔法メインで戦うの?武器とか持ってないけど?」
「そうだな。基本は魔法だったな。たぶん接近戦は拳を使うんじゃないか?」
「ナリアには相性が悪いな・・・」
ナリアは槍を構え接近戦に持ち込もうとするが、魔族は距離を取りひたすら魔法を放ってくる。時には空に移動しながら・・・
クリフの予想通り、ナリアとは相性が悪かった。ナリアは魔族の攻撃を避けていたが避けきれない魔法を喰らい、徐々に形成は不利になっていた。
ナリアは最後まで勝利の為に行動を続けたが、最後はクリフの「もういいから降参して」の声に従いナリアは降参したのだった。
『それまで。勝者パーシル』
(ナリア・・・。よっぽど勝ちたかったんだな。勝敗は見えてたから俺にはこれ以上ナリアが傷つくのが見てられなかったよ。後でちゃんとフォローしておかないと。)
「クリフ。ナリアの気持ちもわかってやれよ。」
「もちろんだよ。それにしてもちょっと意外だったよ。魔族なら問答無用で殺しに来るとおもったけどそうじゃなかったからね。」
「ああそれな。多分キューブ様が魔族達に何か言ったんだろ?変な事したら失格にするぞ。とか最悪殺すよ。とかな。」
「なるほど。」
「キューブ様は遊戯神だからな。おもしろい事に興味があるんだ。この団体戦だってそれが目的だろ?楽しめればそれでいいんだと思うぞ。水を差す行為を嫌うからな。」
「よく知ってるね。」
「クリフ達よりもキューブ様との付き合いは長いからな。」
クリフ達とは対照に、魔族達は笑い合いながらハイタッチしていた。
「これも意外だったけど魔族達にも友情とか協力し合うって気持ちがあるんだね。」
「ああ。あれは俺も意外だったな。もしかして魔国には良い魔族とかもいるのかもしれないな。」
(たしかに魔王が実は良い人でしたって異世界テンプレも多いもんな。魔王は敵って思ってたけど魔王の核を手に入れたら一度魔国に行ってみるのもいいかも。)
『それじゃ次鋒戦始めるよ~。出場者はステージにきてね~。』
「クリフさん。ナリアさんの分も私が頑張ります。」
「ユーナ・・・ユーナはどちらかと言えば支援タイプだ。正直ナリアよりも厳しいと思う。ナリアのようにがんばってくれるのはうれしいけど、無理だと思ったら早めに降参してほしい。」
「・・・わかりました。」
『それじゃ次鋒戦ユーナ対キャンティ始め。』
「あんた聖女だろ?アタシも魔国の中じゃ癒しの姫ってよばれてるんだ。いい試合をしようじゃないか。」
「ええ。負けませんよ。」
ユーナとキャンティの試合は先ほどと同じようにキャンティが距離を取ってひたすら魔法で攻撃してきた。先ほどとの違いはユーナが避けるのではなく結界魔法を使ってキャンティの魔法を全て防いでいた所だ。
ユーナは冷静にキャンティの魔法を防御しながら、隙を見て光魔法で攻撃をしていった。魔族にとって光魔法は弱点属性なのかユーナの攻撃を、キャンティは苦手にしているように見えた。
「やっぱり魔族って光属性が弱点なのかな?」
「ああ。キャンティの動きを見る限りじゃそんな感じだな。」
「それなら俺のランとパインのエバがあれば俺達の勝ちは確実っぽいね。」
「クリフ。そうとも限らないぞ。俺は90階層でエバを使って戦ったんだ。だけどフォルカスなんかはあまり脅威には感じてなかったように思うぞ。」
「そうなの?」
「ああ。」
(魔族全部が光属性が弱点とは限らないって事か。キャンティがたまたま光属性が弱点って事かな。癒しの姫って言ってたし自分を回復してる魔法も闇魔法のダークヒールだしそれでかな。)
試合はお互いが攻め手にかける内容だった。どちらも回復魔法を得意としているので傷ついても瞬時に回復していたからだ。だがそんな流れもいきなり終わりを迎えた。
キャンティが降参を宣言したのだ。
理由は簡単だった。何度も魔法を使って魔力が尽きたのだ。終わってみれば納得の理由だ。ユーナは初戦に魔族が魔法を連発するのを見て、長期戦で魔族の魔力を削る作戦だったのだ。
『それまで。勝者ユーナ。』
「ユーナ。作戦勝ちだね。」
「ナリアさんのおかげですね。先鋒戦で魔族の攻撃を直接見れましたから。」
「ありがとう。ユーナ。」
「これでどちらも1勝だ。残り2勝。ユーナのおかげで楽にはなったな。」
・
・
・
続く中堅戦、セリーヌとディアンの試合は、ディアンの勝利に終わった。魔族側の次鋒戦で魔力切れで負けたのを見て、作戦を変えてきたのだ。
同じように魔法を連発してくれていればセリーヌが防御を固め勝てたが、魔物と違って魔族は考えて行動していた。遠距離に近距離と距離を変えながら攻撃してきたのだ。
魔物相手なら、この奈落の底ダンジョンでだいぶ経験が詰めたのだが、対人戦は元々お姫様のセリーヌは圧倒的に経験が足りなかった。経験の差が出た形だ。
『これでクリフ君側が1勝。フォルカス君側が2勝だよ。今日はもう時間が遅いから副将戦と大将戦は明日にするね。今日はゆっくり休んでね~それじゃあ。』
遊戯神キューブはそう言って消えていった。いきなりの翌日宣言に戸惑うクリフ達とフォルカス達。
だがお互い一言も発する事なく、離れていった。クリフ達はいつものコテージを出して中に入り、魔族側もどこからコテージのようなモノを出して中に入って行ったのだった。
遊戯神キューブの合図とともに試合が始まった。そう試合だ。死合ではない。相手が魔族と言えど審判は神が務めている。降参すれば命が奪われる事はないのだ。
ナリアは槍を構える。一方のパーシルは武器を持っていない。いや正確には爪が長いのでそれが武器なのかもしれない。後は翼があるから空を飛ぶこともできるだろう。魔族は全員武器を持っていなかった。
「パイン?魔族達は魔法メインで戦うの?武器とか持ってないけど?」
「そうだな。基本は魔法だったな。たぶん接近戦は拳を使うんじゃないか?」
「ナリアには相性が悪いな・・・」
ナリアは槍を構え接近戦に持ち込もうとするが、魔族は距離を取りひたすら魔法を放ってくる。時には空に移動しながら・・・
クリフの予想通り、ナリアとは相性が悪かった。ナリアは魔族の攻撃を避けていたが避けきれない魔法を喰らい、徐々に形成は不利になっていた。
ナリアは最後まで勝利の為に行動を続けたが、最後はクリフの「もういいから降参して」の声に従いナリアは降参したのだった。
『それまで。勝者パーシル』
(ナリア・・・。よっぽど勝ちたかったんだな。勝敗は見えてたから俺にはこれ以上ナリアが傷つくのが見てられなかったよ。後でちゃんとフォローしておかないと。)
「クリフ。ナリアの気持ちもわかってやれよ。」
「もちろんだよ。それにしてもちょっと意外だったよ。魔族なら問答無用で殺しに来るとおもったけどそうじゃなかったからね。」
「ああそれな。多分キューブ様が魔族達に何か言ったんだろ?変な事したら失格にするぞ。とか最悪殺すよ。とかな。」
「なるほど。」
「キューブ様は遊戯神だからな。おもしろい事に興味があるんだ。この団体戦だってそれが目的だろ?楽しめればそれでいいんだと思うぞ。水を差す行為を嫌うからな。」
「よく知ってるね。」
「クリフ達よりもキューブ様との付き合いは長いからな。」
クリフ達とは対照に、魔族達は笑い合いながらハイタッチしていた。
「これも意外だったけど魔族達にも友情とか協力し合うって気持ちがあるんだね。」
「ああ。あれは俺も意外だったな。もしかして魔国には良い魔族とかもいるのかもしれないな。」
(たしかに魔王が実は良い人でしたって異世界テンプレも多いもんな。魔王は敵って思ってたけど魔王の核を手に入れたら一度魔国に行ってみるのもいいかも。)
『それじゃ次鋒戦始めるよ~。出場者はステージにきてね~。』
「クリフさん。ナリアさんの分も私が頑張ります。」
「ユーナ・・・ユーナはどちらかと言えば支援タイプだ。正直ナリアよりも厳しいと思う。ナリアのようにがんばってくれるのはうれしいけど、無理だと思ったら早めに降参してほしい。」
「・・・わかりました。」
『それじゃ次鋒戦ユーナ対キャンティ始め。』
「あんた聖女だろ?アタシも魔国の中じゃ癒しの姫ってよばれてるんだ。いい試合をしようじゃないか。」
「ええ。負けませんよ。」
ユーナとキャンティの試合は先ほどと同じようにキャンティが距離を取ってひたすら魔法で攻撃してきた。先ほどとの違いはユーナが避けるのではなく結界魔法を使ってキャンティの魔法を全て防いでいた所だ。
ユーナは冷静にキャンティの魔法を防御しながら、隙を見て光魔法で攻撃をしていった。魔族にとって光魔法は弱点属性なのかユーナの攻撃を、キャンティは苦手にしているように見えた。
「やっぱり魔族って光属性が弱点なのかな?」
「ああ。キャンティの動きを見る限りじゃそんな感じだな。」
「それなら俺のランとパインのエバがあれば俺達の勝ちは確実っぽいね。」
「クリフ。そうとも限らないぞ。俺は90階層でエバを使って戦ったんだ。だけどフォルカスなんかはあまり脅威には感じてなかったように思うぞ。」
「そうなの?」
「ああ。」
(魔族全部が光属性が弱点とは限らないって事か。キャンティがたまたま光属性が弱点って事かな。癒しの姫って言ってたし自分を回復してる魔法も闇魔法のダークヒールだしそれでかな。)
試合はお互いが攻め手にかける内容だった。どちらも回復魔法を得意としているので傷ついても瞬時に回復していたからだ。だがそんな流れもいきなり終わりを迎えた。
キャンティが降参を宣言したのだ。
理由は簡単だった。何度も魔法を使って魔力が尽きたのだ。終わってみれば納得の理由だ。ユーナは初戦に魔族が魔法を連発するのを見て、長期戦で魔族の魔力を削る作戦だったのだ。
『それまで。勝者ユーナ。』
「ユーナ。作戦勝ちだね。」
「ナリアさんのおかげですね。先鋒戦で魔族の攻撃を直接見れましたから。」
「ありがとう。ユーナ。」
「これでどちらも1勝だ。残り2勝。ユーナのおかげで楽にはなったな。」
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続く中堅戦、セリーヌとディアンの試合は、ディアンの勝利に終わった。魔族側の次鋒戦で魔力切れで負けたのを見て、作戦を変えてきたのだ。
同じように魔法を連発してくれていればセリーヌが防御を固め勝てたが、魔物と違って魔族は考えて行動していた。遠距離に近距離と距離を変えながら攻撃してきたのだ。
魔物相手なら、この奈落の底ダンジョンでだいぶ経験が詰めたのだが、対人戦は元々お姫様のセリーヌは圧倒的に経験が足りなかった。経験の差が出た形だ。
『これでクリフ君側が1勝。フォルカス君側が2勝だよ。今日はもう時間が遅いから副将戦と大将戦は明日にするね。今日はゆっくり休んでね~それじゃあ。』
遊戯神キューブはそう言って消えていった。いきなりの翌日宣言に戸惑うクリフ達とフォルカス達。
だがお互い一言も発する事なく、離れていった。クリフ達はいつものコテージを出して中に入り、魔族側もどこからコテージのようなモノを出して中に入って行ったのだった。
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